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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 リーブル


      第二章  成り上がり


 第三十五話  「リーブル」




 リーブルは7つの国に分かれており、主に中位亜人か人間が王を務めている。

 数が少ない獣人の王様はいない。

 けれど、少ない獣人を敬う風潮があるらしい。



 土竜族の里は、"リバティ" という中位亜人が王様の国に属している。

 補助金をもらっている代わりに国や"ギルド" が手に負えない山賊や盗賊、魔獣などを国から討伐依頼として受けることもある。


 また、リーブルの通貨は統一されていて"トア" という単位になっている。

 何でも銀行国みたいのがあり、各国に均一に分配しているとか。

 それでも裕福な国や貧乏な国に別れる理由は、その国にいる貴族の差と言われている。

 平民の上に立つ貴族が優秀なら国も繁栄するという事だろう。  ……でもリーブルも貴族制度なのかと、俺はガッカリした。



 俺へのおススメの国は南にある " ナラサージュ" という国。

 人間が王のこの国は平民への理解があり、暮らしやすいはず、との事だ。

 また首都 "サンカルム" は海に面したとても美しい水の街らしい。


 街には冒険者ギルドがあり、討伐などをすれば俺でも食いっぱぐれなく生きていける。

 ただしダンジョンというのがあって、まだ攻略されてないダンジョンはかなり危険なので近づかないようサラノフさんに言われた。




 何だかんだこの里に長く滞在してしまったのは、ガルフさんが「もう少し待っていろ」と言ったから。

 理由を聞くと、リーブルで働くには身元保証が必要らしい。 

 その保証人にガルフさんがなってくれるようだ。

 設定としては飛竜族と人間とのハーフ。

 飛ぶことが出来るのでこの設定になった。

 

 何故そこまでしてくれるのか?は、ラザノフが初めて連れて来た客人だから、だろうか? 

 元々、この里に滞在した人間は俺が初めてらしい、サラノフさんがそう言ってた。


 また来よう。


 ラザノフとは何か気が合うしムジカや子供達とも、もう友達だ。


 ただ、最後はルカルスさんにリベンジだ!


 

 ーーーーー



 ラザノフは悩んでいる。

 リュウの出現により、自分が積み上げてきた自信が吹っ飛んだ。

 一緒に練習してもこれで強くなれるのか? という練習を、リュウは丹念にしている。

 でも実際に奴は恐ろしく強い。


 見ている先が違う? ……とにかくリュウの視点は竜族とは違う。


 それに、あの蓮撃の演舞を見た時は動くことも出来なかった。

 氷竜族の兵団長の演舞を見て奮い立ったことはあるが、リュウの蓮撃の演舞は美しいのだ。

 全てがしなやかに繋がり、激しい回転なのに土埃ひとつ立たない。

 見てるこっちが息が出来ない程なのに、本人は涼しい顔で永遠に続く事さえ感じる……


 あの高みまで登るにはどうすればいいのか?

 ラザノフは悩む……



 次の日の朝食。


 俺はいつも誰かの家に上がり込み、当然のように飯食ってるな…… と思いながら食べる。

 土竜族の食事の量は多い。

 ナッソーさんも多く作ってくれたけど、それは俺が成長期の男だから。

 実際、リリカの量は多くなかった。

 土竜族はナチュラルに多いのだろう……

 まぁ、ありがたいけど。

 


 さて、兵団の稽古場、対峙するのはルカルスさん。

 前回より観客が多い。 

 でも俺を応援してくれる人もいる。 

 それは8歳以下の子供達、特にムジカはピョンピョン跳ねながら応援してくれている。

 

 今日は初めから土竜化しているルカルスさん。

 試合が始まり、タイミングを外すように、ボッ、ボッ、っと突きが飛んでくる……


 前回でお互いの手の内はわかってる。

 二刀流としては初めてだけど、ラザノフ始め、兵団の人との試合で蓮撃も含めて全てルカルスさんに見られている……


 お互いが息遣いをズラしての打ち合い。 

 こうなると集中して捌き、隙を見つけるしかない。

 しかし隙がなくても懐に入ることは出来る。


 初戦と同じように右回りに捌いている俺……

 そして少し大きめの石が落ちている場所で、石を蹴り上げる。 

 そしてルカルスさんの懐へ……

 

 そんなのは通用せん!っとばかりに連続の突き。

 1発は捌き、もう1発は間に合わないので流す。

 ズッと脇腹に熱さを感じるが、懐に入れた。

 前回の1刀と違い今回は2刀、押す!

 

 ルカルスさんも蓮撃の発動条件に気づいているのか、何発か当たってても下がらない…… しかし。


 ついに1歩下がった!



 ー蓮撃ー


 1セット目 慌てることなく捌かれる。 少し違和感あり。

 2セット目 ラザノフと違い下がらない。 反撃する気もない⁈

 以降、5セットまで変わらず。


 6セット目 ルカルスさんが急所への攻撃の後に突っ込んで来る。

 下がりながらも蓮撃は続く、蓮撃は止まらないのだ!

 しかしルカルスさんもそれは承知か? 急所への攻撃を受けても、更に突っ込んでショルダータックル!

 ズドーンっと10メートルは吹っ飛ばされた。


 1発で形勢逆転…… これが竜族と人間の違い。

 トラックにぶつかったかのような痛み……

 脳震とうを起こしているのか、フラフラする…… 今、詰められたら負ける……


 しかしルカルスさんは追って来ない……

 するとガルフさんの『止め』の声が響いた。


 「この辺りで止めておけ。 ルカルスの怪我もリュウ君の怪我も高回復薬でギリギリだ。 ルカルスは兵団の仕事があり、リュウ君はこれから長い旅がある。 この辺りが潮時だ」


 ふぅ〜、まだ少し足りないな……


 「強い…… 先を見ると恐ろしい程だ。 ラザノフ! 付いて行くんだろ、行って来い!」


 はっ?


 「兄者! 拙者は強くなる! 今度帰って来た時に勝負だ!  あ……ござる」

 「…………」


 締まらない奴だな〜、と思っているに違いない。

 でもラザノフが一緒に行く⁈

 まぁ、今はそれよりも試合を振り返ろう。


 

 蓮撃が破られた。

 兄に速攻で破られた時はショックだったけど、今回はそれほどショックはない。

 それは木刀でのみ通用する破り手だからだ。

 あの破り手を刀相手にやると、ミンチ肉の出来上がりを意味する。

 でも木刀での試合では、強い覚悟のあるタフな種族には今後もアレをやられる可能性がある。 

 改良が必要か……


 リリカから貰った回復薬を飲む。

 早くもあと1本しかない……


 最後に応援してくれた子供達を空に連れて行った後に、ラザノフと出発する。


 

 ーーーーー

 

 

 思えばローチェに始まり恋人にもなったリリカ、そして女神レミアと俺の横にはいつも華があった。


 チラリとラザノフの横顔を見る…… 鼻毛をむしって豪快にくしゃみをするラザノフ。


 ……何故こうなった!



 「ラザノフは何で俺に付いて来たの? それにガルフさんがよく許してくれたね」

 「兄者のおかげでござるよ。 あのやり取りの後でダメとは言えないでござるよ。 でも沢山約束事をさせられたでござる……」

 「例えば?」

 「ダンジョンに近づくな、とか…… でも大事なのは里に帰る事でござるよ」


 そう言えば俺も言われたな。

 でもラザノフは愛されてるな……


 「何よりリュウと一緒が大きい。 年も近いし拙者と2人なら、危険も少ないでござるから」


 俺は人間で若いので舐められても、ラザノフは舐められない。

 色々とラザノフがいた方がやりやすい⁈


 「リュウの兄者はもうこっちに来てるでござるか?」

 「多分、まだだと思う」

 「リュウより強いでござるか?」

 「フハハ、それはない! ……でも勝ち続けることは出来なかったな。 魔術をバンバン使ってくる、面白い戦いをするよ」

 「えっ? そうなの? リュウの戦いと違うでござるなぁ。 拙者とやったらどうでござるか?」

 「どうだろうね、俺が見てみたい戦いだよ。 あえて予想するなら、体術でラザノフ。 何でもありでもラザノフが若干有利かな」

 「ほ、本当でござるか!」


 体術は俺とだってラザノフ有利だと思う。

 虎峰、虎鉄を使えばと思うけど、ラザノフだって鉤爪がある。

 体術はパワーとタフさ、何より体格が違いすぎる。


 「予想はね。 だって俺が知ってるにいちゃんは3年前だから…… あれから戦争も経験してるし、どう変わっているか読めないね」


 余裕でやられる目もある。


 「口ぶりからリュウは兄者を尊敬してるでござるな。 拙者も会ってみたい」


 尊敬も、憧れも、感謝もしてる。

 早く来い! ルーク!


 

 ーーーーー



 情報を整理する。


 俺の持ち物はリュック、リリカに作ってプレゼントされた腰袋に5本のクナイ。

 ラザノフもリュックに、中には地図とお金も持ってきてる。


 お金は700トア。


 だいたい1食5トア程度なので、2人で3食だと30トア。 食事だけでも20日ちょっとで無くなる。



 目的地は、ナラサージュ国の首都サンカルム。

 東のここから南へ3千キロ。

 徹夜で飛べば3日かからないけど、今はラザノフがいる。 

 旅を楽しみながら進もう。

 なので予定は立てない。


 でも直ぐに金が無くなるので作戦会議をする。

 地図を開く。


 「サンカルムまでの間に、大きな街が2つあるでござる。 最初の大きな街はプユスタール。 プユスタールはゴールタール国の都市で、冒険者ギルドもあるでござる。 そこで冒険者登録をしてお金を稼ごう」


 冒険者ギルドとな! ……誰、俺?


 「いいね。 そこまで距離は?」

 「そうでござるな…… え〜と、地図では…… 1500キロくらいでござるかな……」


 1500キロか……

 俺1人なら徒歩でも、1日60キロは進める。

 そのくらいは進みたいな……


 「分かった。 ラザノフ、朝夕のトレーニングにランニングを2時間づつ加えよう」

 

 これなら20日で着ける⁈


 「ちょ、ちょっと待ってくれ、朝夕毎日2時間は、辛いでござるよ」

 「そう? なら1時間で、その後は基本練習だけにしよう」

 「えっ? 練習までするでござるか?」


 それはルーティンなので、気づけばやってるやつ。


 とにかく俺達は節約しながら進むことにした。



 ーーーーー



 数日が経過した。


 大きな街道を歩いているので、魔獣や山賊には出会してない。

 夜は道の脇に逸れて、円形の壁を作る。

 高さ1メートル、直径5メートルの円形の壁。

 中で焚き火をして寝れる。



 今日はそこに他の旅人の4人が入らせて欲しいと加わった。 ……ちょっと狭いか⁈


 「リュウは恋人がいたって言ってたけど、別れたでござるか?」

 「ごめん、まだそんなに日が経ってなくて、考えると泣きそうになるんだ…… だからしばらくは聞かないで」


 特に夜は別れの日を思い出す。

 最後のサヨナラが言った時のリリカの顔が……

 あ〜、迎えに行きたいな。


 「す、済まんでござる。 でも羨ましいでござるよ。 拙者の里には年の合う人がいないでござるから」

 「でも200年も生きるなら、少しくらいの年の差なんて関係ないんじゃない?」

 「ガハハハ〜、そこはこだわりたいでござるよ〜」


 贅沢な…… 俺なんて60歳年上でもオッケーなのに……

 お婆ちゃんとお孫さんの関係ではありません!


 「どういうのがタイプなの?」

 「やっぱり年上でござるなぁ、堪らんでござるよ。ガハハハ」


 楽しそうだな…… でも俺も年上が好き。


 「もしかして、遠回しにウチを誘ってる? ふふ、誘ってるな〜」


 えっ、と思い見ると、さっき壁の中に入ってきた旅人の1人……

 薄汚れているけど、目が大きく可愛い顔立ち、獣人か。


 「そっちのは、上位亜人でしょ。 ウチは獣人。 禁断の恋ね。 ふふ、そこまで言うならしちゃう? このスケベが!」


 な、何だ、この人は……

 ラザノフも呆気にとられてる……


 「リサラーナ、いい加減にしなさい。 ふぅ、済まないね、君達」


 話し始めたのは、人間のケリニッチと言う人。

 何でもこの4人は冒険者で、護衛の依頼でルトカルという町に人を送り届けた帰りらしい。

 プユスタールに帰ると言う……


 「ふざけてないもん! ウチは凄いんだから! ね、そっちも上位亜人?」


 話がコロコロ変わるな……


 「俺は人間だよ。 ラザノフがタイプなの?」

 「全然だ! でも可愛い顔してるな〜、ラザノフ。 2人は冒険者?」

 「ち、違うでござる。 でもプユスタールには行くでござるよ」

 「そう。 それなら一緒に行こうよ〜。 ね、いいだろ〜少年。 ラザノフも良いよな」

 「俺達は走ったりするから…… ついて来れるんなら、構わないけど」

 「いや、俺達はゆっくり行くよ。 プユスタールならもしかしたら街で会えるだろう。 その時は今日のお礼に何か奢らせてくれ」


 ケリニッチと言う人が言った。

 獣人の女は…… もう横になる支度をしてる!

 変わった人だ……


 その日は皆んなで雑魚寝。

  

 そして夜が明ける前に、俺とラザノフは出発した……



 

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