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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 リリカの気持ち


    第一章  旅立ち(亜人国編)


 第二十六話  「リリカの気持ち」




 サラン達、ライミット族は去った。


 上位亜人とは、とても不憫な人達だった。

 1人目は愛する人との子供、でも2人目は島のルールにより産まなければならない子供。

 サランも、その旦那も、リーファスも、選ばれなかったエテルナ達も、子供達も皆んな不幸な指令でしかない。

 でもそれ以上に、種族を守ることが大切なのだろう。



 「リリカは上位亜人の事、詳しいの?」


 他の上位亜人の事も聞きたい。


 「詳しくない。 基本、上位亜人は自分達だけの里にこもっているし……」

 

 だよな…、ソマルさんですら余り詳しくないくらいだし、俺も最初は亜人と思われてたし。


 「でもサランさん、リュウのことタイプって言ってたね。 やっぱりリュウもあのくらい大きな胸の人が好き?」

 「リリカさ、余裕あるよね。 俺はそんなの気付かなかったのに。 それにリリカのも中々大きいと思うよ。 なんなら拝もうか? 南無〜お仏壇の〜はせかわ〜」

 「きゃ! やめてよ〜、変態!」


 リリカは赤くなった。


 じゃあ、何故その話を振った!


 「でも、リュウがどうしてもって言うなら…… み、見たい?」


 うん、見たい! ……ハッ、心の声が……

 聞こえてないよな……


 「ゴクリ、そ、それより翡翠を探そう」

 「……翡翠って何か分かるの?」

 「石ということは…… それ以外は知らない」

 「きっと綺麗な石だよね、探してみよう」


 こうして残り少なくなった俺達の最初で最後のデートは、翡翠探しに没頭することになる。


 これが…… 楽しい。


 お互いに思い思いの石を探して、それは違うとか、これは絶対翡翠だとかを言い合う。

 正解が分からないからこそ、楽しかったのかもしれない。


 夕方、集めた翡翠候補は大小30個を超えていた。

 こんなには持って帰れない。

 俺達は、太陽に翳して光がよりキラキラしているのか、重さはどうか、個人的に好きな色なのか、を協議して、合計12個の翡翠候補を持って帰る事にした。


 そして最後に吊るしてあった魚を焼く。

 パチパチと焚き火が鳴る音が、寂しさを増していく。

 

 「リュウ、今日は全ての時間が思い出になるよ…… 心が満たされて幸せだったよ」


 …… 俺だってそうだ。

 でも今日ではっきり分かった。 ……リリカを背負ってはリーブルには着けない。

 途中で魔力か体力が尽きて、海の藻屑になるだろう。


 「もうすぐ終わっちゃうけど、翡翠は楽しみしかないよ」

 「そうだね。 多分、何個かは翡翠のはずだから、何かアクセサリーにすれば?」

 「わ〜、嬉し〜い。 私はこの石にする! 色も形も凄く綺麗だよ〜」


 リリカが手をしたのは、紫っぽい濃い青の翡翠候補。

 ソマルさんの刀で同じ色の刀があるけど、ソマルさんはその色を瑠璃色、と言っていた。

 その刀も凄い逸品。


 「その色は瑠璃色って言うみたいだよ。 でも良かった最後に俺が見つけて……」

 「キャハハ、違うでしょ。 私が見つけてリュウが拾ったの!」

 「そうだっけ? でもそれはいい石だね、普通の」

 「普通じゃないから。 ひ、す、い」

 

 などと話していると、魚が焼けたので食す。

 昼から干していたけど…… 美味い。

 旨味が濃縮してる⁈


 辺りはもう暗くなっている。


 俺達の最初で最後のデートは終わった……



 ーーーーー



 あれから数日、持ち帰った翡翠はベニラムの宝石などを扱う店に持っていき調べたところ、半分の6個が翡翠だった事が分かった。

 その内の2個をアクセサリーとして加工してもらい、残りは売って加工代金になった。

 

 リリカの翡翠は結構レアな物だったらしく、早く加工出来ないか心待ちにしている。

 加工はひと月かかるので、俺が加工されたネックレスになった翡翠を見ることはない。

 もちろん、そのネックレスをした美しいリリカを見ることも出来ない。


 そう、もう後数日で、夏祭りになるのだから……



 ソマルさん達にはお世話になった。

 決して裕福ではない家なのは、ソマルさんが仕事に妥協しないからだ。

 材料費や手間がかかって作った刀でも、この世界では両刃の剣が主流なため、安く売られ闇市などに回ってしまう。

 それでも、食べ盛りの俺を9ヶ月もおいてくれた。


 ナッソーさんも文句を言うどころか、いつも俺の分の料理の量は1番多かった。

 ちなみにナッソーさんには、オレンジ色した翡翠がイヤリングになる。



 ーーーーー



 夏祭りまで後3日。


 ーリュウが去ってしまうー


 本当にもうすぐ去ってしまう。 

 何度も引き延ばす方法を考えた。 

 でも、もういい方法なんて思いつかない……

 

 きっと私はリュウと離れた後、普通に恋をして結婚するのだろう。 

 でも、いつまでもリュウとの恋は上書きされない。

 私の身体の中で、いつも何処かでリュウを探して生きる……


 そんなのは嫌だ!


 そうなる事が分かったいるのに、何もせずただ見送るだけなんて……

 パパ、ママ、ごめんなさい。 

 また私は……



 リュウとの夕方の稽古。


 これが最後のチャンス。 でも…… 答えは分かっている……


 「リュウ、聞いて…… やっぱり、私は貴方に付いて行きたい」

 「この前、またソマルさん達に、リリカを連れてかないでって言われたよ……」


 あ〜、何で? パパ、ママ……

 もう諦めるしかないの……? 涙が溢れてくる……

 やっぱり…… 分かってた。


 「ごめん…… 分かってた。 ねぇ、リュウ。 私が貴方を好きになったのは、いつだか分かる?」

 「初めて稽古に来た朝の日、とか?」

 「ふふ、惜しい。 リュウを初めて見た時だよ」


 生まれて初めて本気で好きになった人。

 それが一目惚れだった。


 「ありがとう。 凄く嬉しいよ……」


 うわぁ〜、っと予想以上の絶望感に、叫び声を挙げて泣いてしまった。

 リュウ、もう泣かないから、そんな顔で見ないで……

 これで泣くのは最後にするから……



 ーーーーー



 夏祭りまで後2日となったところで、5本目のクナイが完成した。

 じっくり、丁寧に作り上げたので、ソマルさんにも中々の出来、と褒められた。


 これでやり残した事は明日の保存食の買い出しだけになった。 

 一応、1週間分を買うつもり。


 リリカは明るく振る舞ってくれている。

 ただ目が合うと、急に不安そうな顔になり、顔を背けられる。


 俺は後悔している。

 中途半端にリリカの気持ちに応えてしまったからだ。

 少し考えれば、こうなる事は分かっていたのに……

 それでも付き合ってからのリリカの笑顔や態度は、俺にとって一生忘れられない初恋の人となるだろう………


 ソマルさん達もリリカの異変には気付いている。

 別れは辛いだろうけど、リリカにはこの国で生きる色々なものがある。

 亜人国は、人間国と違っていい国だし、愛してくれる両親もいる。

 学校には友達が沢山いるし、先生になりたいという夢もある。


 リリカが未来の全く見えない俺と行かせたくないとソマルさん達が思うのは、当たり前の事だ。

 ただ、理解しててもそれでもリリカが側にいてくれたらと、夜寝る前に考えてしまう。

 そんな時、ふと隣の部屋にいるリリカに、声をかけたくなる。 

 

「一緒に行こう!」と……


 朝、目が覚めると、少しだけ冷静な俺がいる。

 冷静に考えられれば、リリカを連れて行くという選択肢は、やはりない……




 次の日、ベニラムで保存食の買い出し。

 下調べは充分してあったので、スムーズに買い出しは終わった。


 そして久しぶりにミシルも加えて帰る。

 骨折が完治してからベニラムには来てなかったので、ミシルとは久しぶりだ。

 少し神妙な面持ちなミシルが、俺に話しかける。


 「明日、去ってしまうんですね…… もうずっと前からリリカさんに聞いてました……」

 「うん。 色々な人の思いを託されちゃってるからね。 ミシルも元気でね」

 「はい。 でもリュウから色々アドバイスもらって随分と楽になりました。 リュウが紹介してくれた孤児院を訪ねてみようと思います」

「うん。 きっと手助けしてくれるはずだよ…… でもミシルに俺から1つ頼みがあるんだ……」

 「ふふ、リリカさんの事ですよね。 私は20歳までしか此処にいられないけど、それまでなら…… 任されました」

 「ありがとう、ミシル。 お願いします」


 俺達の会話を聞いていたのか、リリカはまた顔を背けてしまった。

 


 ミシルと別れてからは、リリカと2人きりでの道のり。

 本当にこの道のりが好きな時間だった。

 両端に花が咲き綺麗な道、眺めもいい。 よく笑い目を輝かせたリリカがいつも隣にいた。

 流石に今日は笑ってくれないけど、何度も私は大丈夫だよ、と気にかけてくれる…… でもそれが逆に心配だ。



 ソマル家での最後の夕食。

 ナッソーさんの料理は美味しく、量も多く取り分けてくれていた。 

 そのおかげか、俺の背はひと月に1センチづつ伸びて、今は175センチ以上ある。

 来たばっかりの頃は、リリカと背の高さが余り変わらなかったのに……


 そして夕食後、ソマルさんが工房の横にある物入れから1本の刀を持って来た。


 「リュウ、餞別にこの刀をくれてやる。 お前に手伝ってもらって助かったし、楽しかったぞ…… その代わりリュウの持っている刀をリリカにあげてくれねぇか?」


 この刀は…… 以前見せてもらった瑠璃色に輝く刀。

 出来が良いので安く売りたくないと、物入れに大切に保管されてた逸品。


 「何だ、嫌か? この刀も俺の5指に入る逸品だぞ。 リュウの持ってる刀とは出来が違う、ガハハハ」


 それは俺だって分かる。 

 でもこの刀は獣人を……


 「嬉しいけど、この刀は血を吸ってるんだ…… 無闇にはあげれない」


 ギョっとしたのはソマルさん。

 ナッソーさんとリリカは何を言っているか分かってない。


 「血…… そうか。 理由を聞いてもいいか?」

 「私も聞きたい。 リュウの事…… もっと知りたい」


 分かった。 ……と言い、俺はリュックから兄からもらった手紙を持って来た。

 そして手紙を見せながら、補足して、獣人との戦いを皆んなに話した……


 「す、凄え…… 人間の子供が、獣人の山賊を9人も…… リュウの兄貴も凄えな……」


 俺もそう思う。 

 俺だけなら殺しっぱなしで終わり。

 でも、兄のおかげでシスターやローチェを置いて来ても今は安心出来ている。


 「欲しい! 私のリュウを守ってくれた刀が……あ……」


 と言いかけて、リリカは顔を赤らめた。

 聞いて聞かないフリの両親……

 俺まで恥ずかしい……


 「と、とにかく欲しいの。 リュウの思い出として皆んなの命を救ってくれた、その刀が欲しい」


 確かにローチェと俺は、この刀に救われた。


 2人を見ると頷いてくれたので、この刀をリリカに渡すことにした。


 「リュウ、この世界は軍事技術が発展してねぇ。 魔術なんてものがあるからな。 だから個の力がデケェんだ。 ……人間国にとってリュウを失った事は、大きな損失だったかもな」


 ソマルさんは銃を作れる知識はある、と言っていた。

 でも作る気は無い、とも言っていた。


 俺が思う理由は2つ。

 銃が出回れば、あっという間に戦争が銃での戦いと変わるだろう。 

 その後は前世の戦争時代と同じ道を歩むと、ソマルさんは思っている。


 もう1つは単純。

 ソマルさんは銃より刀が好きの刀オタク。



 「明日は朝から私達はいないわ。 リリカに付き合ってあげて…… それとコレを持って行きなさい。 翡翠を売ったお金で買った物だから、遠慮しなくていいのよ」

 

 見ると、体力を回復する高回復薬2本と、魔力を回復する高回復薬2本を渡された。 ありがたい。


 明日のリリカの学校は、夏休み前の終業日。

 1時間程度で学校は終わると言うので、ベニラムでそのまま待っていよう。


 最後の日は、なるべく一緒にいよう……

 

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