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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 マイケル・磯丸の前世


     第一章  旅立ち(亜人国編)


 第十八話 「マイケル・磯丸の前世」



 朝の稽古を終えてソマルさん家に帰ると、皆んな朝飯を食べていた。

 リリカの学校があるので朝は早いらしい。


 そのリリカが不満顔で話しかけてくる。


 「1人でどこ行ってたのよ。 ご飯も食べないで、そんなボロボロになって……」


 階段下りで転びまくった。

 やべぇ〜、間違えた〜、と思ってもスピードが乗っているので急には止まれない。


 「……朝のトレーニングだけど」

 「何で1人で行くのよ。 危ないじゃない」


 ローチェでもないのに何を言ってるんだ。

 分からないから答えない。


 「それより早く着替えてご飯を食べなさい」


 と、ナッソーさんが言うので着替えて朝食を頂く。


 ベニラムまでは2時間近くかかるので、朝6時に朝食にしている、とナッソーさんは言った。


 「ねぇ、リュウ。 学校まで送ってってよ」

 「え… 何で?」

 「だって飛べるでしょ。 キャハ、もっと遅くても間に合うかもね」


 多分、15分くらいで着ける。


 「あのね、俺はこの国では密入国者だよ。 だから夜の海以外では飛んでないよ」

 「ふ〜ん、じゃあ歩きでいい」

 「リリカ、わがままを言って困らせるんじゃありませんよ」

 「そうだぞ、リリカ。 それにリュウは仕事の手伝いがある」

 「え〜、じゃあ少しだけ。 お願いパパ」


 結局、娘のお願いには弱いのか、パパは娘のわがままを許した。



 リリカを途中まで送って行く道中、リリカはペラペラとよく喋る。

 学校の事や友達の事、勉強の事など教えてくれた。

 教えてもらった情報をまとめると……

 学校は15歳から3年通う。

 授業内容は前世でしっかり勉強していれば、小6でも通用しそう。

 でも俺は通用しない気がする。

 魔術の授業は各属性に別れて詠唱を習ったりしている。

 ってな事を喋ってた。


 そしてリリカは『ここまででいい』と走り出した。

 でも急に止まって振り返り……


 「リュウもウチの子になって、一緒に学校に通おうよ〜」

  

 と言った……。

 リリカの兄弟は年の離れた兄2人、しかもだいぶ前に家を出たらしい。 

 次は弟でも欲しいのか⁈



 家に帰って来るとソマルさんの仕事の手伝い。

 鉄を熱しては大槌で叩き、また熱する。

 ソマルさんは形を整えたり、柄を作ったり、1つの工程だけでなく、色々手を出している。

 少し一緒に動くだけで分かるのは、ソマルさんは器用でパッパと動く人だ、という事。

 流石、職人。


 そんなソマルさんと話をしながら、俺は俺の出来る事を手伝い、動いていく。

 

 興味があったのは亜人の話だ。

 俺が初めて話したお店のおじさんは、俺が亜人と人間のハーフと言ったら、人間だな、と言っていた。

 その意味も含めてソマルさんは教えてくれた。



 ソマルさんの興味深い話(1)


亜人は上位亜人と中位亜人がいて、下位亜人はいない。

 ただ、亜人の中には人間を下位亜人と呼ぶ人もいるようだ。 

 基本的に人間と亜人の大きな違いはスキルだけ。

 人間はスキルを持ってないけど亜人は持っている。

 中位亜人で1つ、上位亜人は2つか3つのスキルを持っている。

 上位亜人はその他にも身体に特性があるが、ここでは割愛する。


 チート級の能力を持つ上位亜人だが、亜人全体の5パーセントしかいない。

 ちなみにソマルさんもこの村の人も、中位亜人。



 全ては繁殖能力にある。

 例えば上位亜人と中位亜人が結ばれて子供が産まれても、その子はスキルが1つしかない中位亜人になる。

 そして上位亜人同士が結婚して結ばれても、種族が違うと産まれる子供はやはりスキルが1つの中位亜人になってしまう。


 例を挙げると、竜族という上位亜人と鬼族という上位亜人同士が結ばれても、産まれてくる子供は中位亜人となる。

 竜族は竜族、鬼族は鬼族同士で子供を作らないと種族が絶滅してしまう。

 実際絶滅した種族も少なくないと言う。

 なので上位亜人は島など閉鎖された里で種族毎に暮らしている。



 人間を下位亜人と言う事について。


 「この世界の未来には、人間という種しか残っていないだろう」           

           マイケル 磯丸 談


 と、マイケルさんも言っている。

 鈴木さん……? 誰…それ?


 亜人と人間が結ばれて産まれた子、ハーフは亜人とは繁殖出来ない。

 そのハーフの子が男であれ女であれ、亜人と結婚しても子供が出来ないのだ。


 だけど人間とは子を産める。


 これが亜人がハーフを "亜人" と呼ばずに "人間" と呼ぶ理由。

 数百年先には上位亜人が、数千年先には亜人が絶滅すると言われている。


 亜人を絶滅させるのが繁殖能力の高い人間。

 なので亜人の中には人間を嫌う人もいる。

 そして種族として人間との婚姻は、絶対にしてはいけない事、と認識があるようだ。



 参考までに……

 能力の高さ(強さ含む)


 上位亜人>>>>>>>>中位亜人>>人間


 繁殖能力


 人間>>>>>中位亜人>>>>>上位亜人



 ーーーーー


 

 ソマルさんの仕事は4時に終わる。

 そしてリリカをいつも迎えに行ってるらしい。

 今日は俺も一緒に行き、帰りに木刀を削る木を山から取って来る予定。

 

 この村はいい匂いがする。

 ソマルさんに聞くと花を栽培して出荷してる人がいて、その人は村中に趣味でも花を植えているようだ。

 今は秋に咲く花が咲いている。


 ソマルさんと話しながら歩いていると前からリリカがやって来た。

 ニッコニコで走って来るリリカ。

 そりゃあ、ソマルさんもナッソーさんも、年の離れた末っ子のリリカは可愛いだろう。


 「リュウも来てくれたの〜」

 「木刀を作りたくてね。 ついでに」

 「むっ! じゃあ朝は送ってってよ〜」


 余り危険は無さそうだけどな……

 

 「リュウ、その奥に生えてる木でも木刀は作れるぞ」


 見ると細い木……でも頑丈そう。

 2本ナイフで切り取る。


 「出来たら見せてくれ」

 「うん。 わかった」


 長さの事だ。

 今ある刀は利き腕の左手で使う通常の長さの刀。

 作ってもらうのは右手用の刀で、俺が小さな頃から微調整しながら決めた長さなのだ。

 大体、7分目の長さだけど、これから背が伸びる事も加味して少し大きめに作ってもらうつもり。

 


 帰って来ると、早めだけど稽古に行く。

 ソマルさん家の夕食は7時。 

 孤児院での夕食は、人が少なくなるに連れ遅くなり、俺とローチェとシスターになってからは夕食は8時半からだった。

 なので前倒しで稽古の時間も早める。

 

 フゥー、気合いを入れて行くぞ! 階段下り!

 出ようとしたところでソマルさんに呼び止められた。

 

 「リュウ、この辺りは熊に似た魔獣が出る。 今は冬眠前で気が立ってるから気をつけるんだぞ」

 

 危険、あるのか。

 明日リリカ送って行こ。


 「熊なの?」

 「熊じゃねぇ。 だけど5メートルはある恐ろしい魔獣だ。 名はパッツァンだ」

 「名はばっちゃんだ」

 「違う。 パッツァンだ」

 「じっちゃんだ」

 「パッツァンだ」

 「じっちゃんの……名にかけて」

 「ブフッ、それ知ってるぞ。 懐かし〜い。 あっ、とにかく気をつけるんだぞ」


 流石、日本かぶれのアメリカ人、マイケル 磯丸。

 アニメも詳しい。



 次の日の朝。

 部屋を出るとリリカも部屋から出てきた。

 動きやすそうなジャージ姿……


 「おはよ、私も一緒に行くね」

 「おはよう。 ……昨日危ない魔獣が出るって、ソマルさんが言ってたよ」


 俺の一存では決められない。

 ナッソーさんに聞いてみよう。


 下にいるナッソーさんに聞くと、リリカは言い出したら聞かないので連れて行ってあげて、と言われた。


 でも学校があるので少し早めに帰ってくるか……


 ローチェとは違いリリカは一緒に走る。

 緩やかな坂を登り、本格的な山道になっても頑張って走っている。

 だけど階段の前で止まってしまった。

 距離的にはそんなでもない。 でもずっと登りなので女の子にはキツイのかも……

 

 「大丈夫……? 登れる?」

 「ハァ、ハァ、む、無理かも」


 マズイな…… この辺りには、ばっちゃんが出る。

 置いてく訳にはいかないし……

 今日はランニングだけにするか……

 

 「ハァ、ねぇリュウ、ハァ、私を抱っこして階段を飛んでよ」


 今は朝早く人などいない。 そうするか………

 リリカを抱っこしてジェットを起動する。

 リリカは……45キロってとこか。

 背は高いけど、スレンダーでスタイルがいい。

 オマケにいい匂いまでする…… ここからするのか?

 リリカの額の端っこから、少し見えているツノ?をクンクンと匂ってみる。

 やっぱりこれからいい匂いがしてる。


上に着いてリリカを下ろすと、リリカの顔が真っ赤になっている。

 でも額を触っても熱くない……

 本人も何でもない、と言っているので今日は柔軟と体幹の体操を教える。


 柔軟と体幹の体操が終わったらリリカは休憩。

 俺は木に向かい虎峰の研究をする。



 あれからひたすら考え改良して、身体の中の魔力を色々動かし理解してきた。

 現時点では風を回転させるまで魔力を動かせるようになった。

 そのまま魔力を出すと、小さな横向きの竜巻がチョロっと出る。

 技としては使えない。 



 そして締めは階段下り。

 疲れてしまったのか、すっかり口数が減ったリリカには先に階段の下にいてもらう。

 そして俺が手を上げたらスタート。

 ゆっくりでも完走して、タイムを計りたい……



 朝食後に途中までリリカを送る。


 結局、タイムを計るどころではなかった。

 直ぐに間違えるし、スピードは乗りすぎるしで、怪我をしないように転ぶのでやっとだった。


 「ュウ、リュウ!」

 「えっ? 呼んだ?」

 「うん、ずっと呼んでた。 ……リュウはさ、人間国に誰か好きな人でもいた?」

 「うん、いるよ。 シスターでしょ、にいちゃんは憧れの男だし、ロー」

 「違うよ! そうじゃなくて…… もう…… じゃあさ、リュウは好かれてたでしょ」


 少ない知り合いだ。 そこそこは好かれてただろう。

 特に最後の孤児院の皆んなはいっぱい好いててくれたと思う。

 

 「そうだね、下は2歳から上は30半ばまで、好いてくれたと思うよ」

 「えっ……そ、そう。 でも私だって学校でいい寄ってくる人がいるんだよ。 学校で1番体術が強いドノヴァン、剣術が得意なケーベ、勉強と魔術が出来るジーン。 皆んなに付き合って欲しいって言われてるんだから」


 なんと! そういう意味か……

 それなら俺は誰もいない。 

 皆んな家族として好いてくれてただけだ。


 「それで、その…… リ、リュウはキスとかした事がある?」


 キ、キス! 確か前世で飼っていた犬のタローに唇をペロペロされた事がある。

 でもそれは無効なのだろうか、それとも有効になってしまうのだろうか……

 まぁ、普通は有効なのだろう。


 「あるよ」

 「……もう………ここでいい」


 リリカは走り去った。


 

 ーーーーー



 12月に入り寒い日も多くなっている。

 この辺りの寒さは人間国とは比べ物にはならない。

 しかし、俺は服を余り持ってない。 ……でも真冬でもパンツ一丁で素潜りをしていた俺は、寒さにめっぽう強い。


 周りからは『頭がおかしい』と思われたり言われたりしたが、そんなのはどうでもいい。

 やるべき事を確実にやるだけだ。 ……と言っても俺は素潜りが好きだった。

 海の中は幻想的で、夏は冷たく冬は暖かい世界なのだ。

 ただ冬は海から上がった後が、頭が痛くなるほど寒かっただけだ。


 やるべき事をやるだけ、と言ったけど、朝の階段下りは危険が大きい。

 朝、寒さで霜が階段に張り、ツルツル滑りまくるのだ……

 いや…… これは俺にとってチャンスだ。

 当然転ぶけど、最近はジェットで調整して立ち直したり、止めたり、ジェットの使い方も上手くなっている。

 リリカには心配ばかりかけてるけど仕方ない。

 早くクリアするしかないのだ……。



 刀はまだ製作中。

 材料からこだわってくれてるらしく、仕事の合間という事もあり余り進んでない。


 仕事中のソマルさんとの会話の中でまた気になる話があった。 

 それは転生に関する事だ。



 ソマルさんの興味深い話(2)


 ソマルさんの前世はアメリカのテキサス州生まれ。 

 名前はトム ファレス。 ……誰が、マイケル 磯丸だ!


 大学卒業後に世界を旅していたという。

 特にアジアに興味があった磯丸は、日本に滞在中の山登りの最中に足を滑らせ、骨折してしまう。

 そんな時、たまたま通りかかった人に病院に連れて行ってもらい治療した。 

 もちろん保険がないので治療費をどうしよう……と思っていたが、治療費はその人が払ってくれていた。

 でもその人は磯丸が治療中に帰ってしまい、お礼も言えなかったという。


 骨折中、病院で知り合った人に須川さんという刀職人がいた。

 磯丸は日本の歴史や忍者が好きだったので、須川さんに刀を見せてもらう。

 そこからは刀剣に魅力されたソマルさんになる。

 修行をしてアメリカに帰り、刃物を扱う店を開いた。

 


 ソマルさんは57歳になっていた。

 お酒が好きで少し肝臓に問題はあったが、最近はお酒の量を減らしたおかげで調子が良かった。

 結婚して子供達も成人し、お店も大きくなっていた。

 

 その日はとても寒い日だった。

 刀の製作で使う打ち粉が切れてたので、隣町まで愛車のダットサントラックで来た。 

 このトラックは年代物で最近はエンジンのかかりが悪いが、それでも何十年も故障無しで頑張ってくれている。

 流石、日本車。

 

 買い物を終え、帰ろうとした時に知り合いに会った。

 自分の店を贔屓にしてくれているお客さん達。

 その中の1人に次買う包丁の事を相談された。

 そんな感じでBARに行き、お酒を飲みながら刃物の話をして少し飲みすぎてしまった。



 アメリカは広い。 

 日本ほど飲酒量の制限はきつくはないが罰則は厳しい。


 暗くなり始めた空から降り始めた雪を見ながら車に乗り込む。

 警察に見つからなければいいんだ…… そう思ってエンジンをかける…… しかしエンジンはかからなかった。

 プラグが被ってるか……

 ソマルさんは気を取り直し、少し寝て酒が抜けてからエンジンを直して帰ることにする。


 次に気が付いた時、身体がない事に気が付いた。

 意識だけがはっきりとあるので自分が死んだ事を理解するのに長い時間がかかったが、時とともに気づいていった……


 

 この辺りからは大体、俺と同じ。

 不思議な感覚の後、この世界に生まれてくる。


 俺の死後の話を聞いた後の、ソマルさんの見解は……


 人は死後、魂が抜け宇宙空間を彷徨う。

 意識があるかないかはわからないけど、何か誕生する生命に魂が宿る。


 その生命が人族のみ、前の記憶を維持できる。 


 つまり虫や動物では記憶出来る脳を持っていない為、記憶は失われる。

 全ての命に対してだと人族の命は果てしなくゼロに近い。

 ちなみに地球の人間の総生物としても割合は0.01%

 つまり0.01%が宇宙空間を彷徨い、0.01%へ宿る。

 その確率は……


 そんなのは自分で考えてくれ!


 そんな奇跡的な確率でも、俺達のような前の記憶を持つ人族もいるかも知れねぇ、と言っていた。


 俺の見解はもっと単純。

 たまたま記憶を持って生まれてきた!だ。

 色々と仕組みを予想しても、証明する事は誰にも出来ないのだから……

 


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