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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 鈴木 磯丸


     第一章  旅立ち(亜人国編)


 第十七話 「鈴木 磯丸」




 コサルス村。


 道の左右に家が建ち並ぶ。 

 道幅は5メートル程で緩やかな坂になっている。

 道から左側の家は少なく奥には畑、その奥が山になっている。

 右側の方が建っている家が多い。 奥の方には川が流れている。

 鈴木さん家は、川側の5軒目と言っていた。

 そこまで歩いて行く。


 家は少しハイカラな田舎風の家。

 横須賀の米軍基地にある家っぽい。

 家の裏には工房のような建物。

 

 「すいませ〜ん」


 と大きな声で呼ぶ。

 すると工房から亜人の鈴木さんが出て来た。



 亜人の鈴木磯丸さん  


 亜人は彫りの深いキツイ感じの人が多いけど、この鈴木さんは優しい顔つき。

 耳の上に小さなコブが両方にある。



 「ん、何だ、客か? おっ、それ俺んとこの刀だ」


 やっぱりこの人が刀を作った人。


 「やっぱり、すず… おじさんが作ったんだ」

 「おう。 んで何だ、修理か?」

 「いや、ちょっと聞きたくてね。 この刀の作り方はどこで覚えたの?」

 「ん……まぁ何だ、日本ってとこだ」

 「やっぱり鈴木さんは日本人なんだ!」

 「お、お前、まさか……⁈ …… でも俺は日本人じゃねぇ」


 日本人じゃない? 

 じゃあ、日本かぶれのドイツ人⁈


 「グ、グーテンモーゲン、鈴木さん」


 ドイツ語、合ってる⁈

 

 「さっきからどうして鈴木なんだ? 俺はアメリカ人だったぞ。 それよりお前、本当に前の記憶があるのか!」


 いつから探してたのか。

 やっと見つけた日本かぶれのアメリカ人。

 イソゥマァルーさん?

 

 「あるよ! 刀を見つけてからずっとおっさんを探してたんだ!」

 「フッハッハーッ、まぁ、中へ入れ。 フッハーッ、おもしれーぇ!」



 家に入らせてもらうと、台所から2人の女性が出て来た。

 1人はソマルさんの奥さんのナッソーさん。

 亜人特有のキツめの美人。 ……と言うより美人だったと言うべきか、もうおばさんだ。


 もう1人は娘のリリカ。

 キツめの奥さんと優しそうな顔つきのおっさんが中和されて、可愛いとも美人とも言える美しい娘だ。

 俺を見て凄くびっくりしていた。


 そしておっさんの名前はソマルさん。

 誰だ? 鈴木 磯丸さんと言ったのは!


 俺も自己紹介する。

 

 「リュウと申します」

 「そうか。 皆んな聞いてくれ。 リュウは俺の同郷のお客さんだ」

 「同郷って…… 貴方がいつも話してる、あの?」

 「そうだ、あの、だ。 しかも日本人だぞ! だよな?」


 元日本人としてしっかりと、そして優雅に頷く。

 

 「フッハーッ、やっぱり日本人だ!」

 「ちょっとパパ、興奮しすぎ」

 「おお、そうだな。 茶でも飲みながら話すか」


 リリカはパッと立って、お茶とお菓子を持ってきてくれた。


 「それで、何処から来たんだ?」

 「人間国の王都の近くから」

 「えっ、貴方人間なの?」


 リリカは明らかに驚いている…… さっきも驚いていた。

 亜人には人間嫌いの人もいると聞いた。

 もしかして人間嫌い?


 「それって亡命してきたって事?」


 ナッソーさんが聞いてきた。


 「そう…… かも知れない」

 「今、人間国は戦争が再開するタイミングだ。 だから亡命して来たのか?」

 「それもない訳じゃない。 でもあの国を抜ける事は昔から決まってた事なんだ」

 「でもこの国は亡命者の受け入れをしてねぇぞ」

 「別に受け入れてもらおうなんて思ってない。  俺が目指すのは裏の世界。 この国の王の曾祖父だっけ?  その人がいた世界」

 「なっ……! いや、リュウ、裏の世界、リーブルはなぁ、飛べねぇと行けねぇんだ」


 裏の世界はリーブルと言うのか。

 ……それにしてもソマルさん、小ちゃい ぇを付けるな。


 「俺は一昨日に人間国の王都の近くを出た。 800キロあるからね。 飛べなきゃ着かないよ」

 「本当! 本当に飛べるの⁈」


 俺は立ち上がり、軽くジェットで宙に浮く。


 「す、凄い。 貴方本当に人間?」

 「何だか、やべぇ奴が来たな。 面白え。 だがなリュウ、リーブルに行くには海の滝ってもんがあってな、そこに行くのも大変なんだ」

 「そこは数年前に行ったよ。 帰りは魔力がなくなって死ぬかと思ったけど」

 「し、信じられねぇ…… でも本当なら……

 いや、リュウ。 今の王の曾祖父、名前はベルギル様って言うんだけどな、そのベルギル様が言うんだ。

 リーブルに帰りたいけど帰れないってな。 来る時に何度も死にそうになったから怖いってな」

 「話したことあるんだ」

 「先先代から聞いた話だ。 俺も昔は騎士団に所属してたからな。 それで…… リュウは何でここに来た?」

 「ズバリ言うよ。 刀を作って欲しい!」

 「ん……⁈ 何だ、その刀は不満か?  まぁ、確かにそこまでの出来じゃねぇが」


 そ、そこまでの出来じゃないんですとぉ〜!


 「俺さ、この刀…… 凄く気に入ってたんだよね。   まぁ、いいや…… 俺は二刀流なんだ。 だからもう一本刀が欲しい」

 「二刀流か……。 懐かしい言葉だ。 宮本武蔵ってか」

 「だね。 俺も最初に浮かんだよ」

 「ねぇ、誰、誰、誰? 宮本武蔵って」

 「昔のド偉く強え武人だ。 刀を二本持って戦うのさ」

 「えっ、リュウも強いの⁈ 見たい、見たい、ねぇ、いいでしょ」

 「あ、うん…… そのうちね」


 押しが強いなこの子。

 でも人間嫌いでは無さそう。


 「それは分かった。 俺が打ってやる。 でもそれまでどうする? 泊まるところはあるのか?」

 「どのくらいかかるの?」

 「そうだな…… 仕事合間に作るとなると、数ヶ月はかかるな」


 だよね……

 お金を払って作ってもらう訳じゃないし、仕方ない。

 でも帰れないから…… 昔の孤児院まで飛んで行って冬を越すか……


 「家に居てもらえば?」

 「そうだなぁ、俺も日本人には恩返しがしてぇ。 それに刀の手入れなんかも教えてやりてぇからな。 ナッソーはどうだ?」

 「ふふ、いいわよ、面白そうな子だし。 上2人も居ないから、賑やかになるのはいいかもね」


 マジですか!


 「って事だ、リュウ。 でも仕事はきっちり手伝ってもらうぞ」

 「うん! 皆んな、ありがとうございます!」

 「キャハハ、良かったね、リュウ」

 

 と言うことで、ソマルさん宅に刀が出来上がるまで、お世話になる事になった。



 夕食の時間までの間、リリカに引っ張ってこられ2階の部屋に来た。

 この部屋はリリカの真ん中のお兄ちゃんが使っていた部屋で、お兄ちゃんは今は他の領地で働いている。

 俺はここの部屋を使っていいようだ。

 この部屋の隣にも部屋があって、リリカの部屋と長男の部屋がある。 

 長男はもう結婚して、他の領地で家族と暮らしている。

 長男が28歳で次男が25歳。


 リリカの年齢は16歳になったばかり、秋生まれなので俺と丸2つ違いだ。

 ベニラムの学校に通う学生で2年生。

 背中辺りまで伸びたストレートで紺色の髪の毛。 

 髪の毛が被ってるのでコブは目立たない。

 背は165センチ。 背の高さ比べでは俺が少しだけ勝った。

 良く笑い、良く喋る、凄く明るく元気な子。

 ローチェは余り喋るタイプじゃなかったので戸惑う……


 そして待望の…… 夕食〜!

 亜人の料理は量も多く美味しそう。

 食べると特にスープの味が良かった。

 と言ってもここでも質問攻め。


 「空を飛んで来たって言ってたけど、どこを飛んで来たの?」

 「兄弟はいるの?」


 被ってるから……


 「海を迂回して来ましたよ。  俺は孤児だから、血の繋がった兄と繋がってない妹の1人づついたよ」

 「孤児だったのか。 でも凄えな。 兄貴も飛べるのか?」

 「少しね。 飛び回れるって感じじゃなかった」

 「お兄さんもカッコいい?」


 ……も!


 「カッコいいよ。 王子みたいってずっと思ってた」

 「ふ〜ん」


 ……興味ないのかよ!


 「血の繋がってない妹さんは? 可愛い?」

 「そりぁね、9年も一緒だったんだ。 可愛いし大切な存在だよ」

 「貴方はモテそうだもんね」


 でもモテた事は、なっせぃんぐ。


 「二刀流はいつからやってるんだ?」

 「何歳だろ…… 忘れるくらい小ちゃい頃から」

 「そうか。 落ち着いたら試合稽古でもしてみよう」

 「いいけど…… 俺、強いかもよ」


 山賊の獣人9人より強かった。

 兄や他の孤児より剣術は上だった。

 ソマルさんを怪我させれない。


 「見たい、見たい、ねぇ…… いつやる?」

 「落ち着いたら、だ」


 まぁ、昔は騎士団にいたって言ってたし、人族で1番強い亜人だ。 

 良い勝負になるかも……


 

 次の日。

 明るくなる前に起きて朝の稽古。

 しかし階段を静かに降りると、ナッソーさんがもう朝飯を作ろうとしていた。

 

 「おはよう、リュウ。 早いのね」

 「おはよう御座います。 あっ、そうだナッソーさん、この辺に広場ってないですか?」

 「広場…… あるわよ」


 家を出て右に曲がり緩やかな坂を登って行く。

 5分も登ると左側に山へ入れる道があるので、その道を進む。

 そしてどんどん登って行き、10分も走ると右側に階段が見える。

 その階段を登った先が広場だ。

 

 山の上の広場。

 そしてここにも神社のような建物がある。

 コサルス村まで来る間に、1泊させてもらった建物とそっくりだ。

 広場は直径で40メートルくらいの円形。

 ここなら自由に木刀を振ることが出来る。

 

 だけど…… 俺はあの階段が気になっていた。



 この階段は250段以上ある。

 いつも俺が探してた練習方法を、この階段を登っている時に閃いた。


 ー蓮撃ー

 蓮撃で必要な能力は、心拍数を上げないように淡々と動ける冷静さ、柔らかくバランスのいいムチのような身体、そしてそれを指令する回転の速い頭と、いつまでも続けられる体力。

 

 基本練習で柔らかくバランスのいい身体は、もう手に入れている。

 体力も上がっているし、心拍数を上げずに動く事も、小さな頃から素潜りで練習してきた。

 ちなみにこの素潜りの効果は蓮撃だけに良い訳ではない。

 獣人との戦いにおいて、俺の心臓の心拍数が上がる事がなかった。 ……いや、上がっても制御出来ないくらいに、上がる事はなかったのだ。

 いつも冷静でいられたのは素潜りのおかげもある。


 そしてこの階段での練習は頭の回転を鍛える。

 やり方は……


 先ず、3以内の数字を5つ並べる。(これは、蓮撃と一緒)

 今回は 2 3 3 2 1 にする。

 そして階段を2段飛ばし、3段飛ばし、3段飛ばし、2段飛ばし、と飛んで降りて行く。

 最後から2つ目の数字(今回は2)の時に、次のセットを決める。


 今回は 2 3 2 1 3 にしよう。

 前のセットの最後の1段を飛び、次のセットに入り2段飛ばし、3段飛ばし、2段飛ばし、1段飛ばし、の時に次のセットを決める。


 ……と永遠に続けていく。

 これが蓮撃のセット決めと同じ要領。

 そしてこれを動きながら続けると、頭の回転が間に合わなくなるのだ……


 

 この階段での練習は、蓮撃よりスピードが乗り、転んだら怪我をする、という緊張感もある。


 これから朝夕、スリルある練習が出来そうだ。



 

 



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