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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
112/114

 交渉

 ここまで読んでくださりありがとうございます。

 ひっそりとXを始めました。

 @yomou_freedom

 まだ真っさらなので感想などありましたら聞かせてください。



    第三章  フリーダム



 第112話  「交渉」




 朝方、デルマ城から戻って来た俺とポンタと影で寝てるラリィ。


 早速、里内で報告をするが、レミアとラモーナが少し気になった。


 レミアとラモーナはいつも一緒なのは超少数な同種族なので当たり前かも知れないが……

 俺と3人で居るときも2人でお喋りしている。

 ミザリーとレミアも同じだったけど、姉妹のような感覚なのかも知れない。



 「おい、リュウ。 報告をしてくれ」


 レミアとラモーナを見てたらそんなことを考えていた……


 「すいません。 それではデルマ城で起こったことを話します。 結果的にマクニールの首を落としたけど首を回収して持ってくることは出来ませんでした」


 布袋に入れて持って来ようとしたけどそんな時間はなかった。


 「なっ……」


 っと言ったきりに黙り込んだ、竜族と俺のパーティメンバー。



 

 「リュウがやったと分かれば、ナラサージュとは戦争できないと思うだろうな…… 特に他の国の王族は」


 少ししてからそう言ったゴルゾフさん。

 確かにそうだけど、ちょっと違う。


 「俺がやったのが分かれば対策されます。 王様や王子が何処に居るか分からなければ侵入を成功させても意味はありません」


 羅刹種がノマノーラから来ている間はマクニールはデルマ城に居る可能性が高いと思ったし、その通りにマクニールは居た。

 でも、ナラサージュと戦争になって俺が来るかもと思われれば、王族は戦争中は何処かに隠れているだろう。


 「ハハ、コーラン国にはナラサージュとは揉めるなと言っておくよ」


 最近のナラサージュは影響力が急激に高くなっている。

 もちろん俺もそうだけど、竜族含め上位亜人との繋がりが大きい。


 「ああ、その力に飛ぶ能力、何より瞬時の動きがトリッキーで、しかも迷いがない。 なかなか恐ろしい男をライバルとしたな、ラザノフ」

 「ウグッ…… ふう…… ゆっくり追いかけるでござるよ」


 俺も成長しているけど、それでもラザノフの方が成長している気がする。


 「それにしても良く上手く脱出できたでござるな。 他にフォルマップル側の被害は?」

 「何人かは斬り捨てた。 多分、他の羅刹種は殺れなかったと思う。 あ…… 多分フォルマップルの王子は斬ったと思う」


 王子の名は忘れた。

 ……皆んな黙りこくってしまったが、王子は偶然だ。


 「…………確かにナラサージュと揉めるのはヤバそうだ。 だけどこの国に揉める力はないがな、ガハハ〜」


 ホオヒューガ国の氷竜族のゴルゾフさんのコメント。

 確かにホオヒューガは安定のビリッケツ国。


 「そ、それで大将、羅刹種はどうすると思う?」


 シータは今のところ上手く動けていると聞いている。


 「今日は来ない可能性が高い。 でも、時間がないのも間違いないから警戒だけはしておこう。 まっ、明日だと思うけどね」


 あのゴタゴタでは今日は無理でしょう⁈

 きっと羅刹種が空から犯人探しをするだろうし……


 「そうでござるな。 夜と同じ警戒レベルで対応しよう。 ポンタ、外の猿人にも伝えてくれ」

 「うん、分かった」


 ラザノフには素直なポンタ。



 やっぱり羅刹種が来なかったこの日、俺は疲れをゆっくり取って過ごすことが出来た。



 ーーーーー


 

 実質最後の戦いに向けて飛ぶ。


 何度も往復したこのルート。

 でも…… いつからかラムツェルの姿が見当たらない。



 ナナミル、ハルロック、チルピン、そしてラムツェル。


 私の全てだった、この4人は死んだ。



 

 チレイラの森、いつもの崖を前に隊列を整えて飛んで来た。


 「作戦通りに攻める! 今日が最後のチャンス、必ずドリアードを奪取する!」


 ガレットの言葉に頷くそれぞれの隊員。

 もしリヒターならもう少し結束も強かったはずだ。


 「ただしスザクは俺の護衛とする。 あの飛べる男の狙いは俺だからだ!」


 少ない隊員でも5人の護衛を自分に付けている。

 それなのに私まで付けるなんて…… 本当に臆病者。


 また始まった感が流れて、もう誰も何も言わない。

 私もそんなのどうでもいい。




 またあの飛べる男が海側からガレットに近づく。

 手筈通りにリヒター達が飛べる男を囲む、その間に弓を持つ猿人の上空に3人の飛翔族が向かう。


 上手く牽制しているのか続々と穴の中に入って行く突入隊、ここで私は穴の横に変な形の何かがあるのを見つけた。

 何だろう?


 「ぎゃあ〜!」


 え……

 

 堕ちるガルビー……


 まさか7人に囲まれて速攻で1人を倒した飛べる男。

 少し離れて魔術を発動するザックとホウカ、詠唱をするジャネルタさんの魔術が飛べる男には邪魔そうだ。



 それにしても…… 凄い。

 何処にでも目があるかのように対応して、威力の弱い魔術は避けずに流して対応している。

 それでも痛いはずだけど全く変わらず、とにかく痺れるような容姿に崩れはない。


 

 その飛べる男に変化があったのは口。

 なんと口から唾を吐くようにアイスアローをブッと出したのだ。


 驚いたのはアーモン隊長!

 頬を掠めるアイスアロー! ……やられた、そうアーモン隊長も思っただろう。


 しかし、飛べる男の狙いは後ろの魔術を繰り出す飛翔族にあった。

 アーモンをスルーして後ろで魔術を操るザックを “ヒュン” っと見えない一太刀!

 ザックは豪快に血しぶきをあげながら堕ちて行った……


 全滅……

 

 きっと誰もがそう思っただろう。



 飛ぶ男が次に向かったのは……

 ジャネルタさん!


 しかしリヒター達が飛ぶ男を囲う!

 

 

 ……ホッとした。

 でも、飛べる男の狙いは明らかに後ろで魔術を繰り出すジャネルタさんとホウカ。

 それならやっぱり私も参加する!

 ジャネルタさんだけは…… 死なせない!


 最後にドリアード奪取の要となるチョーリッパー隊が穴の中に突入するのが見えた。

 奪取するまで持ち堪えれば、私達の勝利!



 バッと、飛べる男とジャネルタさん達の方へ向かう。


 「スザクゥ〜! 何をやっている!」


 後ろでガレットが怒鳴っているけど私の能力はきっと必要になる!

 何より、昨日ガレットの手を払ってくれたジャネルタさんに生きて戻ってほしいのだ。


 

 クルクルと回りながらアーモン隊長やリヒター、シマネアに対応する飛べる男。

 驚くことにリヒター達の方が傷ついて血だらけだ。


 ジッと見つめて目が合うのを待つ。

 が、待つまでもなく速攻で目が合った!


 ……え。


 赤い目の能力が効かない……



 ……いえ、飛べる男と目が合った時、私は燃えるような目の痛みがあった。

 そして、飛べる男は少し下がったのだ。


 飛べる男の足の炎が一瞬だけ止まって、少しだけ下に下がった。

 効いていたのだ。


 驚くほど強い、飛べる男。

 私の能力で飛べる男を止めれるのは僅か0.2秒くらい。

 それでも、使い続けるしかない!


 2度目の赤い目の能力!

 熱さで失明する寸前だと思う……



 赤い目の能力は連続では使うなと言われている。

 でも、私はラムツェルの時に3回使った。

 だかど今回は私が失明するまで使おうと思う。

 私にはもう何もないから……


 

 そんな思いで使った3回目の赤い目の能力で奇跡が起きる。


 たまたまジャネルタさんが放って外れていた魔術が、男が下がったことにより、足先にバシッと当たったのだ。


 グラッとしたところに、こちらもたまたま後ろから放たれた魔術がタイミングよく飛べる男の右肩に当たったのだ。


 大きくバランスを崩した飛べる男!


 ここぞとばかりに襲う、3人の飛翔族の剣!

 それでも2人の剣を捌いた飛べる男だったけど……


 リヒターの剣が男の腹に深く突き刺さった!



 致命傷! 

 誰しも終わったと思っただろう。


 ……が!

 何事もなかったようにリヒターの腕をスパーンと切断した飛べる男!

 更に飛べる男の剣がアーモンを襲う!


 バシッと受け止めたアーモン……

 私の位置からまともに見えるアーモンの顔は泣きそうになっている……


 ビュッと魔術を捌く飛べる男、腹からドクドクと流れる血の意味はない⁈

 ところが…… 突然、男は口から血を『ガハッ』っと出して、そして下に堕ちた。

 


 ーーーーー



 『お兄ちゃん!、お兄ちゃん!、お兄ちゃん……」


 いつか何処かでも聞いたことがある、っと思って目を覚ました。


 やっぱりラリィがドアップで俺を覗き込んでいた。


 ズキンっと激しい痛み!

 って言うか揺れが激しいぜ……ん?


 俺はパンクンに抱っこされている……

 俺の周りに近づく魔術を打ち落とすドム、ギル、ゼウスさん……


 やがて入り口の横に来る頃には上からの攻撃は諦めたのか、止んでいた。


 「ラリィ、高回復薬を」

 

 出て来るなって言ったのに、コイツは言うことを聞かねえ女だな、っと思っても感謝しかない。


 「もう飲ませたの」


 !! ……飲んでこの痛み、本当かよ。


 ゲリールをかけてみる……

 しかし、全く痛みは変わらず……



 ふぅ……

 状況を把握しよう。


 俺達は誰一人かけることなく入り口の横の、捕虜の前に居る。


 羅刹種は1番遠くに、昨日狙った総大将と護衛で6人。


 その前に、俺と戦った6人。

 堕ちた俺にトドメを刺そうと追いかけて来たけど諦めたか。


 随分と上には3人の飛翔族が居る。

 

 この15人か……



 「ゼウスさんとギルとドムは里内に応援に行ってくれ。 パンクンは俺とコイツ等の見張りだ」

 「リュウ、顔色が悪い。 俺が残るからパンクンを行かせろ」


 ふぅ…… 確かに襲われたらゼウスさんの方が素早く強い。


 「パンクン、行ってくれ」

 「うん。 おで…… 頑張る!」


 

 ーーーーー



 何事もなかったように入り口の横で座っている、飛べる男。

 その横には、やはり不気味な強さだった白い男……

 今ならもしかしたら飛べる男を倒せるかもと思っても、誰も確信は持てない。

 それほど実力の差がある。


 「リヒター隊長、大丈夫ですか?」


 肘から先を切断されたリヒターは、高回復薬を飲んで出血は止まったけど、青紫色の顔からも分かるように苦しそうだ。


 「それより入り口に近づいた時にアレを見たぞ……」

 「お、俺も見ました」


 何だろう? アレって。


 「明らかに生きている。 声も聞こえたんだ」


 あ…… 誰かが生かされている!


 バッと良く見ると…… 遠くからは分からないけど、沢山の顔が土の中から出ているようにも見える。


 ナナミル! ……ハルロックもチルピンも生きているかも!



 それから私達は警戒をしながら随分と長い時間を待った。


 だけど……


 誰も穴から出ては来なかった……

 


 ーーーーー



 「あっ、おお〜、帰るみたいだぞ」

 

 羅刹種15人の帰還。

 もう諦めるだろ?


 丁度、ドム達も戻って来た。


 「終わったぞ、リュウ。 早く里内に入って休むんだ。 パン、ゆっくりと運ぶんだぞ」


 そう言われたパンクンが俺を家まで運んでくれた。


 

 家の中に入った俺は、レミアやラモーナに心配かけないように平静を保ったつもりだったが…… 薬の後に襲う眠気に贖うことは出来なかった……


 

 生暖かい富士の天然水が口に入ってくる……

 これは夢なのか……


 「爺ちゃん、俺、お茶とか水じゃなくてコーラが飲みたいよ〜」

 「バカ言うんじゃない。 良く味わうんだ」


 味わうって言ったって水なんて味なんてしな…… ん?


 森林の香りと少し甘く感じる……水?


 「ちょっとレミア、変わりない!」

 「ダメです、リュウさんは私の未来の旦那さ……」

 「だから治すのよ。 貴方だけより私も加わった方が治るでしょ」

 「………」

 「ん…… ムチュムチュ…… ハァー」

 「変な声出さないでください、ラモーナ!」

 「だ、だってリュウの舌が動くのよ……」


 ヤ、ヤバい…… 凄い状況になっている。

 

 何処で気づくげきか…… いや、絶対レミアと充分にした後でしょう!


 「か、変わってください……」


 ああ…… レミアちゃんごめんなさい。

 僕は凄くこうふ……



 「リュウ! 敵だ!」


 バッと起きてレミアと目が合った。


 きゃ、きゃわいい…… あ、敵か。


 「今いく」


 起き上がる…… やっぱりズキズキする……

 いくらドリアードでもキスくらいではこの傷は治る訳がない。

 それでも楽にはなった。



 ……っと、パンクンに支えられて歩いて行くと、ルークがラザノフや俺のパーティメンバーと話しながら歩いて来るのが見えた。


 敵ってルークのことか……


 近寄ったルークが話す。


 「大丈夫なのか? リュウ……」

 「大丈夫と思う。 それよりどうしたの?」


 20人の敵はどうなったのか?


 「相談があってな。 それより敵と間違わられて危なかった。 シータさんのおかげで助かったけど」


 シータの見張り番だったのか?


 「うん。 俺も報告がまだだから情報交換をしよう。 ラザノフ、ルカルスさんとゴルゾフさんを呼んで来て」

 「ああ。 ……だいぶ良くはなったみたいでござるな。 それでも顔色は酷いでござるぞ……」


 さっきは痛みで気がおかしくなると思ったくらいだった。

 やっぱりドリアードのキスは効果があるんだな。


 でも、レミアとのキスの記憶がないって、悲しすぎるぜ。




 俺の使う部屋でそれぞれの報告を聞いた。


 里内の報告。


 羅刹種36名が入り込み、全て撃破。

 生け捕りは16名で半分がハーフらしい。


 被害も甚大で、猿人9名と土竜族4名が犠牲となった。

 重症者は全ての部族に出ていて、計18名がそれぞれの里に送られた。



 外の報告。


 2名を討ち取る。


 被害は総大将で重症。



 ルークの報告。


 15名が侵入して来て、全て撃破。

 ただし1名だけ重症のまま捕獲した。


 兵士8名が死亡、同じく8名の重軽傷者が出た。



 「こっちの被害が異常に少ないな…… 猿人14人に土竜族5人、それに対して羅刹種は91人が死亡、もしくは捕獲なんて信じられん……」


 確かにルークの西は、羅刹種15人で半分以上の犠牲者、単純にあそこは狭すぎたのと、個々の実力の違いか。


 それにしても氷のレベルが高い。



 「それで何しに来たの?」


 まだ危険解除は早い。


 「おかしなことを言う捕虜が居てな。 ショーザッタさんと連れて来た」


 ショーザッタさん? ……まぁいい。


 「こっちにも変なことを言う捕虜がいる。 もう羅刹種は無理に突っ込んで来ないと思うから連れて来て」


 帰って連れて来るにしても、明日の昼過ぎにはなるだろう。


 「北側から来れば、羅刹種のルートと違うから安全に来れるよ。 ギル、後で安全なルートを俺の兄に教えてあげて」

 「お〜う、任せろ」

 「それにしても大丈夫なのか? 随分と顔色が良くないぞ」


 腹に剣が貫通したんだ、放っておけば数時間でご臨終だった。


 「大丈夫。 俺の怪我の治りは早い。 明日には治ってるさ」


 そのつもりで身体に言い聞かせる。

 そして細胞レベルで回復に向かう、ってイメージ。


 「ふっ、あまり無茶ばかりするな。 シスターやローチェと会えなくなるぞ」


 痛いところを突く。


 「ああ、終わってしばらくしたら帰ろうぜ、2人でさ」


 いい考えでしょ。


 「お兄ちゃん、ラリィも行くだの」


 ラリィは影に入れるから連れて行ける。


 「リュウさん、私もですよ」


 レミアは軽くて浮遊スキルまで持ってるから連れて行ける。


 「ああ、終わって一息ついたら行こう」


 ふぅ…… それまでには治るよな、この気が狂いそうな痛み。



 当事者が頷いたところでラザノフが聞いてくる。


 「リュウ、例の2人の話を聞こう。 それと捕虜の羅刹種ハーフ率が高いのは偶然か?」


 見た目では全く分からない。


 「嘘の可能性が高いね」

 「リュウが最初に捕獲した指揮官、それと数人以外は自分はハーフと言ってるでござるよ」


 俺がカラミージャから連れて来たやつまでかよ。


 「昨日のハーロックとチビと女に確認させよう。 先ずはチビと女の話を別々に聞く」

 「ああ、じゃあポンタは女をござる、シータはチビをござる、連れて来てくれ」


 また、変ござるが始まった。


 「あ、うん、分かった」


 心なし嬉しそうにポンタは女を呼びに行った。



 ーーーーー


 

 足取りも重く、デルマ城に戻って来た私達15人…… 私達は本当に121人で来たのか……


 デルマ城に戻って前回の先鋒隊に報告。

 いつもはマクニール様でマクニール様だけの時が多かったけど、もうマクニール様はこの世に居ない。


 「なんともだらしない後輩だな。 情けなくて涙もでんわ。 もう諦めてノマノーラへ帰れ」


 現実はその通りだ。

 でも、ナナミル達が生きてる可能性がある限り、私は絶対にノマノーラに帰らない。


 「そ、それは出来ません。 ノマノーラに帰れない……」


 リヒターが悔し涙を流して言った……


 「其方のその姿…… 本当に情けないわ。 もうそれだけの人数では無理だ、諦めて帰れ」

 

 私は口を出せる立場ではない。

 それは私達が虫ケラのように扱われていることからも分かる。


 ただ…… それはノマノーラ出身の飛翔族だけのこと。

 マンデミータ様は出身はノマノーラでも事情を全て知る人ではない。

 

 私は思い切って手を挙げた。


 「ん? 何だ、小娘」

 「はい。 私達が失った仲間が捕虜とされています。 交渉した場合、仲間を返してもらえる可能性もあります」


 ガレット始め、飛翔族の何人かは私を睨んでいたけれど、内容的に良かったのか何も言われない。


 でも、ガレットが反対意見を言う。


 「何でそう思う? 交渉してこちらは何を差し出す? 何もないだろが、バカ女が」

 「いや…… それならあんなところに仲間を置かない。 交渉しようと言う意思表示かも知れない」


 リヒターが言った。


 「クッ! それなら交渉して仲間を返してもらう、その次の行動だ!」

 「もちろんドリアード奪取だ。 俺達もノマノーラもそれしか未来はないんだ」


 仲間を返してもらってもなおドリアードを狙う。

 おかしなことと思うけど、リヒターの言うようにそうしなければ星の未来はない。


 「甘い! だからお前等は駄目人族なんじゃ。 人質をいっぺんには返してもらえんぞ、それに金を要求される。 どうする? お前等は一文無しじゃ」


 マンデミータ様の言う通りかも知れない。

 私達にはお金以外に何もない。


 「どうかお願いします。 お金を…… ノマノーラを救うと思ってお金を出してください……」


 出してもらうしかない。

 そのための先鋒隊でもあると私は思う。


 「それが人に頼む態度か? 普通はひざまづいて額を地面に引っ付けるだろ、このアホが!」


 マンデミータ様は口が悪い。

 皆んな心の奥には怒りがあるはず。


 「ほら、全員で頼め! じゃなければ帰れ!」


 私達は悔しさを胸に抱きながら床に頭を擦り付けて、マンデミータ様に頭を下げた……



 「ふんっ、それで相手は小出しで人質を解放して来るぞ」


 確かにそうだろう……

 やっぱり前回の飛翔族の方が有能だったと分かる……


 「飛翔族だけ助ければ良い。 そして解放されたら一気にドリアードを強奪する!」


 !! 

 これほど殺したくなる男は居ない!


 「強奪をどうするか、だ。 ガレット、何かあるのか?」

 「えっ?」


 ただ強奪すると言うだけで何も考えてないガレット…… 残念な男。


 「……何か言え! クソ女!」


 ……私に振ったガレット。

 ラムツェル…… 悔しいよ。


 「きっと仲間はドリアードの居場所は把握していると思います。 なので仲間を助けるだけ助けることがドリアード奪取に繋がると思います」

 「ほお…… 確かに穴の中にも仲間は居るだろう。 その仲間はドリアードの居場所を知っている可能性が高いか……」


 きっとあの中でソナーを使えば直ぐに分かると思う。


 「良し! 明日、俺とガレット、アーモン、ゴルソリ、マーナリーグの5人で交渉してみよう」


 やっぱりガレットは総大将ではない。

 人望も頭も足りない。


 「マンデミータ様、どうかその時はお助けを」

 「ふんっ、分かってるわ、バカタレ共が」


 そう言われても誰も何も言い返せない。

 だって私達は本当に、情けないバカタレ共だから……

 


 グイッと引っ張られて、私はガレットに捕まった。


 「来い! たっぷりと可愛がってやる!」

 「イヤ〜! た、助けてください!」


 マンデミータ様を見て言った。


 「教育なので口だししないでください。 ゴルソリ、足を持て」


 ニッタ〜っとしたゴルソリ、私の足を持つ。


 私は何度も『助けてください!!』『助けて〜』っと叫んだ。

 

 でも…… 助けてくれる人は居ない。



 そのまま部屋に連れ込まれた私……


 ガレットに殴られながら服を剥ぎ取られ、気持ち悪いゴルソリが私を舐めまわす。

 

 口に突っ込まれたタオルで大声も出ない……


 昼間に死ぬべきだった……



 

 コンコン……

 

 何時間、自分の思考を停止してただ泣いていたのだろう?

 誰かが来たけど…… もう遅すぎる……

 この2人だけは私が死ぬ前に殺したい。


 ただそれだけを思って生きていく。



 「誰だ?」

 「……マーナリーグです。 是非、是非私も混ぜてください」


 !!

 もう…… 耐えられない……


 「何を対価で差し出す?」

 「帰ってからお金を。 10万ゾルカでどうですか?」

 「ほお…… 入って好きにしろ」


 口に入れられたタオルさえ無ければ…… ラムツェル、私を嫌いにならないで……


 

 その日…… いえ、この作戦が始まった時から私は気が狂うような辛さを経験してきた。

 でも…… ラムツェルの…… あの日よりはまだマシ……


 きっとチャンスは来る。

 それは…… 帰りの宇宙空間。


 

 ーーーーー



 嬉々として女と歩いて来たポンタ。


 「ありがとう、ポンタ。 お前はナナミル⁈ でいいよな?」

 「は、はい。 私がナナミルです」



 ここに居るのは総大将の俺と、里内の責任者のルカルスさんとゴルゾフさん、それとこの件に深く関わるラザノフ。


 「俺達に嘘偽りなく話せるかな?」

 「……はい。 すいません、貴方はどう言う立場の方ですか?」

 「俺? 一応、総大将」


 やれって言うからさ、キャプトマン王子が。



 ナナミルは思う……


 この人には知られたくない……

 こんなに素敵でしかも強いなんて……

 絶対に汚い女と思われる……



 「あ、あの…… 総大将なのに1番危険な場所で動いていたのですか?」

 「そう、別にいいでしょ。 それより話せるの? それとも話せないの?」


 腹がズキズキして痛くてイライラする。

 やたら額から変な汗が吹き出るし……

 ただ蹲って痛みに耐えていたい。


 「ご、ごめんなさい、お話をします……」

 「ああ。 ……ポンタ、出て行ってくれ」


 お前は関係ない。


 「いや、リュウ。 俺も聞かせてくれ」


 デリカシーのない男だ。


 「駄目だ。 痛みが強いからさ、面倒くさいこと言わないでくれ」


 息をするのも辛くてキツい。


 「いや、俺も聞く権利がある」


 よく分からねえ〜。



 スッと刀を持って立ち上がる。


 「何度も言わせるな、最終通告だ、出てけ」

 「リュ、リュウ、いいじゃないでござるか、な、リュウ」


 あ〜、腹痛〜! 


 「ラザノフも出て行け、これは総大将としての命令だ」


 ピキーンっと緊張感が疾る。


 

 ……その時、スッと現れたレミア。

 刀に自らの腕を滑らせて傷を負った。


 そして、その腕から流れる血を俺の口に当てがった……



 ーー ーー



 朝方に目が覚めた。

 隣に居るレミアとラモーナ。


 2人を誘って外に出た。


 「リュウさん、痛みはどうですか?」

 

 2人の肩に支えてもらっている。


 「うん、不思議と昨日ほどじゃない。 ドリアードの血って吸血族にも負けないんじゃない?」

 「ふふ、それはないと思います。 でも少しでも痛みが引いたなら良かったです」


 結局、話も聞かずに俺は痛みで気を失った。


 「リュウ、レミアを大事にしなさいよ。 レミアの傷はもう、一生治らないのだから……」


 昔に聞いた気がする。

 ドリアードは病気も怪我もしない。

 ただ自らを傷つけた傷跡は一生残る、でも死ぬほどの傷は付けれないと。


 「ごめんな、レミア。 もうそれしか言えないけど……」

 「ふふ、その怪我は私とラモーナのために頑張った怪我ですよ。 だから気にしないでください」


 でも、レミアの美しい腕に一生残る傷跡を付けてしまった。


 「あの子の話を聞いてあげましょう。 もうラザノフさんとポンタさんに怒っては駄目ですよ」


 だって女の辱めを受けた話なんて聞きたいとか言うなよ! って思ったんだ。

 女が可哀想だ、何人もの男に聞かせる話じゃない。



 

 昨日のメンバーに集まってもらった。


 「ポンタ、ラザノフ、悪かったな。 だけどやっぱりポンタは出て行ってくれ」

 「うん、俺も悪かった。 リュウが気絶するほど辛いのに我儘言って」

 「ああ、拙者も同じでござる…… でも、今日は拙者もいいでござるか?」

 「ナナミルを救ったのはラザノフだろ。 でも、俺だったら聞きたい話じゃないけどな」


 怒りで爆発しそうになるに決まってる。


 「それでも拙者はこの船に乗った。 だから話を聞きたいんでござるよ」


 ハーロックと、ナナミルを救ったんだよな……


 「ルカルスさんとゴルゾフさんもすいませんでした」

 「いや、俺達はいい。 なかなかの修羅場で動いたら斬られるかと思ったぞ。 ガハハ〜」

 「ポンタの皮一枚程度ですよ、斬ったとしても」


 ゴクッと生唾を飲み込んだポンタ、さっさと出て行った。



 「悪いな、ナナミル。 ハーロックから少しは聞いてるけどナナミル視点からも話してくれ」

 「はい…… あ、あの…… 昨日の凄く美しい人は誰ですか……?」

 「東のドリアード。 俺の恋人」

 「えっ! ……ドリアードって、ノマノーラのドリアードと違うのですね」



 後から聞いた話だと、ノマノーラのドリアードは妖怪のような見た目らしい。

 それをレミアとラモーナに聞くと、2人とも涙を流しながら悔しがった。


 ドリアードはストレスに強くない。

 でも、そこまで強いストレスも感じないのに何故と……


 その答えは簡単だ。

 300年、神木に括り付けられるという地獄。

 誰だってそうなるに決まってる。



 ナナミルの話。


 自分達はこの作戦のために産まれた飛翔族のハーフ。

 小さな頃から5人の仲間で過ごしてきた。


 この辺りはハーロックと同じ。


 違うのはガレットとか言うクズが起こした行動。

 そして極め付けはラムツェルと言う少年が恋人の前で殺されたと言う事実と、その後に無理矢理の強姦をラムツェルとか言う少年の恋人も受けたこと。


 これには俺も今すぐガレットを殺したくなった。


 

 「そ、それで…… グスン、スザクに一緒に死のうって言って…… グスン、でもスザクはガレットを殺すって…… グスン……」

 「ああ、必ず敵はとってやる。 スザクも必ず助け出すよ」

 「うわぁ〜、総大将〜!」


 思いっきり抱きつかれて後ろに転がった。

 今の俺に受け止める力はない。



 ナナミルはまだ17歳と言っていた。

 可愛い顔してるけど不幸の塊だ。


 俺は寝た状態でナナミルをギュッと抱きしめ、『辛かったね』と言った……



 ナナミルに離れてもらってラザノフを見て腕を上げる。

 するとラザノフは俺を起こしてくれた。


 「包帯を変えた方がいいでござるな……」


 見ると血が滲んでる。


 「チビチャンだっけ、仲間の名前?」


 包帯をラザノフに替えてもらいながらも会話は続く。


 「チ、チルピンです」


 ブフッとラザノフが吹いてるけど、そこまでは間違ってない。


 「ラザノフ、頼む」


 

 こうしてラザノフに連れてきてもらったチビチャンにも話を聞き終わった頃、パンクンが急いで俺を拉致した……


 

 里の入り口前。


 今日は横に捕虜は埋めてない。


 「来るぜ、リュウ」


 パンクンに下ろしてもらって空を見ると、15人の羅刹種が飛んで来るのが見えた。


 「リュウ、今日は見るだけにしてくれ。 あのくらいなら俺達だけで充分だ」


 ゼウスさんが言って、ギル達が頷いた。

 

 でも、空を飛べない限り羅刹種には勝てない。

 いいように魔術を多方向から打たれるだけだ。


 しかし、そんな思惑とは違う動きを羅刹種はする。



 「話がある、攻撃はしないでくれ。 話がある、攻撃はしないでくれ、 話が……」


 こう繰り返しながら少し遠くに、ゆっくりと降りてきた羅刹種が5人。


 俺のペースに合わせて皆んなで歩いて近づく。



 「頼む、話がしたい。 攻撃はしないでくれ」


 近寄ると、片腕の男が俺達に言った。


 「5対5の話し合いで武器の携帯がなしでお願いしたい」


 続けた片腕の男。


 ……これを俺は待っていた。

 元凶ごと一掃するチャンス。


 「ああ、分かった。 代表者を呼んでくる」


 直ぐにギルにゴルゾフさん、ルカルスさん、ラザノフを呼んでもらい、ついでにテーブルと椅子(俺が座りたいから)を皆が座れるように用意してもらった。


 他の羅刹種10名は、空で待機している。



 それぞれ椅子に座ると、片腕の男から自己紹介が始まった。


 「済まない。 私は前総長のリヒターです」


 前か。


 「現総長、しかも第1番隊長のガレットだ」


 ラザノフがピクッとした。

 コイツね……


 「第6番隊長のアーモンです」

 「第4番隊長、ゴルソリです」


 覚えてるぞ…… お前もだ。


 「5番のマーナリーグだ」


 コイツ…… 俺をやたら見ている……

 何処かで会った?


 まぁいい……

 俺達は名だけを言った。


 

 俺が話す。


 「それで、話とは?」


 リヒターとか言うやつが応える。


 「仲間を解放してほしい」

 「ああ、いいよ。 んで? 何をくれるの」

 

 ガタイのいい男、諸悪の根源ガレットが応える。


 「金だ。 たっぷりくれてやる」


 数人がニヤッとした。


 「要らない。 他は?」


 一瞬にして困った感じの羅刹種達。


 「か、金はいくらでもやる。 だ、だから数人でもいいんだ、頼む!」


 ところが何人の捕虜が居るか聞いてない。


 「ルカルスさん、捕虜の人数は?」

 「全部で32人だ」


 驚いた顔の羅刹種達、もっと少ないと思ったか。


 「1人あたり5000トアで更に条件もある」


 金はいいけど、条件が大切だ。


 「わ、分かった。 後で捕虜を見ていいか?」

 「ああ、飯は食わしてないけど元気だぜ」


 1番最初の方に捕まえたやつは元気に死にそうです。


 「そ、それで条件とは?」

 「首だ」

 「なっ! 我等の首を所望すると申すかぁ!」

 「馬鹿だろ、お前。 お前達の首もらって誰が金を持ってくるんだよ。 あるだろ、古い首が」


 はっ、と直ぐに気づいたやつはリヒターとラザノフとルカルスさん。

 後は徐々に気づきだす。


 「い、いくつだ?」

 「いくつ持って来れる?」

 「済まない、2つが目一杯だ。 先日、裏切り者を名乗るやつに1人が殺されたんだ」

 「裏切り者じゃねぇ、だろ。 まぁいい、2つで勘弁してやるよ」


 ブフッと笑ったゴルゾフさん、もう少し我慢して。


 「分かった。 その前にゴルソリ、助ける者の人数を見て来い」


 ガレットとか言うやつが命令する。


 「えっ、俺がですか?」

 「テメェ、いい思いだけしやがって、こんな簡単な仕事も出来ねえのか?」

 「チッ、分かりましたよ、クソ」

 「ゴルソリ!!」


 大きな怒鳴り声、この場面で仲間割れじゃ先はないな。


 「ルカルスさん、お願いします」


 『ああ』っと返事したルカルスさんが、穴の中に居る捕虜をゴルソリとか言うやつに見せて来てもらう。


 

 羅刹種ハーフが多いと言ってたが、ゴルソリに見せれば本当のことが分かるだろう。


 

 そのゴルソリがルカルスさんと帰って来る。


 そして仲間で話す。


 「助けるのは21名、それとガレット総大将、ナナミルはどうします?」


 ふんっと鼻息が出たガレット。


 「ナナミルは助ける。 まさか生きているとはな、ふふ、助けるぞ」

 「では22名をお願いしたい」


 ガレットとゴルソリか。

 まだやる気満々だな。


 「じゃあ、110,000トアと首2つ、キッチリ持って来てくれ」

 「ああ」


 ピィーっと指笛を鳴らして上の待機していた羅刹種に知らせたリヒター、当然のようにゴルソリも行く気だ。


 「ちょっと待て!」


 飛ぼうとしてる羅刹種に待ったをかける。


 「ラザノフ、ソイツは抑えて」


 ゴルソリを見て言う。


 「ん⁈ ああ」


 意図を分かってくれたか?


 「な、何をする?」

 「お前さ、穴の中を見て当然のように行こうとするなよ、お前は留守番だ。 それと上のやつも連れて行くな、全く約束と違うだろ」


 不思議そうな皆様……

 ふぅ…… 疲れる。


 「俺はお前達と取引きしたんだよ。 皆んなが行って首を持って来ても誰が手を汚したか分かんねえだろ。 俺はお前達が手を汚すって言うから取引きしたんだぜ。 手を汚す覚悟がないならこの取引きはなしだ。 ラザノフ、そいつに中の情報を見られた、今すぐ首を締めて殺せ」


 グッとラザノフの太い腕に血管が浮き出て、『グワァ』っとゴルソリが苦しがり絶望的な目になった。

 ラザノフの対応が速いのには、俺はとても満足だ。


 「ちょっと待て、そ、そうだな、うん、俺達だけで行こう。 ただ約束だ、首を持って帰って来たら仲間は解放してくれ」


 フッとラザノフの血管が収まって、ゴルソリがゲホゲホと咳をした。


 「ああ、さっさと行ってくれ、遅くなるなよ」


 暗くなる前に帰って…… まぁ無理か。



 バッサ〜っと飛び立った羅刹種の4人、上で待機する羅刹種に何か伝えて4人でデルマ城に向かった。


 さぁ、ここからが本番。


 「ゼウスさん、ゴルゾフさん、ルカルスさん。 お茶とお菓子と奴等と同じ人数をお願いします」


 上を親指で向けながら言った。

 訳が分からない、といった感じで3人が動く。


 

 ゴルソリを捕まえてるラザノフと話す。


 「ソイツは捕虜と同じ扱いにしてくれ」

 「ああ、だがコイツ分の金は要求してないでござるぞ」


 フッ…… 付き合いが長いと分かってるね。


 「だったらソイツは死刑確定だから分かるように殆ど土に埋めちゃって」

 「ガハハ〜、殆ど埋めたら分からない。 鼻から上だけ出すでござるよ」

 「いや、鼻だけでいい。 それと左の鼻の穴に土を詰めといて」

 「ガッハハハ〜、了〜解!」

 「ちょっと! 約束が違…… モゴッ、モゴ……」


 ググッとラザノフの腕に力がこもる。


 上から見られると厄介なので、ラザノフにはゴルソリと仲良さそうに退場してもらった。

 絶望を死の直前まで味わいなさい。

 


 

 その間に俺はひと仕事。


 飛んで上に居る羅刹種の元へ……

 が、俺が近づくと逃げる……


 でも、逃げないやつを知っている。

 赤毛のアンちゃんだ。


 俺は赤毛に近づいた。



 ーー ーー



 上空から待つ。


 とても不安で飛び出したくなる。

 ナナミルは、ハルロックは、チルピンは…… 1人でも多く、生きていて下さい!


 そんなやきもきする気持ちで待っていると、リヒター達が『デルマに戻る、そのまま警戒して待機してくれ』っと言って、行ってしまった。


 リヒター達が見えなくなる……


 すると、飛べる男が飛んで近づいて来たのだ。

 逃げる他の隊員、でも私は逃げない……



 飛べる男…… 近くで見ると勝手に心臓が高鳴るほど特別な何かがある人。

 怖くもあり、優しそうでもある。

 

 チラッとまともに目を見ると、いつもの赤ではなく、濃い茶色の瞳に青い縁、良く見ると赤が小さくある……

 多分、私が生きて会う、最も素敵な人に違いない……


 はっ…… 彼は何も言わずに回復魔術をかけてくれた……


 何人もの飛翔族が私を見ても何もしなかったのに、この人は敵のはずの私に会って直ぐに回復魔術をかけてくれた……


 彼は『お茶を用意したから行こう』っと言ってくれた。

 私の瞳からずっと涙が止まらない。


 素敵すぎる人……

 

 最後に貴方に会えて良かった……



 ーー ーー

 


 赤毛のアンちゃんに近づいて見ると、改めて思う。


 羅刹種の飛行形態って怖え〜っと。

 特に女は怖いよ!


 俺がこの赤毛のアンちゃんにサンカルムの街で声をかけられたら、きっと俺は無言でサイフを渡して逃げるだろう。

 しかも全速力でだ! ついでに『ごめんなさ〜い』も付けよう。

 それくらい羅刹種女の飛行形態はカツアゲに向いてい……


 この人、傷が凄い……

 女なのに顔を殴られている⁈


 直ぐにゲリールをかけてあげる……


 だけどあまり変わらないのは、少し時間が経ち過ぎているからか。


 ツツーっとアンの瞳から涙が流れる。


 昨日の話は俺でも忘れられない。


 頑張ったよ、君は。


 「お茶を用意したから行こう」


 アンは唇を震わせ……


 「はい」


 ……と、言った。





 

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