侵入者様
第三章 フリーダム
第111話 「侵入者様」
デルマ城へ向かう途中でホッテン湖を見かけてしまった俺は、思い出に駆られてホッテン湖に向かったが……
何と、ベンゼッタさんの家へ暴漢が襲っているのを目撃、ベンゼッタさん親子を間一髪で助けることに成功したが……
そこで捕まえた、羅刹種2人を紐で吊るして帰って来るのは……
めちゃ重労働だった!
すっかり日も明けて、明るい朝。
そして、げっそりとして帰って来た、俺とポンタとラリィ。
直ぐに外の4人が走り寄る。
「おお〜、凄え〜。 本当に羅刹種を攫って来たよ。 ……コイツ等、指揮官?」
「多分、違う。 ……って言うか、デルマ城に行ってないんだ。 途中でコイツ等が悪さしてたから捕まえて来た」
それから中に入って同じ説明を詳しくした。
里内の責任者のルカルスさんが聞く。
「そうか、リュウ達はこれからどうする」
「少し休むので敵が来たら起こしてください」
「分かった。 捕虜は?」
「同じ。 外で顔だけ出して埋めといてください」
昨日の捕虜も埋めた。
「ああ…… 変な光景だけどな」
入り口の俺達が座る横に、顔だけ出てる羅刹種が4人、確かに不気味だ。
だけどこれは俺のメッセージ。
捕虜なので返しますよ、って言うやつ。
まぁでも、きっと4人では無理。
強行策は続くだろう。
「リュウ、起きたら昨日の捕虜の話を聞いてやってくれ。 拙者も忙しくてまだ聞いてないでござるよ」
羅刹種次第だな……
「分かった。 聞く時は皆んなで聞こう」
家の中に入るとレミアとラモーナが姿を見せてくれた。
ホッとするけどまだ戦いは続く。
「リュウさん、大丈夫でしたか?」
「もちろん大丈夫だよ。 でも疲れたから少し寝るわ」
元々、魔力を回復する回復薬はラリィの影(俺の影か⁈)にもあまり置いてない。
その魔力が俺もポンタも切れまくった。
人族2人を吊るして運ぶのはかなりの重労働、逆に背中に乗せる時はそこまで魔力は使わないのに……
まぁいい、寝て回復する。
ーー ーー
ん…… 暑い……
そう思って目を覚ますと、しっかり俺の腕を伸ばして枕にしている右と左のドリアードが2人。
暑いっちゅーの!
「おはよう、リュウ」
ドキッとするくらいに近いラモーナ。
俺はやっぱり歳上が好きなのか?
「おはよう、今、何時?」
っと聞くと……
グイッと顔を引っ張られて、レミアの方を向かされた。
「お昼頃ですよ」
至近距離のレミア…… た、堪らん。
「レミア、あの…… チスの前払いは有りだよね、有りだよね」
2度も続けてしまった。
「……はい」
おおお〜、神様〜!
グイッと顔を引っ張られてラモーナの方に向かされた。
「レミアは最後って約束したでしょ! ……私はしてないわ」
ムチュ〜っとキスをされた時、俺は天国に旅立った……
ドリアードを食すと一生病気にならない。
ではキスではどうか? リュウ、応えたまえ。
「はひ〜、ほひ〜、らららら〜ん」
やはりそうか。
それなら仕方ない、毎日しろ!
「ちり〜ん、ぷる〜ん、らららら〜ん」
「デュウざんのバガァ!」
起き上がったレミアを見た時、俺はやっとこの世に戻ってきた。
「レミア違う、これは違うんだ〜!」
自分でも何が違うか分からなかったけど……
きっと、このセリフだと思う。
針金の上に行ってしまったレミア。
だけど俺も翼じゃないから追いかけられる。
「レミア、ごめんって…… 俺はレミアとキスしたか……」
っと言って、ハッとした。
追いかけて来たのは俺だけじゃなく、ラモーナもだったのだ。
悲しみの表情のドリアードの2人。
こんな時のセリフは知らない……
「2人共…… ごめん。 でも、絶対に2人は守るから」
俺だけ降りてきた。
これから俺は勝負モードになる!
歩いて外まで来た。
「今日は来ねーのかな?」
ギルが暇そうに言った。
「分からない。 もう少し待つしかないだろ」
1段下がった崖の前に4つの羅刹種の顔。
ムカつくぜ……
それから数時間、今日は羅刹種は来なそうだ。
それならラザノフが言ってた捕虜の話を聞くか……
ーーーーー
ガレットと達による強姦は次の日の夜まで続いた。
誰かが直ぐに持って行ったラムツェルの遺体…… 私はこの目が燃えるくらいにスキルを使って暴れたけど、その代わりに何度も顔を殴られた。
泣きながらナナミルと部屋に戻って来たけれど、私は泣いてない。
必ずガレットを殺す。
ただこれだけを思っていた。
部屋へ戻って来ると誰も居ない……
ミーチャだけは帰って来ていると思っていたけど……
「グスン…… スザク…… 私達も逝こう……」
何もない。
私達にはもう何もないんだ……
「死なない。 私は絶対にラムツェルの仇をとる!」
そしてその後に早く、こんなどうしようもないこの世を去りたい。
「うわぁああ!」
っと泣いてシャワー室に向かったナナミル。
私は自分の腕のアザを見て、それから鏡の前に立った。
とても醜いと言うより…… 怖い。
殴られてアザになって腫れている。
血が混じってかさぶたになってる口は普段の3倍は腫れている。
ドリアードを醜いと言ったけれど、今の私の方がよっぽど妖怪のようだ。
ツツーっと涙が流れる……
ラムツェル、もう少しだけ待っていて。
私は汚れちゃったけど、その代わりにラムツェルをもっともっと大切にするから…… だから私を待っていてください……
一睡も出来ずに朝が来る。
食堂で皆んなの噂を聞いたときは驚いた。
昨日の朝に帰って来た第5グループ。
だけど生き残りはマーナリーグ隊長だけだったのだ。
つまり…… タールもミーチャも亡くなったのだ……
何でも牢屋に続く地下道に入って、出て来れたのはマーナリーグ隊長だけだったと言う。
本人は今回の北のドリアード奪取は勘弁してほしい、っと言っていたけどガレットはそれを許さなかったらしい。
つまり今回、北のドリアード奪取に向かう人数は全員の92名。
ーー ーー
時は戻って昨日の夜。
3階の会議室に各グループの隊長とリヒターが、マクニール含む先鋒隊に呼び出された。
「聞いたぞ! 何故、西の国と揉めて来た!」
マーナリーグが答える。
「ドリアードを匿っていたので…… その……」
「我は西の国と揉めるなと言ったじゃろ! 聞いてなかったのか!」
「いえ、罠とは思わなかったので……」
「こんなバカを誰が隊長にしたのか? リヒター! お前か!」
とばっちりを受けたリヒターが答える。
「いえ、私ではありません……」
ふぅ…… っと一息つくマクニール。
「西のドリアードは重要ではない。 そんなことも分からないこの男が隊長とはの……」
嫌味を言いながらも続ける。
「それで東のドリアードと北のドリアードを守っている集団があるとは本当じゃな」
「ええ。 突入して確認しました。 守るのは人族と猿人です」
マクニールは考える。
猿人が人族と仲良くしてる…… もしや、ヒラニが絡んでいる?
「軍を出すには時間がないな……」
脚が遅い……
「明日、総攻撃をかけ、必ずドリアードを持ち帰ります」
フンッ、って感じのマクニール、何を思う……
マクニールはこんなことを思っていた。
自分の仕事はした。
300年も続いた仕事をした自分を誇りにさえ思う。
……が、今後は知らない。 ……と言うより関係ない。
自分はここスペルティで死ぬのだし、ぶっちゃけノマノーラのためにとか飛翔族のためにとかは、もう思えないのだ。
ドリアードを持って行かなければそれでも良い。
次の争いがなくなるので逆に良いのだ……
ーーーーー
家の中でラザノフが捕らえた羅刹種の話を聞く。
メンバーは俺のパーティメンバーにドムフとゴルゾフさんとルカルスさん。
消えてるレミアとラモーナは今でも俺とぎこちない。
その土まみれの羅刹種はハルロックと名乗って話し始めた。
「今回のドリアード奪取に参加したのは飛翔族が61名と、飛翔族が飛ぶ特性だけを求めて作った僕達、飛翔族ハーフが60名です」
驚きの情報を開示して始まったハルロックと言う男の話。
それは俺が不幸と思っていたルイースの過去に匹敵する不幸さだった。
特に友達のナナミルの話ではポンタやラザノフは立ち上がってウロウロしながら悔しがった。 ……俺? 俺はまだ信じてない。
初めから捕まった時の打ち合わせをしてある可能性もある。
だけど、ハルロックに嘘の気配はない。
「分かった。 本当に一応だ、お前の友達の特徴を教えてくれ。 ただこの星を壊そうとするのはお前もお前の友達も同じだ。 だから残念な結果になる可能性が高いのは覚悟しておけ」
ポンタとラザノフが不満そうだけど、他は概ね俺と同意見って感じだな。
「はい、それでもあの…… 嬉しいです。 友達の1人目はラムツェルと言って背は170センチ、黒髪で僕と同じような髪型です。 2人目はチルピンと言って背がとても低いです。 詠唱をしているチビはチルピンかタールという少年なので見つけたらどうかお願いします。 3人目はナナミル。 さっき話した女の子で可愛い顔をしています。 女で若くて詠唱をしているのは多分ナナミルだと思います。 最後はラムツェルの恋人のスザクです。 スザクは美人顔で赤毛の赤目です。 凄く目立つから分かると思います。 それとさっき言ったタールと同じ歳でミーチャと言う子も居ます。 この子が今回来た中で、一番小さいです。 この子もどうかお願いします」
一気に捲し立てたハルロック。
そんないっぺんには覚えられないよ、っと思ったが、とにかくチビは覚えたぞ。
「まぁ、余裕があればの話だ。 俺達をお前の友達が殺しに来ることを忘れるな」
これはここに居る全員に聞いてほしい。
情に流されて死なないように。
それにしても最低の亜人、羅刹種。
狭い土地で自分達の能力が高く、他の種族に貸しがあると……
こんなにも人は嫌なやつになるのか。
次の日の朝。
夜は里内で土魔術で固めて端っこの家に放り込んでいる羅刹種、朝は外に埋めるので面倒くさい。
ちなみに話を聞いた昨日のハルロックも同じ扱いだ。
ラザノフやポンタが文句を言って来たが俺の立場は総大将、ラザノフには里に帰すぞ、と脅し、ポンタは蹴りを入れて追い返した。
「今日は来るよな、リュウ」
せっかち双子が声を合わせて聞いてきた。
「のんびり出来ないでしょ、必ず来るよ」
タイムリミットはいつ?
まぁ、今日こなくても明日くるさ。
ハルロックとか言うやつが言うには、ミザリーが暮らす西にも20人の羅刹種が向かったらしい。
あそこは20人じゃ無理だ、全滅させられてる。
そう思ったけど、アイツには言えなかったな……
やっぱり俺も信じているのか……
チラッと土の中に埋められて顔だけ出してるハルロックを見る。
可哀想でも、もし本当のことなら運命は変わる……
俺が変えてやるさ。
「ハハ、リュウの言う通り、来たぞ!」
来た…… ゆっくり空を見ると凄い大群、流石にあの人数で飛んでるのは迫力ある。
「リュウ、あそこ!」
ゼウスさんが指したのは、入り口から遠く離れようとしている集団、何か大声で指示している。
「第1が前とか後ろとか言ってるぜ」
耳がいいギルが言って、ドムも頷いた。
あれが…… アイツ等の大将⁈
「殺ってくる!」
そう言ってジャンプ、海側へ迂回しながら近づく!
ゼウスさん達も俺が狙う大将の下に向かう……
ちなみに俺が兄に作ってもらった補助具は小さな羽を4点で固定するタイプ。
兄やポンタのは俺のより羽が大きい。
利点は速く飛べることに魔力を抑えられること。
だけど、後ろからの攻撃に少し感じ方が鈍くなる。
ーーーーー
今すぐ殺したい男の護衛をする私。
少しの隙があれば私自身の命と引き換えでもいい、ガレットを殺したい。
いえ…… あの4人…… 吐き気を催すほど考えたくない。
あの4人も必ず……
「左から敵! 例の飛べる男だ!」
私と同じ護衛を任されたリヒター。
総大将だったのに、この人は情け無い。
ギュウ〜ンと左側から近づこうとする男、ガレットがすかさず第6グループに男を追うように指示を出す。
更に前のグループに突入の指示、入り口は誰も居ない。
入り口から突入したのは第1グループ。
何の打ち合わせもシュミレートも無しだったので入り口に近いグループからの突入となった。
ナナミル…… もしハルロックが生きていたならここで脱走が1番良かったと思う。
でも、現実は私達の仲間で生き残ったのはナナミルとチルピンと私だけ。
きっとあの中に入ったらナナミルも生きて帰れない……
ナナミル、1人で逃げて!!
しかし…… ナナミルは穴に入ってしまった……
チルピンは! ……チルピンは比較的近い位置にいる。
不安そうなチルピン……
貴方だけは生きて。
驚くのは飛べる男。
第6グループに追いかけられて魔術を後ろから発動されても、後ろに眼があるように交わしている。
赤い眼…… 私とは違う赤い眼。
昨日も見たけどドキッとする容姿の男だった。
私は飛翔族が憎い、それならあの男を応援した方が良いのでは⁈
ドッカーンっと男が後ろに何かを投げて、それが爆発した。
第6グループの飛翔族が何人も飛ばされて数人が空から堕ちた。
昨日と同じ光景……
堕ちた飛翔族を次々とトドメを刺す白い男、この白い男はやたら速い。
そして猿人も動きから相当の手練れ。
堕ちたら生きてはいられない。
「スザク、何してる!」
ハッ!
ギュウ〜ンっと、私達の前を通ってガレットを狙う赤目の男! でもその男は私が殺したい!
しかし……
ガレットからやや高い位置から堕ちるようにガレットに向かった赤目の男、ガレットの魔術を盾に隠れて防ぐ。
そしてそのまま…… 凄い勢いでガレットにぶつかって、盾を挟んで2人は堕ちて行く…… いえ、途中で赤目の男は足から火を吹き、第4グループが居る集団に突っ込む!
その間にも入り口に突入しようとした第3グループ。
だけど崖の上からの矢が雨のように襲う!
盾を出して防ぐ第3グループ。
しかし致命傷ではない当たり方でも堕ちている…… 毒矢!
ハッ、ガレットとチルピンは?
堕ちたガレットは柔らかそうな草むらに堕ちた。 ……運のいいやつ。
だけど、凄い勢いで白い男が来た!
無詠唱魔術で迎え撃つガレットとガレットを助けに入るリヒター達、護衛。
……信じられない。
リヒター含む手練れの護衛の攻撃を交わすだけでなく、逃げたガレットが逃げ切ったと思った瞬間、一瞬で近づいた白い男がガレットの太ももに槍を突き刺した!
追いかけるリヒターと護衛!
悲鳴をあげながらガレットは命からがら空へと逃げる。
私はチルピンの護衛に疾る!
チルピンは…… 男から離れた場所で詠唱をしている。
ホッ…… あそこな……
「退却、退却〜!!」
ガレットの声……
何の覚悟もないから、少しやられると逃げ出そうとする。
昨日と全く同じなのに、対して対策もしないでやって来た。
全ては後からしゃしゃり出て来たガレットの責任。
「ぐあぁ〜、痛えぇ〜、スザク! テメェ、俺の護衛で何してる〜!」
うるさい男……
失うもののない私に、もうお前の脅しは通用しない!
それより私はチルピン…… え……
チルピンは私に近づいて、何故か『ごめん』と言った……
えっ?
堕ちるチルピンの背中に刺さる変な色のナイフ……
スローモーションのように堕ちる私の最後の家族のチルピン……
ドサッと堕ちて白い男が近づいた……
ーーーーー
あっさり帰りやがった羅刹種。
外の被害はない。
しかし…… 外の被害はあった。
ナカミツ族がとばっちりを受けて飛翔族に襲われて2人が死亡。
ただ弓隊には被害はない。
「リュウ、中も終わったぞ」
先に中に入っていたゼウスさんが言った。
里の中は凄いことになっていた。
転がる羅刹種の遺体の数々……
ハッ、レミアとラモーナは!
俺が使う家に走る!
レミアとラモーナは家から上に上がって隠れていた。
2人をガシッと抱きしめる。
良く生きていてくれた……
ーー ーー
里内を片付けてからルカルスさんとゴルゾフさんに今日はゼブンさんも参加、それと俺のパーティーメンバーとゼウスさんが集まって報告する。
ルカルスさんが話す。
「里内には35名の羅刹種が入り込んで来た。 そのうち25名の羅刹種を討ち取る、もしくは生け捕りにした。 生け捕りにしたのは6名、多分だが殆どが羅刹種ハーフと思われる」
ほう…… あの状況でそんなに生け捕りに出来たか。
だけど10人に逃げられてる、相手も必死なのだ。
「続いてこちらの被害を言う。 負傷者は数えきれん、重症が7、猿人3人が死亡、土竜族戦士1人も…… 死亡だ」
マジか…… 猿人にも竜族にも犠牲者を出してしまった……
「仕方ない。 あの状況でこの被害なら上手くやったほうだ」
中は無詠唱魔術が飛び交う乱戦だったと言う……
「外は?」
ゼウスさんが報告する。
「先ずは味方の被害から。 ナカミツの2人が殺られた。 戦場を広くとった戦いだったので、隠れてたのを見つかったようだ」
もう少し下がらす手もあるが、あれで魔術を消せるギリギリのラインなのだ……
「討ち取った羅刹種は14人。 それと最後にリュウが堕とした男を含めて生け捕りが5人」
投げナイフの痺れは強烈だ。
何度も混ぜては叩き、そしてまた混ぜた。
「流石だね、ゼウスさん」
「ん? 昨日の話の男だぞ」
なんじゃそりゃ?
「何かゼウスさんと話したっけ?」
「いやいや、羅刹種ハーフの話を聞いたろ⁈」
「ふ〜ん」
すっかり忘れてた。
「何だ偶然でござるか? 拙者はいの1番に話の女を確保したでござるよ」
「ラザノフさ、戦いに集中しようよ。 話は話で分けて考えようよ」
シラ〜っと冷たい視線の数々……
でも俺のように忘れるくらい集中しようよ、と言いたい。
「あの話を聞いても何も感じないのか、リュウ?」
ポンタは黙ってろと言いたい。
「じゃあ、俺からひと言。 ラザノフさ、嘘かも知れない話を信じて良く余裕で動けるね。 ラザノフが余裕を見せなければ土竜族の犠牲も無かったんじゃない?」
ピキーンっと凍てつく場。
「そっちも被害が出てるぞ」
怒りを鎮めるように静かな口調……
「ハハ、俺はリュウのせいとは思わないね、むしろ外の被害が少ないのはリュウの動きにある」
実際、死に1番近い場所は俺のポジション。
今日だって少し流れが悪ければレミアが泣いている未来もある。
でも、流石に甘っちょろいラザノフも俺が言ってることは分かっているはず。
そう言う情けは味方に犠牲が出ない時にするべき。
最初に助けたのなら絶対に味方に犠牲を出すべきではなかった。
「リュウの言うことが正しいにゃ〜。 にゃにゃにゃにゃな〜にゃ、手品〜にゃ」
手品を漢字で書くな!
「ああ、そうだな。 分かるだろ、ラザノフ」
……いや、分かったのはゴルゾフさんだけですよ。
「あ、うん、そ、そうでござるな」
分かってないな。
「まぁ、大将が言う『嘘かも知れない』はもっともだ。 だからラザノフが必然に捕まえた女と大将が偶然に捕まえた男の話を聞こう。 別々に聞けば信憑性も分かるんじゃないか?」
シータめ…… 軽く嫌味を言いやがって。
「俺はムリ。 ポンタ、ラリィ、行くぞ。 ……と言うことで、ラザノフ達で聞いといて」
「ダメだ。 リュウが聞かないと全員を処刑とか言いそうだ。 それじゃなくても物忘れが激しいのに……」
ラザノフの中で俺の人物像……
知りたくない。
「それじゃあ、暇な時にね。 ラザノフ、俺達の本質を忘れるな!」
昨日も同じようなことを言った。
敵への情けは余裕で勝てる時にするもの。
余裕がなければただの敵だ。
俺はレミアとラモーナを、この星の未来を優先する。
夕食後に出掛ける。
昨日の感じだと、ここから5、6時間でジーンライネに着くだろう。
俺の悲願、拷問の仕返し!
ギリギリになろうとも、暴れるだけ暴れてやる!
それぞれの回復薬、顔を隠すマスクを持って出発するが…… ギクシャクしてたレミアが俺の前に立った。
「どうしたの、レミア」
争いごとの嫌いなドリアード、今日は怖かっただろう。
「リュウさん、気をつけて。 貴方が死んだら私は人族になりませんよ」
!!
なるほど…… そうだよな。
「俺はこれからもレミアと居るよ。 そうだろ、レミア」
真っ直ぐ俺を見て頷いたレミア。
ギリギリじゃなくて死にそうにならない程度に暴れよお〜っと。
ーーーーー
デルマ城に着いて今日の報告をマクニール様にすると、長い説教が始まった。
「情け無い。 前回は先鋒隊も無しにドリアードを3人、捕まえた。 そして1番若いと思われるドリアードを持って帰ったのじゃぞ!」
それは昔から聞いている。
そのドリアード達はとても美しかったとも……
ここで弟のマンデミータも口を出す。
「能力が低い。 前回は100人で先鋒隊も無しに余裕。 今回は121人で拠点で飯食い放題、快適ベッドで寝放題で失敗続き、同じ飛翔族として情け無いわ」
ググッとガレット達の怒りが込み上げたのが分かった。
「今回は飛翔族は61名。 後はほとんど役に立たない数合わせです!」
ガレット…… 貴方が言う言葉じゃない。
今回の遠征で1番役に立ってないのはガレット、むしろ邪魔!
「使いこなせない主等が悪い。 この拠点を譲るつもりじゃったが不安しかないわ」
この言葉には誰も何も言い返せず……
ギリッと歯を食いしばって怒りを抑える飛翔族達……
私は別にどうでもいい……
私は直ぐにガレットから呼び出されて、暴力の限りを受けると思っていたが、全体会議で思いもよらない話になった。
「リヒター、総大将はお前がやれ……」
この男…… ご都合主義が過ぎる!
「何を言っている? お前が強引に持って行った役職、最後まで責任を取れ」
皆んなの前で死ね!
「とにかく皆んなに言っておく。 俺達の残りは53人、半分以下になった。 しかし相手を知ることが出来たんだ」
ナナミル、チルピン、ハルロック、それにターナとミーチャ……
私はアイツ等より、飛翔族が貴方達を殺したと思ってる。
ラムツェル…… 貴方を思うと涙が止まらない……
「それぞれの対策をする!」
そう言ってリヒターはそれぞれの対応策を話した。
飛ぶ男…… リヒター、アーモン、ガルビー、シマネアと剣術に長けた男4人で取り囲む。
ザック、ホウカの飛翔族が仲間に当てないよう魔術を発動、それをジャネルタが補佐する。
私、スザクは赤目のスキルで飛ぶ男の動きを止める。
8人掛かりでの討伐、しかも剣術も魔術も飛翔族のトップ達。
下に待機する、白い男と猿人…… 無視。
崖の上の弓を持つ猿人…… 弓が届かない位置から、リョウジ、ナルミ、タルビーが魔術で攻撃、その間に突入する。
穴の中の人族と猿人…… 三人一組になって攻める。
最後の飛翔族隊のチョーリッパー、ホムラ、ナラシバがソナーでドリアードを見つけ次第に奪取する。
練習中も私を睨むガレット、足が痛そうで私は嬉しい。
……そう思ったのがガレットに伝わったのか、ガレットが足を引き摺りながら私の後ろにやって来た。
そして……
私のお尻を撫ぜながら『今日もたっぷりと可愛がってやるからな』っと小声で言った。
「総大将、今は練習中です!」
そう言ってガレットの手を払ってくれたのは、ジャネルタさん!
直ぐに怒りの表情でガレットはジャネルタさんの胸ぐらを掴む!
「総大将! 練習中に邪魔しないで頂きたい!」
そう言ったのはジャネルタさんの今回の遠征だけの恋人、ウイチさん…… 。
皆んなの注目がガレットに集まる。
「クッ、続けろ!」
そう言って足を引き摺って戻ったガレット……
私は複雑だ…… もうあんな男にオモチャにされたくない。
それでもラムツェルや皆んなを思うとガレットを殺したい……
勝手にとめどなく流れる涙は、寄り添ってくれるジャネルタさんの優しさが加速させた……
このシュミレーション練習が終われば私はあの男に…… 嫌だ、怖い、怖いよラムツェル……
そんな時だった『ドカッーン』と何かが爆発したのは。
ーーーーー
3人で飛ぶこと5時間ちょっと、デルマ城の上空、5キロ地点に到着。
「ラリィ、ここからソナーを頼む、狙いはデルマ城」
ラリィは羅刹種を何度かソナーで映してる。
まぁ、ロナイン爺さんだけど。
『うん』っと言ってソナーを使う……
結果…… 羅刹種がいっぱい。
次は横に移動してソナーを使う……、
結果…… 羅刹種がいっぱい。
「ラリィさ、羅刹種ってどんな感じで見えるの?」
「ん〜、何か大きな色の付いたね〜、塊がね〜、色が大きいの」
「俺やポンタも羅刹種と同じ?」
ん⁈ って感じのラリィ。
「色がちょっと違うだの。 お兄ちゃんとポンタ君はね〜、薄いだの」
薄まった血だからね。
「大きさは?」
「お兄ちゃんはね〜、ドデカいの」
魔力! ……なのか?
まぁいい。
ラリィに高さだけに注意してソナーを使ってもらう。
すると……
1階にほぼ全ての飛翔族が集まっている。
2階くらいの高さに飛翔族は居なくて3階くらいの高さに2人、そしてデルマ城の最上階の4階に1人という結果が出た。
もちろん、方向を変えながらラリィには何度もソナーを使ってもらった。
「リュウ、向かうからは気づかれないのか?」
「気づかれても向こうのソナーは全方向に3キロ、大丈夫だと思うよ」
確信はない。
「ラリィ、ありがとうな、ここでポンタと待ってて。 ……ポンタ、出来れば空で待っててほしい、魔獣が怖いんだ」
「あ、ああ。 回復薬を使ってもいいの」
ラリィの影には沢山、積んで来た。
「ああ、頼む」
「お兄ちゃん、忘れてるよ、何に使うだの?」
マスクと布袋……
「秘密。 ……じゃあな」
こうして俺はデルマ城の上空へ……
デルマ城の屋上は学校の屋上に似ている。
4階から登って来れる屋上への入り口が2箇所、西と東に1箇所ずつ。
その扉の前に見張りが1名ずつ立っている。
西と東の間はザッと50メートル。
西なら西の壁伝い、東なら東の壁伝いが兵士からの死角となるので問題となるのはそこまで気付かれないように忍ぶことが出来るか……
しかし俺は大胆に行く。
兵士の死角だけに注意して東側の壁沿いに引っ付いた。
このお城から数百メートルで貴族の家、もしくはお城の庭から俺を見てた人が居るかも知れないけど、それを気にする時間ではない。
見つかってたら運が悪かったと諦めよう。
っと言っても、俺は一度この街でルイースにピンポイントで見つかっている。
本当にルイース、俺を見つけてくれてありがとう、お前はきっと幸せだよな。
なんて感傷的になりながらもコツコツっとクナイで壁を叩く。
そう、見張りを誘き寄せるのだ。
俺が居るのは壁沿い。
1歩踏み出せば見張りのいる面の壁なので、ギリギリで待つ。
コツコツっと何度目かの音出し。
流石に気づいたのか警戒しながらも俺の方へ向かってくる見張りの人。
そして気配がギリギリまで迫ったその時、パッと腕だけ伸ばして首を回すように襟を掴んで引き込む。
逆の手で口を押さえながら転ばせてマウントポジション…… 更にクナイをサッと取り、首を斬る!
流れるような動きでもここはジッと同じポジションで我慢……
噴き出る血をクナイを放して手で押さえ、反対の手はずっと口を押さえてる……
いくら俺の力がこの男より強くても、死の直前では驚くほどの力が加わる。
なので…… 少し返り血を浴びてしまった……
少し悩む…… ラリィの居るところに戻れば服はある。
……が、そこまでじゃないと判断して服を反対にして着てみた。
これでいい。
ズボラなやつは2日目はだいたい服を裏返して過ごすものだ。
さぁ、ここからが本番! っと思ってドアノブを回すとガチっと鍵がかかってる。
「おい、どうした?」
裏にも居る!
「あ、喉痛え…… トイレ」
声が違う、とは言わせない。
「違う声だな……」
……逆はあり。
「ゔぅ、喉痛えっつうの、開けて」
どうですか?
「ああ、昨日デカい声で歌いすぎだろ」
!! ……悪いね、犠牲者。
ガチャと開いた瞬間に男の喉にクナイをブッ刺して、後ろに回って口を押さえたが、『グワハァ!』っと声は漏れた……
シーンとする屋上に続く階段の上。
どうやら大丈夫そうなので血だらけの手を魔術で洗い流す。
さぁ、本当にここからが本番。
上から下を見ると、この階段は3階までは繋がっている。 ……となると、廊下を挟んで奥に3階から1階への直通の階段があるはず。
つまり直通では4階まで上がって来れない。
そう…… 4階は本当に偉いやつが居るのだ。
屋上から4階まで下がって壁の角からチラッと廊下を覗く……
得た情報はこの廊下の両端に2名ずつの扉を守る兵士、そして真ん中辺りの部屋の前にも2名の兵士が立っている。
その他では廊下をゆっくり歩くおっさん。
服装的には結構偉そうだ。
廊下の奥は吹き抜けで、落ちれば1階まで直行。
ただし、真ん中辺りに3階から1階まで続く階段がある。
ちなみに俺の武器はあと1本だけになってしまったクナイと、こちらも1本になってしまった痺れナイフ。
それと右手用の短い方の刀を持ってきている。
狭い場所では短い刀の方がいいと判断したが、お城は広いので長い刀を持ってくれば良かったと思う……
さぁ、徒歩おっさんが近づいてきたぞ、どうする?
タタッと軽く走りながら『すいませ〜ん』と声をかける、俺の得意のすいません作戦だ。
「な、な、何だ、お前は? 3階からも上がって来たのか?」
「ええ、緊急な用事で隊長が行って来いってうるさくて…… その…… 」
ヤバ! 先鋒隊の羅刹種の名前をド忘れしてしまった。
「爺さんは?」
大事な場面でやらかしてしまった俺の脳みそ。
でも…… 爺さんは爺さんでしょう!
「なっ! マクニール様を爺さん呼ばわりするな! ……どちらにせよマクニール様はもうお休みになっている。 明日にしろ」
マクニールね…… ド忘れしたけど知ってた。
「俺は別にいいけどね…… アンタ、名前は? ……いや、手遅れになったら俺が悪いと思われて殺されちゃうかも知れないからさ。 ほら、皆んな気が立ってイライラしてるでしょ。 ……で、名前?」
きっと失敗続きでイラってるに決まってる。
今も1階で何かやってるのがここまで聞こえてるし。
「クッ、生意気な小僧め…… 付いて来い」
いや…… もうだいたいアンタの目線からマクニールの部屋はもう想像できるけどね。
……やはり、俺のいた場所から近い端の部屋に案内された。
「武器を渡してここで待ってろ」
そう言って部屋に入った徒歩なおっさん、扉を開けたのは使用人の女か。
俺は見張り2人に武器を渡すが……
「こっちの世界にこんな剣ってある?」
っと気軽に声をかけて鞘から刀を出す。
覗き込む見張りの2人……
「見たことないな。 凄い光ってるけど斬れるのか?」
『うん』っと言いつつ刀を見張りの2人の首を、グサッとブッ刺した。
「グワアアァ〜!」
っと大きな声に、返り血。
もう気にしない。
さぁ、本格的にここからが本番。
待って来たマスクを装着する。
廊下の奥の奴等に気づかれたのでスピード勝負になる。
バンっと扉を開けると、血だらけの服の俺を見てへたり込む使用人の女。
無視して奥に進む。
奥には悲鳴を聞いて警戒した徒歩なおっさん、それに奥のベッドに驚いたように見る老人。
「な、なにも……」
バスッと聞かずに肩口から浅めに刀を振り下ろした。
ガンっと飛んで来た魔術の矢を弾く!
見ると手を翳してるベッドに座る老人…… やっぱり羅刹種!
「な、な、何者……」
修羅場は久しぶりなのか震えてるマクニール……
「俺は…… 俺は裏切り者じゃね〜え!」
言ってみたかった憧れのセリフ。
これでいいよね?
ジェットで近づく途中で飛んで来た魔術の矢を弾き、マクニールの首をスパーンと斬り落とした。
しかし…… 玄関から人が入って来る気配……
マクニールの首を回収するのを諦めて戻りつつ、徒歩なおっさんにトドメを刺した。
ちなみに徒歩なおっさんは羅刹種ではない。
チャンスをあげたのに無詠唱魔術を使って来なかったからだ。
入って来たのは重装備の兵士が2人。
……が、この刀は鉄だろうと納豆だろうと関係なしに斬れる!
無防備に近づくと2人が同時に槍を突く!
ソフトに刀で軌道を変えて避ける、そしてそのまま右上段からの一刀!
……その後、もう1人は突き刺して倒した俺はドアから出…… いや、ここに使用人の女が震えて蹲っている……
ふぅ…… 慌てるな俺。
震える使用人の女を見下ろしながら虎鉄改を仕込んでおく……
俺はそのまま扉から出た。
ちょっと待ってくださいよぉ、女は? 女だけ助けるんスか〜、っと言ってるそこの君。
前にも言ったが、俺が優先するのは子供、老人、女、知り合いの男、そして普通の男、敵、となる。
老人羅刹種は敵だ。
でも使用人の女は敵ではない。
……え? 徒歩なおっさん?
アイツは敵の前の普通の男だ。
だからどっちでもいいと判断した。
以上 解散
ドアから出て数人が3階から登って来るので虎鉄改を投げる!
『ドッカーン』っとかなりの音と爆風。
辺りに煙が舞う……
視界が悪い中、俺は真ん中辺りの見張りを倒して扉を開けようとするが……
開かない。
……が、刀を振り下ろすとピキーンと音が鳴って扉のドアノブが壊れた。
奥からの階段からも、さっき虎鉄改を投げた階段からも兵士が近づく。
ちょっと計算より遅れてるな…… っと思いながらもスッと中に入った。
中にはガウンを羽織った男女が焦った感じで立っていた。
「王様?」
この言葉に不思議そうに首を振る男……
バンっと扉が開き、『ルクスン王子!』っと聞こえた。
その瞬間にルクスン王子の額にクナイを投げた。
カツン! っと突き刺さった最後のクナイ。
『キャー』っと言う声は、俺が窓を突き破って外に出た後で聞いた。
俺は全て流れるように動きながら仕事を遂行している。
だから反応が遅いと悲鳴も遅れて聞こえるのだ。
ライブで声出ししようぜ…… っと思いながら俺はラリィとポンタが待つ場所へと急いだ。
ーー ーー
対戦に向けての練習中に爆発したのは上の階。
ゆっくりと煙が1階まで降りて来る。
「侵入者だ! 皆んな空から怪しいやつを探せ!」
リヒターが3階まで何があったか聞きに行き、そして3階の階段の上から私達に指示した。
侵入者…… 一瞬だけあの飛べる男と思ったけど、1人では無理なはずと思い直す。
とにかく皆んなで外に出て辺りを空から探るが……
捜索は朝を過ぎても続いた。
空からも地下も茂みも全て探したけど、侵入者は居ない。
情報では男としか聞いてないけど……
一度、皆んなが集合してガレットとリヒターの話を聞くことになる。
その時に思ったのは…… 疲れた、だった。
私達は夜中に起きてチレイラの森まで何時間もかけて飛んで、そして戦って帰って来た。
そして説教されて夜中まで練習して、何も食べずに昼近くまで捜索していた。
誰しも疲れが顔に出てる。
「昨日、夜中に侵入した男はマクニール様、ルクスン王子を殺害、どうやら犯人は飛翔族の可能性が高いらしい」
はっ? 練習中に抜け出した人が居るの……⁈
「俺達は今日のために練習をしていました!」
誰かが言った。
「だけど自分は裏切り者じゃないと言ってたらしい。 マクニール様に裏切り者じゃないと訴える若い男は、俺達以外には居ないらしいのだ……」
私の中で飛べる男かも、っと思っていたけど、あの人はそんなセリフは言わない。
やはり抜け出した、男の飛翔族!
今ものうのうとリヒターの話を聞いている……
「そこで1人1人の取り調べを行うらしい。 特別扱いはなし、俺もガレットも女も身の潔白を証明してくれ」
犯人は男のはずでは……
そんなことは言えるはずもなく、私達は1人1人、しっかりと時間をかけて取り調べを受けた。
私はもう初めから疑われてなくて、剣の腕前は誰が1番上か、とか、魔力は誰が高いのか、そう言うことを聞かれた。
もちろん私の答えは『ダントツでガレットです』、『トイレにしては長くガレットトが居なかった』、『モンスタークラスの魔力があるのはガレットです』と、とにかくガレットを推して来た。
その日、皆んなの倍以上に長く取り調べを受けたガレットは、疲れたのか、1人で部屋へと帰った。
……ありがとう、侵入者様。




