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転生 フリーダム  作者: 昨日シーサイドライン乗った
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 会議



    第三章  フリーダム


 第102話  「会議」




 レミアが人族になる決心をしてくれた。


 人族のせいで運命を変えられたレミア、人族になって幸せな人生を送ってほしい。



 「レミアが人族になるって、やっぱり上位亜人なのかな?」

 「一番近い人族で言うならそうですね」


 スキルが凄いからな…… ドリアードは。


 消えるスキルは触れるものまで消せる優れもの、浮遊スキルで空に居れば飛べない種は近づくことも出来ない。


 少しの水で一年を過ごせて、眠らない。



 「見た目とかは変わるのかな?」

 「人族になった唯一のドリアード、彼女の年齢は450歳を回っていました。 そのドリアードは人族に近づくに連れて見た目が大きく老けていったそうです。 最終的にどうなったかは繋がりが切れてしまったので分からないですけどね」


 それでも人族になりたかった? 

 それとも見た目は変わらないと思っていた?


 「それっていつのこと?」

 「分かりません…… ドリアードの古い記憶です」


 不思議な生き物…… それでも出会ったドリアードはしっかり感情がある。


 「その理論だとレミアは若くなるってこと?」


 ぶっちゃけ今の見た目が大好きだ。


 「ふふ、きっと私が初めてリュウさんと会った時のリュウさんくらいの年齢になりますよ」


 もう直ぐ15歳って感じ?


 「ドリアードの見た目は4つだけ、私も知らない見た目になるのは不安ですけど楽しみもあります」



 ドリアードは10歳の少女を50年やって、今のレミアの見た目(20歳くらい)になって、200歳からもう少し歳をとった形になって、400歳を過ぎるとミザリーのような40代の見た目に変わるらしい。



 「超絶美少女になるだろうね。 モテたら嫌だな」

 

 全く考えてなかったけど、レミアを何処で過ごしてもらって、どう人族の常識を教えるかなど問題はあるな……


 「これから俺もお世話になっている人達に会って話をしようと思う。 人族と会うことになるけど大丈夫?」

 「……はい、覚悟は出来てます」


 この人にとっては侍が切腹するくらいの覚悟なのか⁈




 それからレミアを背負って土竜族の里へ飛んだ。


 今回はレミアを余り人に見せたくないので、ガルフさん家の前でゆっくりと降りた。


 ドアを叩くとスエメルさんとラザノフがドアを開けてくれた。


 「遅かったでござるな、リュ……」


 っと言って、後ろを見たラザノフが固まった。


 「……か、リュウ…… その人が森の……?」


 続々と玄関に来た人達も、やはりレミアを見て動きを止めた。


 「ああ、説明するよ……」


 そう言った後に居間に通された俺とレミア、レミアは俺の袖を掴んで後ろを歩いて来た。



 椅子に座ると先ずは皆んなにレミアを紹介した。

 そして、レミアも挨拶してくれる。


 「レミアと申します。 東の森でドリアードをしています。 今回の神木のこと、ノマノーラのこと、羅刹種のことはリュウさんからおおよそは聞いております。 ちょっと騙されちゃったけど…… ね、リュウさん」


 か、か、可愛すぎる〜!

 ってか皆んな俺と同じように思ってるだろ、ラザノフやルカルスさんなんて顔がニヤけてるもん。


 「お、驚くほどの美しさと神々しさ、リュウ君はいつその人と出会ったんだ?」


 ガルフさんがニヤけ顔を引き締めて言った。


 「最初にこの村に来た少し前ですよ。 本当にたまたま時とタイミングが重なったのが今に繋がります」


 チラッと見えたレミアも頷いている。


 「本当に美しい…… 女の私でもうっとりしちゃう……」


 ボソッとクラルさんが言った…… けど、クラルさんだって綺麗な人だ。



 「レミア、ざっと皆んなを紹介するね」


 っと言って、ガルフさん親子を紹介したけど、ユリアとラリィとクラルさんはちょっと紹介しづらいな……


 「え〜と、そこのショートカットの美しい人はユーリスと言ってナラサージュのお姫様。 今は訳あってユリアと言う名で俺達の冒険者パーティーに入ってる。 分かるかな、冒険者パーティー?」

 「はい、お仲間ですよね。 ユリアさん⁈ はリュウさんの恋人ですか?」

 

 ん? そんな雰囲気あった?


 「いえ…… 以前はお付き合いをしていましたが今はリュウの目に私は映っていません。 ……レミアさんはリュウを好きなのですか?」

 「ふふ、はい」


 う、う、嬉しすぎる〜!

 今ならマックの全てのメニューを5分以内に完食出来る! ……身体に悪そうだけど。


 「つ、付き合っているのですか?」

 「え? いえ、あの…… 友達として好きです」


 ……やっぱりハンバーガー1個にする。



 「ふぅ〜。 次はラリィとクラルさん。 2人は親子だけどラリィは俺とラザノフの妹でもある。 基本的にはこの4人で暮らすのでクラルさん、よろしくお願いします」

 「ええ…… ちょっとドキドキしてきた」


 女もそうなのか。

 それなら男は当然だな。


 「よろしくお願いします」


 そう言ったレミアがチラチラ俺とラリィを見る……


 「あのね、ラリィね、お兄ちゃんとラザ兄に川で拾われちゃったんだよ」


 視線に気づいたラリィが言った。


 「でも全ての関係者に俺の妹と認められてる。 ……だよな、ラリィ」


 うん、っと元気よく返事したラリィ、レミアもニコッと頷いたので一応は納得したか。



 これで紹介は終わったのでガルフさんがこれからの竜族の対応などを話しだす。


 「先ずは見事に奪い返して来たな、驚いたぞ、リュウ君」

 「レミアを人族にする説得に時間がかかってしまい遅くなりました。 ちなみに奪うのに人族7名を暗殺しました、誰にも見られてないとは思いますが、問題になりますかね?」

 「お…… 驚きだな…… まあ問題には出来ないだろう。 奪われたのがドリアードだし、自国のセキュリティの甘さを露呈しただけだからな」


 女神様を監禁してたんだ、確定でフォルマップルはノマノーラの手先。


 「残る羅刹種は6名…… でいいのだよな、ラザノフ」


 ガルフさんがラザノフに言った。


 「多くても6名でござる。 北に3名、東に3名、西は味方枠のリュウの爺さんが居る」


 俺も全員が生きてるとは思わない。


 「いや、ラザノフ、東の1名はさっきレミアを奪い返しに来たので返り討ちにした。 生け取りにしたかったけど自害された。 それと本人達は羅刹種ではなく飛翔族と呼んでいたよ」


 驚愕の表情のガルフさんにルカルスさん。


 そう言えばレミアもミザリー経由で知っているから飛翔族なのかも知れないな。


 「それで、竜族の対応を教えてください」




 竜族の対応。


 土竜族、氷竜族は防衛に参加する。

 だけどそれぞれ出せる人数は20名、里内ランク上位20名が防衛に参加する。


 飛竜族不参加の理由。

 圧倒的に数が少ない。

 リズーン国の島に里があるので、西のドリアードはリズーン国が守ると思われる。


 逆に土竜族は東の森、氷竜族は北のドリアードが居ると思われる森の直ぐ近くに里があるので当然参加となる。



 ここで質問をしてみる。


 「ドリアードが居る森を知っているんですか?」

 「居るかどうかは分からん。 ただ北のチレイラの森に自称ドリアードの守り人が居るのだ」


 自称……


 「確かにチレイラの森にラモーナは居ますよ」


 それなら本当に守り人?


 「まあ、その辺りは氷の判断次第だ。 でも、ドリアードを探す時にはレミアさんに付いて来てもらうことになるかも知れん」


 確かに、本人にも協力してもらわなくては守ることなど出来ない。


 

 ルカルスさんが俺に質問する。


 「ラザノフと話したんだが予想では羅刹種は80人以下、竜族40人で勝てるか?」


 前回80人で来た羅刹種、余裕でレイモン南のドリアードを待って行ったので人数は増えないはず。

 だいたい人族が生きてゆきずらいノマノーラで、羅刹種がそこまで繁栄してるとは思えない。


 「地形で有利にすれば勝てるかも知れません。 逆に何もしなければ圧殺されるでしょう」

 「空から大魔術を仕掛けられるでござるな……」


 何も出来ずにやられる。


 「とにかく飛べないところに誘い込む」

 「その場合は犠牲も多そうでござるな」


 狭い場所だ犠牲は出る。


 「乱戦であのスキルの魔術が来るからな。 ゴルゾフさんだって厳しいくらいだ」

 「リュウ、今からやっておくことはあるでござるか?」


 ラザノフ達がやれること……


 「短い槍を使い慣れた方がいい。 氷は短い槍だけど土竜族は長いから」

 「ああ、狭い場所でも切り回せるように兵団で練習しておこう」


 最後はルカルスさんが言った。



 レミアが必死で我慢しているのは自己犠牲。

 自分が捕まれば被害はほぼないことを俺との会話で訴えている。

 だけどそれは認めない。


 もう何度もここに来る前に話し合ったのだ。

 レミアは人族の揉め事に犠牲になった人。

 更に犠牲になることなど許さない。

 

 どちらにせよ俺はレミアを1人でも守る。

 そして、キャプトマン率いる人達も俺に協力するだろう。

 それに俺のパーティーメンバーも全員かは分からないけど参加する。

 

 死ぬ覚悟があるやつだけの参加。

 人族としては当たり前の参加だと、俺は思う。



 「他の上位亜人に関して教えてください」

 「ドリアードの存在を教えるには危険がある。 絶滅に近ければドリアードを食べるだけで絶滅しなくなるのでな」


 男女で食べて永遠に繁殖してけばいいとでも思うだろうな……


 「実際には病気にならなくなるだけで寿命は関係ないらしいですよ」


 チラッとレミアを見ると、大きく頷いた。


 「……だがその真実を広めるには犠牲が必要かも知れん」


 砂漠化という痛みを経験して初めてドリアードを食べたことを後悔する。

 もちろん、食べた本人達は寿命をまっとうして土に還ってるけど。


 やっぱり信頼出来る者だけの防衛がいい。



 「リュウ、前回来た羅刹種は80名、拙者は今回はそんなに来ないと思うでござる」

 「ああ…… 下見なしで簡単にレイモンの南のドリアードを攫った。 普通なら人数を減らして来てもおかしくはない…… けど」

 「けど、予想外に人数を増やして来るかも知れないでござるからな。 その辺りも難しい防衛になりそうだ」

 「先ずはワシもサンカルムに行って王族との話に加わろう」


 作戦をルークやキャプトマン王子としないとな……


 

 来年、きっと来るのは羅刹種80人以下、守るのは現在竜族の40人プラス俺、乱戦ではあのスキルが活きてしまうか。


 ふぅ、まだ1年ある。

 レミアの人族化も不安だらけのはずだ、しっかりサポートしてあげたい。


 「ガルフさん、なるべく早くサンカルムに向かいましょう。 羅刹種の倒した爺さんが帰って来ないなら、他の羅刹種が来るかも知れない。 その時にソナーでレミアがこの里に居ることがバレたら危険なことになります」

 「ああ、そうだな…… 明日にでもサンカルムに向かおう」


 そう言ってこの日はそれぞれに割り当てられた部屋へと向かった。


 レミアはクラルさんやラリィ、ユリアと同じ部屋だけど大丈夫かな⁈

 もし嫌なら俺と同じ部屋…… ゴキュリ、こ、これは生唾ではありませ…… な、何この下半身…… 勝手に元気になりだした…… 変なやつ!

 まぁいいや。 ……一応、誘ってみ〜よおっと。


 しかし……


 他の人からダメ出しされて、ショックの俺は1人でふて寝した。




 夜中、いつものように朝の稽古に出かけようとして扉を開けるとレミアが居た。


 「……寝れなかった?」


 朝から会えて嬉しい。


 「はい…… ふふ、でも目を瞑ってましたよ」

 「そう…… これからは毎朝、俺と一緒に運動をしよう」


 疲れれば寝れるかも……


 「はい! リュウさん」


 ムグッ、心臓が…… 誰か掴んだ?



 運動途中、習慣になっているラザノフも加わる。


 そして稽古を終えるとラザノフがレミアに質問した。


 「ナラサージュはどのドリアードの担当でござるか?」

 「ナラサージュ……?」


 国名も分からないなんて、こっちに来た頃の俺みたいだな。


 「南にある国だよ。 下に描いて見るね」


 そう言って俺は地面にリーブルの大まかな地図を描いた(ちなみに俺が行ってない国はリーブルではない)。



 ドリアードの担当領土。


 レミア  フォルマップルの一部からリバティ、ゴールタール。


 ミザリー  ナラサージュ、コーラン、リズーンの一部。


 ラモーナ  リズーンの一部からホオヒューガ、フォルマップルの一部。


 

 「つまりナラサージュはミザリーの担当でござるな、それなら羅刹種はもうリュウの爺さんだけだ」


 ラッキーだ…… 多分、レミアにとって1番危険のない国がコーランとナラサージュ。


 「ああ、だけど今はシータが居ないのが痛いかな」


 俺だって四六時中はレミアの側に居られない、そうなるとクラルさんとレミアの護衛が居ない。


 「だが貴族街なら飛んで入って来るのも難しい。 貴族街なら少しは安心でござるよ」


 そうだな……



 レミアの部屋は……

 3階は俺のデカい寝室だけ。

 2階の2部屋はラリィとクラルさんが使ってる。

 1階はシータとか、お客さんが使うことが多い……


 仕方ない!


 「レミア、俺と同じ部屋だけどいい?」


 お願い、お願いします、神様〜!


 「ふふ、いいですよ、リュウさん」


 か、神様〜! 貴方の勝利〜! は僕の勝利。


 「それならポンタと拙者で間仕切り壁を作るでござるよ。 よくギルドの短期仕事で手伝ったから上手いでござるぞ〜」

 「いやいい。 出来れば目視して確認したい」


 ……よし! さりげなく即答でいやらしくない。


 「リュウ、何をしゃがみながら言ってるでござるか? 言いたいことがあるなら堂々と下半身…… じゃなくて胸を張って言ってくれ」


 クッ、ラザノフのやつ…… 俺の体の変化に気づいてやがる。


 「も、もうそれでいいからイジメないで」

 「ガハハ〜、気持ちは分かるでござるがな〜!」


 レミアは…… 不思議顔、バレてない。


 「ふふ、帰りましょ、リュウさん」


 そう言って手を差し出すレミア……


 「も、もうちょっと待って、ラザノフを見て鎮めるから……」


 俺はジッとラザノフを見て、一部の怒りを鎮めた……



 ーーーーー



 船でサンカルムに向かう。

 波の強さや流れ、風の影響などで早く着く時もあるけど遅くなる時もある。


 俺とラザノフの船は6人乗り、但しいつも6人以上で乗っている。

 今回もラリィを除いても7名乗っている。


 船室の小さなベッド2つは、昼間はレミアとクラルさんが使って夜はスエメルさんとユリアが使った。



 今は3日目の昼間。

 

 運転中の俺にユリアが話しかける。


 「リュウ…… 本当にレミアさんとは友達なんだね」


 この手の質問、何回目だ?


 「友達以外に何になれるの? 女神様と」

 「でも人族になるんでしょ……」


 そ、そうだった……

 嬉しくて仕方ないのは、きっとドリアードのスキルだろう。


 「そうだね、でも年齢が若くなるかもって言ってたよ」

 「えっ、そんなことあるの?」

 「分からないけど15くらいになっちゃうかもってさ」

 「そ、そうなんだ。 ねぇ、リュウは年上が好きって言ってたけど変わってない?」

 「そんなのコロコロ変わらないでしょ、アイツと違って」

 「フハハ、アイツね〜。 レミアさんに絶対惚れちゃうね」


 それだけは許さん!


 「アイツの首が繋がってるのもあと少しかもね」

 「リュウ…… やっぱりレミアさんのこと好きでしょ」

 「大切な人は間違いない。 レミアが人族になって俺がロリコンに目覚めたら、有りかもね」

 「ふふ、2年かぁ、遠いな……」


 ユリアはあと数ヶ月で誰か知らない人のお嫁さんにな…… あっ!!


 俺の病気は治った!


 ユリアを…… 俺がもらってあげれる!



 今回の騒動の段取りがまとまったら、キャプトマン王子に言って俺がユリア…… いや、ユーリスをお嫁にもらおう。

 もちろん、上手く行くとは限らないと言っていたので本人には何も言えないけど。


 ユーリス……


 全く未来を考えたことはなかったけど、どうせ俺は大して女にこだわりがない。

 その中でもユーリスは最高の女だと思う。

 ただ……

 

 

 ーーーーー



 サンカルムには次の日のお昼過ぎに着いた。


 先ずは海の家にレミアを案内する。


 玄関前まで来てこの家は俺とラザノフで買ったことを説明して、今は3階の俺の部屋の隣しか空いてないので、レミアがこの家に来る時は俺の部屋か隣を使えばいいとさりげなく俺の部屋も入れて説明した。


 レミアが笑顔で返事してくれたので、妙に嬉しくなってしま……


 「リュウ、リュウ!」


 ん⁈ 見るとルークにユキナ、ポンタにポンコさんが玄関のドアを開けて俺を見ていた。


 「来てたんだ、ルーク」


 ポンタ達は留守番とリコの世話をしているのは知っていた。


 「ああ、それよりニヤニヤして……」


 っと言って、レミアを見て固まった。


 って言うか、俺ニヤニヤしてた?


 「紹介するね、俺の兄のルークと愉快な仲間達。 こちらは東のドリアードで女神様のレミア、爺さんから聞いた?」

 「あ、ああ…… 女神様…… 本当にその表現がピッタリだ……」


 惚れるなよ!


 「ドリアードの存在自体をルークは知ってた?」


 知ってる人自体が少ない。


 「ああ、向こうで聞いたことがある。 近づいてはいけない人と向こうでは伝えられている」


 レイモンでは不死とかではなく、近づくな?


 「何で近づいちゃいけないの?」

 「美しい生き物で、必ず虜になってしまうと言われているから。 惚れても絶対に結ばれることはないだろ」


 レイモンの言い伝えのほうがいいな。


 「ふふ、そうですね」


 ポッと赤くなったルーク……

 確かに、近づくな! っと言いたくなる。

 


 「レ、レミアさんはリュウの恋人なの?」


 ポンタはいきなり何を言っている⁈


 「ふふふ、違いますよね、リュウさん」


 ウグッ…… また心臓が……


 「やった〜! 俺は完璧にレミアさんのために死ねる!」


 ポンタは死ねる女が多すぎる!


 「勝手に死ねよ、俺のレミアは俺が守るからいいの!」


 ったく…… レミアは俺以外の人族は、苦手で苦手でもう本当に苦手で仕方ないっつうの。




 部屋に入ってこれまでの経緯を説明する。

 そしてポンタとルークに確認する。


 「……っと言うわけで俺はレミアを守る。 そして土竜族のトップ20も加わることになった。 ポンタ、ルークはどうする?」

 

 先ずはポンタが返事する。


 「俺の祖父がフォルマップルの羅刹種というのは間違いない。 ただこの世界を苦しめるために行動して、俺達みたいな孤児を増やした。 俺自身のケジメのためにもこの星を守る!」


 初めてカッコいいポンタを見たよ、似合わないけど。


 「お前より強い上に人数も上、死ぬ確率が高いのは間違いなくポンタが1位、ポンコさんはどう思う?」

 「私も羅刹種の孫、スキルは受け継がなかったけどね。 ポンタ、もう少し話し合おう、ね……」


 ポンタはポンコさんを見て、しばらくしてから頷いた。


 次はルーク。


 「俺は西のドリアード防衛のリーダー、つまり総大将になる予定だ。 それでリュウに相談だが、ロナイン爺さんから教えてもらった回復薬のレシピ…… 俺が発表していいか?」

 「個人的にはいいけど、ナラサージュはリズーンに貸しが出来たと思うけどいいの?」

 「も、もちろんだ……」

 「ルークに貸しじゃないからね、リズーンに貸しだから。 トゥルフ王子にも言っといて」


 あのレシピを発表するなら、またリズーンの1人勝ちになる。

 共同で開発したならともかく、リズーン単独なら貸しだ。



 後から聞いた話では、トゥルフ王子はルークを総大将にするのに階級を上げたかったようだ。

 ルークはこの発表を功績として上級貴族となり、総大将となってもおかしくない階級と実績(回復薬と貴族チャンピオン)になったことになる。



 とりあえず後日にポンタの返事を聞くことにして、俺とガルフさんとクラルさん、レミアとラリィは貴族街の家へと向かった。


 俺はお城に報告に行ったりキャプトマン王子の離宮へ行ったりで、家に帰って来たのは夜になっていた。


 夕方からルークも来ているので、明日キャプトマン王子も含めてリズーンがどう動くかを聞く予定。



 夜、就寝前、俺はラリィとレミアを誘ってお城の後ろにある湖を散歩した。


 思い出すのはカラミージャの湖を散歩した時。

 チョーやゴンバー、ルイースは…… あの村の人達は元気だろうか。


 連れて来たリコはラリィの指示で自由に走り回っている。

 基本、リコはラリィかクラルさんの指示がないと2人の側を離れない。



 「お兄ちゃん、レミアお姉ちゃん⁈ も一緒に暮らすだの?」

 

 ラリィは女の人は全員お姉ちゃんにするけど男は何々お兄ちゃんとは言わない。


 「そうだね、どう言う関係にするかはキャプトマン王子と相談してくるよ」


 お姉さん、妹、親戚の人、一緒に暮らしておかしくない関係か……


 見ため的には姉だけど、人族化すると思いっきり妹の見た目に変わってしまう。

 今も外では消えてるように、これからも目立つ場所では消えててもらう方がいいか。


 横を見ると月明かりに照らされて、この世のものとは思えないほどに美しい人が…… 少し不安気に見えるのは今の状況では仕方ないか。


 俺はこの人を守る。

 元々、初めて会った時からこの人を守る役目をしようとしたくらいだ、その考えは変わってない。

 思えば爺さんも同じように考えたのだろう。

 それがドリアードの魅力なのか、それとも隠れたスキルなのかは知らないけど……


 


 次の日、王子の離宮に向かう俺とラザノフとガルフさんと兄、そして消えて付いてくるレミア。


 途中、ガルフさんが思い出す。


 「そう言えば忘れてたがドムフがこの街に向かってる。 ラザノフがこの2年で大きく成長したのは新しい視点の君との稽古にあるのは間違いない。 だからドムフを鍛えてやってくれ」


 ドムフか……

 氷竜族の里で稽古を一緒にした印象は、素質はラザノフよりありそう、だった……

 

 「全然構わないですよ、俺達と同世代だし。 でもゾフさんがよく許しましたね」

 「来年の防衛で出来るだけ実力を上げないと待っているのは死だからな。 ゾフだって1人の親ってことだろう」


 なるほどね……


 「海の家でドムフは預かるでござるよ」

 「いや、実力を俺に上げてほしいと思ってるなら俺のやり方でやってみたい。 だから貴族街の家に住んでもらう。 レミアの護衛にもなるし」


 ラザノフは俺をライバル視してるので、ラザノフがアドバイスを求めてる時以外はアドバイスは出来ない。

 でもドムフは俺に弟子入りするのと同じなので、ビシビシと俺が思ったことをやってもらう。


 「冒険者にもなりたいって言ってたでござるぞ」


 それは氷竜族の里で聞いた気がする。


 「問題ないんじゃない。 パーティーには入れないけど」

 「何故でござるか?」

 「アイツは強くなると思うよ。 だから」

 「ん〜⁈ 俺達のパーティーが強くなりすぎるってことでござるか?」

 「そう。 ユリアだって学校の大会の3年女子の準優勝、でもパーティーでは大荷物」

 「フハハハ〜! リュウ、それはユリアさんに失礼だろ」


 ルーク…… 大笑いしてた癖に。


 「とにかくユリア以外は俺達のパーティーはチートレベルのメンバーが多い。 弱いと言ってもシータだって上位亜人で、サポートをさせると凄く役立つ」


 敵に居たら嫌だと思うレベル。


 「ああ、そうでござるな。 ポンタも魔力たっぷりの無詠唱で、最近はサポートが上達してる。 それにリュウに一発入れるくらいの体術もある」

 

 あの時の俺の目にはリシファさんしか映ってなかったからな。


 「ポンタ君も凄いんだな…… あっ、そうだリュウ、爺さんがお前に話があるって言ってたぞ、会いに行ってやってくれ」

 「爺さんが…… 何だろ?」

 「さあな…… レミアさんを連れて行ってくれば?」

 「レミア、行こう!」


 気配に向かって言った。


 気配から、ハイと聞こえたので2人でお出かけ確定。

 レミアもミザリーに会えるので喜んでるはず。


  

 そんなこんなで王子の離宮。


 いつもの執事の人に案内されて会議室に案内された。


 ほどなく王子…… いや、王族が現れた。


 現れたのはビッシュ王と、長男でビッシュ王に似ているトラーリーン王子、恰幅の良い次男、カージナル王子、最後はキャプトマン王子とそれぞれの付き人、しかし付き人は部屋の外で待つ。


 挨拶もそこそこに、俺がこの事件の概要を話した。



 「うむ、やはり難しい問題。 公には守れなく、守れなくては未来は地獄。 それで竜族、リズーンの対応を教えてください」


 次男のカージナルが言った。


 ガルフさんが応える。


 「氷竜族は北のドリアードを、ワシ等はこのレミア様を、それぞれ精鋭20名で守る」

 「ん? この……」


 ここで俺がレミアに姿を現すように言った。



 姿を見せたレミア……

 何もない空間から超絶に美しい女神様が現れたのだ、皆さんの驚きは分かるが…… ビッシュ王は腰を抜かした。



 ビッシュ王が退場となってしまったが話は続く。



 「は、話を聞くだけでは信じられないこともあったが…… これで疑念はなくなった。 ルーク、リズーンはどう動く」

 「リズーンは兵団全てで守ります。 もちろん兵団や関係者、全てに箝口令を敷き、来年の今頃でこの問題を話す人はリズーンには居ないでしょう」


 一枚岩。

 何となくリズーンはそういう国と分かる。


 

 「それではナラサージュの対応を話そう。 リュウをリーダーとして少し早いが兵団を立ち上げてもらう。 そして竜族と協力してドリアードを守ろう」


 兵団か……

 貴族のお坊ちゃんが戦いに加わって役に立つとは思えない、死んだら大ごとになりそうだ……


 「キャプトマン王子、羅刹種は強いですよ。 犠牲者が増えるだけです」

 「それならナラサージュは何も対応しないことになる。 少なくともリズーンに対して見栄えが悪すぎる」

 

 何かしたいけど、羅刹種相手では人間では危険すぎるか……


 「キャプトマン王子、また私兵を貸してくれませんか?」


 ハッとしたキャプトマン王子。


 「フォルマップルか!」

 「そうです。 間違いなくフォルマップルがノマノーラと繋がっている。 相手の動きを少しでも分かれば優位に運べます」


 フォルマップルは東の森にも北の森にも遠くない。


 「ああ、そうだな。 きっとノマノーラからやって来た羅刹種達は、一旦フォルマップルの首都、ジーンライネに集まって、ロナイン爺さんと一緒に来た羅刹種からの情報を受け取るはず。 出来れば貴族街に間者を忍ばせたいな……」


 ルークが言った。


 「それならキャプトマンだけでなく私達の私兵も使うといい」


 長男王子の…… 何だっけ?


 「分かりました、けど危険な役回りなのは承知しておいてください。 ところで貴族街には忍べますか?」


 この質問には誰も応えず…… 難しいか。


 「リズーンでも聞いてみますが難しいようならフォルマップルの各都市や村などにも間者を配置しておきましょう。 相手は必ず集団で飛んで来ると思います、それが昼間であれ夜であれ関係なしに……」

 「それだと人が足りなくない?」

 「リズーンとナラサージュで配置すれば? 例えば北の森側はウチの担当とか」


 リズーンが北でナラサージュが東か。


 「そ、それはいい。 密に情報を交換して備えよう」


 長男王子…… 君の名は?


 「動きが活発になる3ヶ月前には忍ばせたほうが良いと思います。 リュウ、俺はコチラとの連絡係でもあるのでよろしくな」

 「物置きで良ければ空けとくよ」


 ラリィが喜ぶな。


 「とにかくまだ1年あります。 やるべきは北のドリアードの確保と何処で守るべきか。 リュウは何か考えてるの?」

 「俺はレミアを奪う時にフォルマップルの地下牢に潜入した。 もし逆に奪うではなく守る場所なら羅刹種だろうが何だろうが俺は守れる」

 「な、なるほど…… 地下牢なら飛べないので剣の腕が生きるでござるな」


 ルークが反対意見を言う。


 「それだと乱戦になる。 それに入り口を抑えられて眠り薬などを焚かれたら簡単に奪われるぞ」

 「でも大筋はその方法しかない。 地下牢の奥に飛べるドリアードだけが通れる隠し通路を造るとか、色々と練っていくしかないね」

 「おお〜、その方法はいいな……」


 ルークが賛同してくれたので、後は入り口問題を解決するだけか。



 それにしてもルーク……


 シレッとリズーンは西のドリアード、ミザリーを守ると言ってたけどミザリーは400歳を超えている、だから優先順位は低い。

 もちろん神木のことを誰もが知ればレミアが1番優先順位が低くなる。

 

 もし俺がレミアの神木問題を知らないノマノーラに住む羅刹種なら、今回奪うのは北のドリアードが最優先だ。

 理由は残りの寿命がほぼ300年残っていること。

 レミアは430年の寿命があるけど、これが中途半端になる。


 300年に一度しか近づかない星、スペルティ、俺達の星だ。

 もしレミアを奪うことに成功しても、次の300年後にまたドリアードを奪いに来なければならない。

 その時に奪うことに成功しても、ノマノーラでは神木が1つしかないのでどちらか1人は不要…… いや、その時はレミアを処分すればいい。

 もし、300年後の強奪に失敗した場合、北のドリアードではなく寿命の長いレミアの方が断然いい。


 羅刹種が1番に奪取したいのがレミア。

 この星の1番の痛手になるのは北のドリアード。



 「何故リズーンは北のドリアードを守らない? 1番重要でござるぞ」


 事情の知ってるラザノフとルークはこの争奪戦でレミアより北のドリアードが重要であることを知っている。


 でも詳しく話してないので王族は知らない。


 「今回は量より質の戦い。 リュウを物差しにすれば氷竜族に守ってもらった方が奪取されない可能性が高い」


 確かにゴルゾフさんの実力はきっと俺よりある。

 ゼブンさんだって恐ろしく強かったし、レベルが全体的に高かった。


 「でもミザリーのところには羅刹種は現れないんじゃない?」

 「いや、俺なら居場所の把握、隙があれば確保までしたい。 その後に北や東のドリアード次第で逃がせばいいだけだ」


 予備か……


 「爺さんは?」

 「ミザリーさんに寄り添ってもらうつもりだ。 爺さんだってあのスキル、弱い訳がない」


 最後の砦、ザ、爺さん!


 「ルークが言いたいことは分かった。 でもリズーンは他の何処の国にもドリアードのことを内緒にするって考えで間違いないね?」

 「私もそれをしっかり聞いておきたかった。 リズーンとナラサージュだけで他の国は絡ませない、それで良いのだな?」


 カージナル王子が言った。


 「実質、土竜族はリバティ国、氷竜族はホオヒューガ国、我が国にナラサージュ。 フォルマップル国は抜かすと、コーラン国とゴールタール国だけが参加しないこと、と言うより知らないことになる。 この2つの国の王族にはトゥルフ王子を通じて話をするかも知れません。 ただ世界の危機に防衛に参加しないのは国として恥と思うはずです。 この辺りをトゥルフ王子は悩んでいました」

 「無闇に参加しても実力が足りない、また参加する人数が増えると言うことは、未来への危険も増えると言うことだな…… 教えなければ角も立つしな…… もちろんずっと内緒に出来れば別だが」


 カージナル王子の担当はリバティとホオヒューガ。


 問題となるコーランとゴールタールは第一王子の担当だ。

 

 「わ、私はトゥルフ王子とは面識がないが、コーランとゴールタールの王族とは面識がある。 その時は私に任せてはもらえぬか?」


 トリー…… トニー…… トシー……王子が言った。


 「私が勝手に判断できることではないので、トゥルフ王子に直接お聞きください」


 


 まぁ、今回の話し合いはこんなもんだろう。

 日が経ち変わってくることがあれば、また集まって話せばいい…… と思っていると第二王子のカージナルが思いがけないことを言い出した。


 「リュウ。 リバティ国のクジャール家のご令嬢のスピカ様と婚約してくれ。 スピカ様は父の兄が現在のリバティ国の王で血筋の良さは折り紙つきだ。 リュウがスピカ様と婚姻ともならば今まで以上にリバティ国と結びつきが出来る」


 この手の話がキャプトマン王子以外からも出てきた…… そのうち断れなくなるんだろうな……


 「カージナル王子は余裕ですね。 俺はこの防衛で誰よりも命を張ってレミアを守ります。 羅刹種80人対土竜族20人と俺、必ず生きて帰れるとは言えません」


 レミアの不安そうな顔…… あとで絶対に死なないと安心させよう。


 「あっ、いや、もちろん防衛が終わってからの話だ。 ……ただこう言う話が沢山来ているのは知っておいてくれ」

 「それなら私のところに来ているゴールタールの姫の方が良い。 何と言っても王族だからな、ガッハハハ」


 第一王子の…… トニーで覚えとこう。

 トニー王子が言った。


 それにしても…… 泣きたくなる。

 もう王族レベルになると人間だとか亜人だとか気にしないのかな……


 「その話はもういいでしょう、彼は防衛の総大将とも言える立場、この時期に話す話題ではない」


 キャプトマン王子が助け舟を出してくれた…… でも防衛が終わったら怖いな。

 



 こうして1回目の極秘の防衛会議は終わった。


 今後も何か変わったことがあるたびに話し合いで擦り合わせが行われるだろう……




 帰り道、歩いても遠くはないけど、キャプトマン王子が馬車を用意してくれた。

 

 なのでレミアは消えずにいる。


 

 俺の向かいに座った女神、レミア。

 俺を覗き込むように話しかける。


 「浮かない顔して何か不安があるのですか?」


 浮かない顔、してた?


 「何もないよ。 大丈夫、レミアは必ず俺が守るから」

 「ふふ、リュウさんも怪我したらダメですよ」


 怪我は恐れてられない。


 「大丈夫、俺は強い……」


 特に貴方を守る戦いなら。


 

 よく見るとレミアだって浮かない顔、不安は俺より上か。


 「リュウさんはこの戦いが終われば誰かと結婚するのですね」


 俺は見た目がどうでも別に気にしない。

 ただ意地悪な女は嫌だな……


 「元々、小さな頃から魔力が多いからそうなるかもって言われてたからね」


 ルークも同じ仲間だけど、ルークは好きな女が平民なので事態は複雑だ。


 「そうですか…… リュウさん、私はどうすれば良いのですか?」


 あっ! ……そう言えば俺の側に居てって頼んだんだ……


 「何も心配しないで。 俺の妹として登録するとか、その時になるまで考えておくから」

 「ガハハハ〜、それならリュウのお嫁なんてどうでござるか?」


 な、な、な、な、何を言う〜!!

 め、め、女神様に対して…… チラッとレミアを見ると……


 モジモジして赤くなってる……


 ヤバい、ドキドキしてきた……


 「そ、そ、それも絶大にいいかもね」

 「ガハハ〜、リュウが真っ赤になってるの初めて見たでござるぞ〜」


 どうなってんだ…… 俺の肌。


 「まあ、まだ1年ある。 リュウ君とレミア様がいいように考えて行けば良いぞ」


 そうだ、もう1年しかない。

 実力をアップさせてレミアを守らなきゃ……


 

 羅刹種がレミアを奪いに来るまで、あと1年。

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