9 悶絶
カラフルな画像が映し出され、文字ばかりで地味だった画面が、華やかになった。
とても馴染みのある画像だ。
正式なタイトルは忘れちゃったけど、池野あおい先生の名作漫画『DTニート異世界転生ハーレム』ものだ。
【愛用サイト】池野あおいの漫画サイト
そりゃ、見覚えもある。
俺が、崇めていた神ヲタサイトなんだから。
閉鎖された時は、本当にショックだった。
久しぶりに、神サイト画像との再会を果たした俺は、感慨にふけった。
そもそも俺を、ここに呼んだのも、サイト管理人だよな。
管理人がいるんなら、復活してくれたらいいのに。
そんな俺の目を覚ますかのように、刺激的な画像が、飛び込んできた。
【おかずサイト】○○○
見覚えが・・・、あり過ぎる!
俺が、こよなく愛用しているH系サイトだ。
映し出されているのは、お気に入りの中でも選りすぐりの、どストライク画像。
『見えないから安心しろ』ってのは、このエロ画像のことか?
いやいや、いくら見えなくても、そばに人がいるこの状況は、居心地が悪すぎる。
個室じゃない限り、安心など、できるわけがない。
美女の前でエロ画像を盗み見るスリルで興奮する人も、いるにはいるのだろうけど。
俺にとっては、ただの嫌がらせだ。
しかし、嫌がらせは止まらない。
【おかずアプリ】○○○
っ!
【おかず作品】○○○
あぁ・・・。
【秘蔵動画】○○○
・・・。
全て、身に覚えがある。
身に覚えが、あり過ぎる。
もはや、尻の穴を見られたどころの次元ではない。
誰にも打ち明けたことのない俺の性的嗜好が、完全に丸裸にされていた。
知られたくない秘密を暴露され、圧倒的敗北感に打ちのめされた俺は、まっ白に燃えつきた。
MPが、0になった。
悶絶している俺を気遣って、みちるさんは、優しく話しかけてきた。
「安心してください!
見えてませんよ♪」
俺は、言い返そうとした。
『見えてない?
見えてないから安心という次元の話ではないですよ!』
しかし、
MPが たりない!
俺は、口をパクパクさせることしかできなかった。