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夢の国 チュウニーランドへようこそ!  作者: あおいりゅう
第一章 旅立ち
6/9

6 VIP待遇

 リアクションの取り方が分からず、とまどう俺を、美女は優しく導いた。

「立ち話も何ですし、後は、くつろぎながら、お聞きください。

 迎賓館で、説明させていただきます。」

 迎賓館って、これまた大層な。

 それとも、本当に俺は、迎賓館に招待されるようなVIP待遇なのだろうか?


 美女が指し示す先には、小さな建物があった。

 俺は、誘われるがまま、案内された部屋へ入った。

 迎賓館と聞いて、鹿の頭などが飾られている暖炉の部屋を思い描いたが、それとは少し違った。

 部屋の中は、漫画・アニメ・ゲーム・フィギュアなどのコレクションが、ところ狭しと、几帳面に飾られていた。

 中央には、大きなテーブルが、鎮座している。

 ゆったりめの4人席で、それぞれの席ごとに、大画面のモニターが設置されている。

 椅子は、ハイグレードなゲーミングチェアだ。

 高級志向の漫画喫茶といったイメージで、ここなら、いくら待たされても、快適に過ごせそうだ。

 さすが、ヲタクをもてなす迎賓館といったところか。


「一番奥の椅子へ、おかけください。

 お荷物は、隣の席にどうぞ。」

 美女の言葉を受け、俺は、着席した。

 目の前のモニター画面は、真っ黒で、何も映っていない。

 美女が、向かいの席に立った。

「大竹まもる様。ようこそ我が国へ、お越しくださいました。

 改めまして、私は、入国審査官の愛野みちると申します。

 我が国では、仲間同士を名前で呼び合うことが、慣例となっております。

 VIP待遇の大竹様も、本日より正式に、私達のお仲間です。

 今後、私のことは、みちると、お呼びくださいませ。

 私も、まもるさんと呼ばせて頂きます。

 会ったばかりの名前呼びなど、照れくさいことは重々承知ではありますが、よろしくお願いいたします。」


 名前呼び?

 俺は、誰からも誘われたことがない真正のボッチだ。

 そもそも、人から呼ばれることがない。

 よっぽどの用事がある時だけだし、ましてや、親以外から名前で呼ばれるなんて、あり得ない。

 そんな俺が、誰か(美女)を名前で呼ぶなんて、とんでもないハードモードだ。

 照れくさいどころの騒ぎではない。

 さりとて、こんなことで真っ向から逆らうのも、大人気(おとなげ)ない気がする。


 ええい!

 ここは、「郷に入っては郷に従え」だ。

 少し大人になった俺は、ハードモードへの挑戦(名前呼び童貞の卒業)を心に決め、ペコリと頭を下げた。

「分かりました。

 初めまして、みちるさん。

 こちらこそ、よろしくお願いいたします。」


 く~っっっ!

 やっぱり、照れくさい。


 名前呼び童貞を卒業した俺の顔は、真っ赤になった。

 みちるさんは、軽く微笑みを浮かべながら、会釈した。

 そして、何事もなかったかのように、

「それでは、この国について、簡単に説明しますね。」

 と言いながら、席に着き、テーブルの上にあるパスワード表を指し示した。

「タブレットやノートパソコンをお持ちでしたら、Wi-Fiに接続してください。

 パスワードは、『dream-land』です。」

 俺は、ノートパソコンを取り出し、電源を入れ、Wi-Fiを開いた。


 chu-ney free_wifi・・・

 これだな。

 パスワードは、『dream-land』と。

「接続しました。」


 みちるさんは、軽く頷き、

「それでは、モニター画面をご覧ください。」

 と言いながら、俺のスマホを手元のケーブルに接続した。

 そして、悪戯っぽく微笑んだ。

「ちなみに、画面に映し出される内容は、私の側から、ま~ったく見えません♪

 安心して、ご覧くださいね!」


 ん?

 どういうこと?


 俺は、疑問符を浮かべながら、大画面を見つめた。

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