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逃走

「「現在対象はBブロック通過中!繰り返します!!現在対象はBブロック通過中!!」」

俺はそんなアナウンスと共に警報が鳴り響き施設内がが赤く点滅する中、一心不乱に出口を目指し走り続けていた

「思ったより気づかれるのが早かったな、あいつらあんなに仕事できなさそうな顔してる癖に」

「この前私が体調不良を訴えた時にはこんなに早くは対応してくれなかったくせにこんな時ばかり対応が早いのね」

俺と共に少女が皮肉に文句を言いながらの横を走っている

「俺らが病気でいくら苦しもうと獄卒からしたら関係ないが、逃げられるのは困るってことなんだろうな」

「ムカつくわねそれ、私なんてこんなにか弱いのに困ってても助けてくれないなんて」

俺も思うのだが決して遅くはない俺と同じペースで走りながら喋れるこの少女は、か弱くはないと思う

なぜこんな状況になっているかと聞かれたら俺たちは何故かこの刑務所的な施設に捕らえられていたがそれに嫌気がさして逃げ出そうと思ったことが事の始まりだ

そしてそれを実行しようと持ちかけて来たのがこの子だ、少女の名前はニーナと言うらしい

「ところでなんでお前は俺がこの施設から出たいと思ってるって分かったんだ?あとなぜ俺なんだ?」

ニーナに聞きたいことは山ほどある、なにせそもそもここを抜け出したいとは常々思っていたが今日今すぐ逃げ出そうという覚悟は俺にはなかった。

ずっとこのままここで緩やかに死ぬのではないかとすら思っていたからだ、そんな俺の前にニーナが突如現れて俺の独房の檻をどうやって入手したかは分からないが鍵を使い開けたため、ここにわざわざ留まる理由もないと思い、なし崩し的にニーナと共に逃げているだけなのだ

「そりゃさあんた見てれば誰だって分かるわよ、あんなに羨ましそうにフェンス越しに向こう岸を見てればね」

そう微笑みながら俺に言ってきた

「聞きたいことは山ほどあるが、それよりこの先どうする?」

「大丈夫よ!私に任せなさい!このまま真っ直ぐいけば外よ!」

「え、この先行き止まりなのだが...」

「そんなもの些細な問題よ!大丈夫大丈夫!私を信じなさい!」

何を言ってるのかさっぱり分からないがこの先考えても捕まる未来しか見えないので俺は思考を止めてこの女に着いていく覚悟を決めた

ふとそんなことを思っていると刑務所の庭に出ることが許されている2時間程度の自由時間のことが頭に過ぎる

確かに俺はこの自由のない孤島よりも

俺はあの島に憧れた。あの煌びやかで賑やかなあの光に憧れた。俺はあの光にたどり着くことは出来ないのかもしれない。それでもこのちっぽけで自由も娯楽もない俺の居場所から見た景色はその光は俺にとって生きる希望そのものであった。

そんなことを考えているとニーナが俺に手を差し出してきた

「さて、私と賭けにでましょう?運が良ければ死なずに出られるわよ」

「賭け?何を言ってるんだところで何だこの手は」

「こんなチャンスないわよ?ここから出られるかもしれなくてそれに追加で、この可憐で華奢で美少女な私と手を繋いであげるって言ってるのよ?」

確かにそう言われると断る理由もない気がしてくる確かにこいつはめちゃくちゃかわいいオマケにここから逃げられるかもしれないんだろ??これは乗るしかな....

「運が良ければ死なないっていったか?それってどうい....」

俺が言い切るよりも先にニーナは俺の手を取り壁に向かって全力疾走した。

後ろから俺達を追いかける足音がする

「居たぞ!!にがすな!!」

「こ、これやばいんじゃないの?!」

俺は焦りながらも訴えるもニーナはそれを聞かず走り続けて壁の目の前ぶつかる距離まで来た

「ああああああああぁぁああああああああぁぁぁああああああああぁぁぁぁ」

俺の叫び声は俺の姿とニーナの姿と共に壁に吸い込まれて行った。

「ここはギリギリ地上みたいね!運が良かったわね!生きてるわ!」

高揚しながらニーナは伝えてくるが俺の理解が状況に追い付いていない、開いた口が塞がらないとはまさにこの事だ

「あらそんなアホな顔してどうしたのかしら、びっくりさせしちゃった?」

「そりゃするだろ!!なんだこれは夢か?魔法か??」

呑気に聞いてきたのでそのままストレートに思ったことを尋ねてみると

「魔法とはまた別物ね、この施設にいる人間ならみんな知ってると思っていたけれど能力について知らない人もいるのね」

「また疑問が増えたよ、能力ってあれか?超能力とか異能ってやつか??」

「そうよ、てかこの施設で管理されているならあなたも何かしらできるはずよ?できないの??」

「できねえよ」

俺は目の前の現実にただ呆然としていた

「こんな所でグズグズしてる訳には行かないわ!早く行きましょ!」

俺は追っ手が来ていることを思い出すと現実に引き戻された

「手段はあるのか??」

「つくづく思うけどなかったらそもそもここを出ようなんて言わないわよ」

彼女はクスリと笑うと手を引っ張られた

「この先に舟があるの!その船で向こう岸まで逃げましょ!」

なんだろうこれが吊り橋効果と言うやつなのか追っ手に追われてるからこのスリリングな状況にドキドキしてるのかこいつが可愛くてドキドキしてるのか分からないがとりあえず可愛いので無言でついて行くことにした..

少し歩くと船が見えてきた

「ほらね?!あったでしょ〜、一緒に逃げてあげるんだから感謝しなさいよね!」

「一生ついてきます!!」

この孤島からの脱出する目処がたった俺は安心と安堵そして俺を出してくれたニーナへの信頼からそう告げた

「やけに素直ね、まぁ素直なやつは嫌いじゃないわよ」

「うす、、、てかこれ電動式じゃんか詰みじゃね?これ」

「こんな時のためにね、鍵は色々拝借してきたのよ!」

「さすが!!で、どの鍵かわからなくね?」

「..........横にあるボートで行きましょうか」

「肝心なとこで抜けてんなああ!!」

俺たちは船の横に備え付けてあったであろうボートにのると今にも月も星も見えないような雨が降りそうな曇り空であたりの見えない暗闇の中、港の光を目指してボートを漕ぎだした

「「逃走者2名はボードを使用し脱出中!繰り返す!逃走者2名はボートを使用し脱出中!!港に上陸する前に奴らを捕獲せよ!」」

サイレンが鳴り響き続けるなら再びアナウンスが聞こえてきた

「ねぇ、ニーナこれほんとに逃げきれんの?」

と不安げに聞いてみると

「おそらく逃げらるんじゃないかしら、あの施設にある鍵という鍵は私が拝借しといたからヘリどころか船の一艘すら動かすことは出来ないはずよ」

「ほぉすげえな、よく盗めたな」

「そりゃ能力者ですから!こんなもんですよ!」

高らかに笑う彼女を他所にふと思い返して再び聞いてみる

「なんで俺の事なんて出してくれたのさ?」

「んーたまたま私の逃げ道にあなたがいて、あなたは起きてたから、、」

「気まぐれってやつか、なんにせよありがとう」

そう告げると彼女は微笑みながら今度は彼女から質問をしてきた

「あなた、名前は??」

「それがわからないんだよね、あそこに入る以前の記憶もないけど被検体七十四番って呼ばれてたな」

「なんだか名前が無いと可哀想ね、私が付けてあげる!これからあなたは"ななしくん"よ!」

「結局名前ないみたいになってんじゃねえか!まぁありがと」

「あなたってツンデレなのね、ところであなたの能力ってなんなの?ほんと」

「なんだろうなぁ、何もできる気がしないんだよなぁそういうニーナはどう言う能力なの?さっき壁をすり抜けてたけど」

「私の能力は"同化"よ」

「同化?能力が想像しにくい」

「やれやれ、これは私がつけた能力の名前じゃなくて研究員達がそう呼んでた」

「研究員、あそこってもしかして刑務所じゃなくて研究所なのか??」

俺はあの施設に7年ほど拘束されていたがなぜ捕らえられていたのかその疑問が少しだけど解けた気がする。あの施設は異能力者を研究する施設であり俺は異能力者の可能性があることが

「まぁ、俺記憶ないから、実質ただのパンピーだけどな」

「異能力持ちだと確信して頼りにしてたけど少しあてが外れたなぁ」

儚げにそう言うと先程まで曇っていた空が割れ始めて月明かりが彼女を照らし出した

そして彼女の顔をよく見るとかなりの美少女であることが見て取れた。白髪で長い髪蒼い目が月明かりに照らされてとても美しく輝いている俺は見とれていると

「なに〜?私に見とれてるのかしら?」

とどこかからかうように語りかけてきた

「かわいいっす....」

俺は典型的な純情な男子だったためこれ以上のことが言えなかった

そんなこんなで船を漕いでいると明かりに照らされた夢にまで見た光景が俺の眼前に迫っていた


俺は久方ぶりの気分でボートから下りるとそこには大勢の人が武装して待ち構えていた。


「これはまずいよね??」

「まずいわね、、最悪の場合私だけ逃げるわね?」

「おいおい、ここまで来てそれはねえぜ相棒」

そんなふうに焦りつつ尻込みしていると

大勢の先頭にいる額に傷のある短髪の男が話しかけてきた

「安心しろ、逃げなくていい、お前たちを俺は保護しに来た」

「信用出来ないな、ならなぜそんなに大人数で構えている?」

俺は問いかけると

「これは、お前らを脅かすためのハッタリだ」

男が手を叩くと辺にいた兵士らしき影は消えて男と横にいたスーツを着た社長秘書のような場所の似合わない女性の2人だけになっていた

「これは簡単に言うとホログラムだ、さらに簡単に簡潔に説明してやろう。俺は能力者だ」

そう言うと男はいつの間にか俺とニーナの眼前に立っていた男は遠くから見たときよりもガタイがよく死を覚悟して目を瞑っていると

「そう固くなるな、お前らも向こう岸から逃げてきたんだろう??」

「その口調だとあなたも向こう側から来たような発言をしてるけどどうして私たちが逃げてきたことを知ってるの?それと私たちを保護する理由とは?」

ニーナは瞬時に後ずさると神妙な様子で短髪の男に声をかけた

「端的に言おう、俺は数年前に向こうの研究施設から逃げてきた、保護する理由としては大きくニつ、一つ目はこのまま異能力者が一般市民に紛れて犯罪行為を行うのを未然に防ぐため、二つ目はお前らを我々の仲間に迎え入れて戦力を向上させるためだ」

「それは任意同行よね?私たちにそれを守ってあげる筋合いはないわよね」

「すまない、端的に言ったつもりだったが付け加えよう。ついて来なければここで貴様らは処理させてもらう」

そう言うと男は俺に溝打ちをかまされた。

俺は凄まじい激痛が体に響くのを感じた後にだんだんと痛みと意識が薄れていくのを感じながら目の前が真っ暗になった。


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