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-042- みんなで帰省


 秋休みも近づいてきたころ。

 いつも通り図書館でフランのお手伝いをしていると、フランが尋ねてきた。


「シフォンは、今年も村に帰るの?」


「そのつもりだよ。妹と弟とね」


「ふうん……」


 そして、フランは少し考える様子を見せてから、


「あのさ、僕も君の村に行ったら、ダメかな」


「えっ?」


 別にダメなことはないけど……


「どうして?」


「実は、コルク君やカンタ君と頻繁に手紙のやりとりをしてて、実際に会ってみたいんだ」


「えっ、今も手紙でやりとりしてるの⁉︎」


「うん」


「そ、そうなんだ」


 去年、コルクたちがかいた設計図をフランに見せたら、フランはコルクたちを気に入ったようで、是非文通したいと言い出した。

 まさか、それが一年後の今でも続いているとは……


「まあ、フランに会えればコルクとカンタも喜ぶと思うよ」


「それじゃあ、今年は一緒に行かせてもらっていいかな。あ、もちろん長居はしないよ。一日二日で帰るから」


「わかった」


 そんなこんなで、今年は私、ロール、オランにフランを加えたメンバーで帰省することになった。


 ◆


 秋休みになって、モンブライトを出発する日。


「お姉ちゃん! 三人で暮らすの、楽しみだね!」


「そうだね〜」


 ロールが天使のような笑顔を浮かべて言った。

 今年はベニエ村に帰ってもお母さんたちがいないから、私たちで家事を回さないといけない。

 でも、そういう共同作業をきょうだいでやる機会ってあまりないから楽しみだ。

 フランが一緒に行くことはすでに二人に言ってある。

 今は、フランを待っているところだ。


「お待たせ」


「あ、フラン。おはよ……って」


 やってきたフランの横には、頬を膨らませたアメリアがぴっとりとくっ付いていた。

 あぁ……そうか、すっかり忘れていた。


「……ごめん、シフォン。アメリアが付いていくって聞かなくて。急だけど、本当にすまない」


「フラン先輩が黙って出かけようとするからじゃないですか」


 アメリアがむくれながら言った。

 フランが私と出かけるってなるとアメリアが黙っているはずがない。

 先に誘っておくべきだったな……


「大丈夫だよ。一緒に行こうか」


 アメリアは私を警戒心でギラギラさせた目で睨んでいた。

 う〜ん、より一層警戒させちゃったかなぁ……

 私はアメリアとも仲良くしたいんだけどね……


 ◆


 アメリアは馬車の中でもフランの隣を陣取っていた。

 いつもは冷静沈着なアメリアだが、今はペースを崩されている。


「アメリアさんは、普段何をしているのですか?」


「……本を読んだり、勉強をしたりしてますね」


「そうなんですか! おすすめの本とかありますか?」


「……いや、私が読んでいる本は貴女には難しいと思います」


 次々と飛んでくるロールの質問に、アメリアはもじもじしながら答えていた。

 ふふふ、アメリアもロールのかわいさにあてられているようだ。

 さすがロール、私が半年かけても全然仲良くなれなかった相手をすぐに陥落させるとは。

 我が妹ながら、恐ろしいね。


 ◆


 さーて、帰ってきたよ、ベニエ村。

 ロールとオランは久しぶりの村に嬉しそうな表情を浮かべ、フランとアメリアは都会っ子だからか村を興味深げな目で見渡している。


「すごい、本でしか読んだことのないような、のどかで綺麗な場所だ」


「ふふっ、そうでしょ?」


 透き通った川に大きな水車。

 自然がたくさんあり、ゆったりとした雰囲気が漂っている。

 それが私の村、ベニエ村なのだ。


「とりあえず、コルクとカンタに会いに行こうか」


 私たちはコルクたちがいるであろう野原に向かった。


 ◆


「……」


 目の前にはすごいメカメカしい景色が広がっていた。

 何やら複雑そうな魔道具をコルクがいじっていて、カンタが地面にひいてあるレール?的なものの手入れをしていた。


「あのー、おふたりさん?」


 私が声をかけたことで、2人はやっとこちらに気づいた。


「あっ、シフォン。久しぶり」


「久しぶり。2人は何をしているの?」


 私がそう尋ねると、2人は顔を見合わせ、ふふふと意味深に笑った。


「実はね、僕たち画期的な機構を思いついたんだ」


「それを今、構築しているところだよ」


 話を聞くと、コルクたちの乗り物をつくるという夢の肝となる、エンジン部分を設計できたらしい。

 これがうまく作動すれば、少ない魔力で人を乗せることができるんだとか。

 興奮気味な2人から説明をもらった。


「ところでシフォン。ロールちゃんとオラン君は分かるけど、そちらの方々は?」


 コルクはフランとアメリアに視線を向けた。

 私が紹介しようとすると、フランは一歩前に出て挨拶をした。


「僕はフラン。手紙でしか話たことないけど、コルク、カンタ、僕が君達に会いたかったから、シフォンに無理言って連れてきてもらったんだ」


 フランだとわかった瞬間、コルクとカンタは目を輝かせた。


「君がフランか!」


「僕たちもフラン君に会ってみたかったんだよ!」


 それから、三人の会話が長そうだったので、私はレミリーとバオバのところに行くことにした。


 ◆


 レミリーとバオバは村のカフェ的な店にいた。


「久しぶり、二人とも」


「久しぶり! シフォンちゃん」


「ああ、久しぶりだな、シフォン」


 2人とも元気そうだった。

 成長期だからか、バオバが年々大きくなっていってる。

 こんなに身長の高い同級生はミルフィユ学園にもいないのではないだろうか。

 と、そんなことを思っていると、レミリーがなんだかもじもじした様子で切り出してきた。


「あの……シフォンちゃん」


「なあに?」


「あのね、私たち……付き合うことになったの!」


 ……え?


「ええええええ⁉︎」


 バオバは照れ臭そうに頭を掻き、レミリーは恥ずかしそうに俯いている。


「いつ⁉︎ いつから⁉︎」


「二ヶ月くらい前かな」


 レミリーとバオバが付き合うことに……

 いやまあ、2人がいい感じだっていうのは前々から聞いていたけども、やっぱり本人の口から付き合ったと言われると衝撃が大きい。

 レミリーも、バオバも、大人に成長しつつあるということだろう。

 それに比べて私は……


「うん……まあ、おめでとう」


 私は、素直に祝福の言葉を送った。


 ◆


 フランはコルクの家に泊まることになった。

 ただ、アメリアまでそうというわけにはいかない。

 だから、私はアメリアもうちで寝泊まりすればと提案した。


「……私はフラン先輩と一緒のところがいいです」


「フランはコルクの家にとまるから、一緒は無理だよ」


 そういうと、アメリアはムッと私を睨んでから、自分が我儘を言っていると言う自覚があるのか、


「それでは、シフォン先輩の家のお邪魔になります。よろしくお願いします」


 と、頭を下げたのだった。


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