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-041- 冒険者

実験で、少しの間タイトルを変えます。


 中等部二年になって、ガナッシュと、なんかムカつくけどガレルも女子人気が上がっている。

 やはり顔がいいと何をやっても映えるのか、魔術を行使したときや剣を打ち合っているときに女子が黄色い悲鳴をあげることが多い。

 比較的仲のいい私にガレルやガナッシュ狙いの女子が二人の好きなものとか趣味とか、とにかくプライベートなことを聞いてくることが増えた。

 そんなことも聞かれても知らないのでやんわりと追い返すのだが、同じような女子が後を絶たない。

 これから成長していくにつれ、二人の男としての魅力はますます上がっていくことだろう。

 女子に囲まれる前途多難な二人を見ながら、これから大変だろうなぁと、ほんの少し同情した。


 ◆


 今日はガレルとの手合わせの約束の日。

 だけど、今日は私たちに加えガナッシュとナツノもいた。


「おい、ナツノ! もう一回だ!」


「ちょっと休ませてくれよ……」


 ガレルとナツノはさっきから馬鹿みたいに剣を打ち合っている。

 勝率は五分五分といったところだろうか。

 二人の実力は拮抗していた。


「きゃああああ!」


 そして、煩わしいことに、今日はギャラリーが多かった。

 ガレルが剣を一振りするごとに、女子たちの甲高い声が訓練場に響く。


 たぶん、たまたま訓練場によった生徒が、ガレルやガナッシュがいるのを見て、他の生徒に知らせたのだろう。

 みるみるうちに女子生徒が集まってきて、収集がつかなくなってしまった。


「ガナッシュ、なんとかしてよ。あの子たちガレルとあなたが目的でしょ」


「嫌だよ」


 文句を言うも、ガナッシュもうんざりしたような表情を見せた。


「でも、たぶんこれからもっとああいう子増えるよね。制御する力を培っておいた方がいいんじゃない?」


「……ま、そうだけどさ。シフォンさんは、ああいうのってどうやって退けてるの?」


「え?」


「告白されたときとか、どうやって断っているの? 参考までに聞かせてほしいな」


「……」


 私はガナッシュにジトーとした視線を送る。


「無いよ」


「え?」


「私、告白されたこと、無いよ」


 ガナッシュはあからさまに意外という顔をした。

 そして、気まずそうに、


「えーと、それは、その……ごめんね?」


 謝るなよ!

 こっちが惨めになるでしょーがー!


 ◆


「魔物との実戦経験が足りない」


 ガレルとの手合わせが終わり、帰ってくるなりナツノはそう言い放った。


「いくら対人の訓練をしても、俺が戦うのは魔物なんだろう? だとしたら、もっと魔物との戦闘を経験しておきたい」


 確かに、と私は思った。

 対魔物と対人では戦い方が全然違う。

 そこのところ、国はどう思っているのだろうか。


「ナツノの場合は、東の大陸にいくまでに長い旅をするから、大人たちはその間に対魔物の経験を積ませればいいって思ってるんじゃないかな」


「そうか……」


 ガナッシュの言葉にナツノはどこか不安げな表情を浮かべる。

 本格的に旅が始まる前に魔物と全く戦わないのを心配に思っているのだろう。


「……旅が始まるまでに戦闘経験を積めないのが不安なら、僕に考えがあるけど」


「頼む。教えてほしい」


「冒険者ライセンスを取るんだ」


 その言葉に、ナツメは首を傾げる。


「冒険者? なんだそれは」


「冒険者っていうのは、魔物と戦ったり危険地帯の調査をしたり遺跡を探索してりして金を稼いでいる人たちのことで――」


 ふむ、冒険者か。

 さすがガナッシュ、いい案をだすな。

 西の大陸の土地は、レベル1からレベル5までの危険度に分けられていて、レベル2以上の危険度のところは特別な資格がないと立ち入ることができない。

 その資格のひとつが冒険者だ。

 冒険者にはA級、B級、C級、D級があって、A級はレベル5まで、B級はレベル4まで、C級はレベル3まで、D級はレベル2までの危険地帯への立ち入りが許可される。

 こんな風に危険地帯には一般人が立ち入れないようになっているから、普通に生活していると魔物と戦う機会というのが少ないのだ。


「……なるほど、冒険者ライセンスを取れば魔物と戦える機会が増えるってことか」


 ガナッシュが冒険者の説明をし終わると、ナツノは納得がいったように頷いた。


「それで、どうやったら冒険者になれるんだ?」


「普通は国の冒険者組合に試験を受けにいって冒険者レベルを定めてもらう必要があるけど、僕らの場合は学生で、学校側が僕たちの実力を把握してるから手続きをやってくれる。だから、僕たちは学校に申請するだけでなれるはずだよ。必要な戦闘力も、まあナツノなら問題ないと思う」


「そうか」


 ここで、今まで黙っていたガレルが口を開いた。


「ガナッシュ。ナツノがライセンスとるんだったら俺たちも取ってみないか」


 ガナッシュは、少し考えてから、


「んー、そうだね。それもありかな。親にはちょっと強くお願いしないといけないかもだけど」


「よし、決定だ。……シフォンはどうする?」


「んー……」


 そうだなぁ。

 私はフランのお手伝いもあるし、ライセンスとったところで使うかどうか……

 でも、ライセンスがあれば、これからの活動の制限も少なくなるし……

 私はひとしきり悩んでから答えた。


「私もとるよ」


「そうか」


 私が答えると、ガレルは少し控えめに嬉しげな笑みを浮かべたのだった。


 ◆


 学校側に申請を送ったら、冒険者組合に承認され、C級冒険者のライセンスが届いた。これで危険度レベル3までの地域には立ち入りできるようになったわけだね。

 せっかく取ったんだし、訓練がてらいつか危険度レベル2くらいのところに行ってみようかな。


冒険者組合に承認されるための条件は、「中級剣士、魔術師になったばかりくらいの力をもっていること」です。(試験で力が認められれば別に上級である必要はない)

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