-030- 助手
最近放課後は図書館に入り浸っている。
図書館の本は多い。
今のうちに沢山読んで知識を蓄えておこう。
図書館といえば、行けばやっぱりフランがいる。
フランは、とりあえず図書館にある本を全部読みたいそうだ。
「フランは本一冊読むのにどれくらい時間がかかるの?」
「だいたい、2時間くらい」
「2時間⁉︎」
はやいなぁ。この厚さの本を2時間ぽっちで読めてしまうのか。
「僕は幼いときに速読の訓練を受けていたからね」
「へぇ。英才教育みたいな?」
「それに近い」
最近わかったことだけど、フランは成績が相当いい。
ていうか、めちゃめちゃいい。
中等部に上がってからテストを何回か受けたけど、毎回クラスでトップの点数を取っている。
噂によると、もう高等部までの勉強を終わらせているんだとか。
「フランってすごく勉強できるけど、魔術もできるの?」
「一応。僕は魔法陣の研究をしているからね。自分で魔術を使えたほうが何かと便利」
「すごいねぇ」
「できるといっても、ほんとに少しだけだよ。魔術に関しては君の方が断然上だ」
いや、少しだけとか絶対嘘でしょ。
ちゃんとしっかり魔術Aクラスにいるじゃん。
魔法陣の研究……か。
ベニエ村にいたみんなは魔法陣を使って乗り物を作ろうとしていたな。
それと、同じような研究なんだろうか。
「フラン、魔法陣を使って乗り物とかってつくれると思う?」
「可能だと思うよ。ただし、天性の発想力と幾重にも渡る工夫が必要だけどね」
「やっぱり難しいんだ」
「人を乗せるレベルになると、ね」
去年ベニエ村に行ったとき、みんなのつくった車をみてすごい発想力だ! って思ったけどあれじゃまだまだ足りないものがあるのかな。
でも、やっぱりみんな目が生き生きとしていたし、楽しそうだったよなぁ。
「私も魔法陣勉強しようかな……」と、私が呟くとフランは目をギラリと光らせた。
「君、魔法陣に興味あるの?」
「え? いや、まぁ村のみんなが学んでて楽しそうだなぁって」
「ふぅん」
そう言うと、フランら少し考えてから、
「だったらさ、僕の助手にならない?」
「へ?」
「助手になってくれたら魔法陣について色々教えてあげる。正直、僕が持ってる魔法陣の知識は学校で習うものやこの図書館に収められている本のそれを遥かに上回るから、僕は君に簡単には得られない知識と経験を与えることができるよ」
フランはものすごい早口で捲し立てる。
「僕の魔力はさ、乏しいから。大規模な実験は回数が限られるんだよね。だから魔力量の多い助手が欲しかったところなんだ」
「フ、フラン……近い近い」
「あぁ、ごめん」
フランは落ち着いて椅子に座り直す。
「それで、どう?」
「どうって……」
う〜ん。
魔法陣は学びたい。
学びたいけど……
私はフランの期待いっぱいの目を見る。
私はフランみたいに頭がいいわけじゃないからなぁ。
正直、フランの実験のレベルに追いつけない気がする。
そうしたら、たぶんフランの期待には応えられないよなぁ。
「わ、私は頭悪いから……」
「流すだけ! 実験は魔力を流すだけでいいから手伝って欲しい!」
う、今日なんだかフランの押しが強い。
「でも……」
「魔法陣について教えるだけじゃ足りないのなら他になんでも言ってくれていいから。僕にできることならなんでもやるから」
え〜、どうしよ……。
フランの目はキラキラしている。
……うん、
「……わかった」
結局、私はフランの誘いに頷いたのだった。
◆
それで、何をすればいいのかと尋ねると、フランは「ちょっと待ってて」といって本棚の方へ行ってしまった。
戻ってくるときには、五冊ほどの本を抱えていた。
「これ、読んどいて」
「これは?」
「魔法陣や魔術史についての本。あと、僕の通っている研究所にもいくつか本があるから、それも貸すよ。寮で読んどいて」
「う、うん」
それから、フランは持ってきた本の説明を始める。
「これは魔術史。こっちは魔法陣について、それでこっちは古代魔法陣について」
「古代魔法陣? なぁにそれ」
そう言うと、フランは「ああこれはまだ授業でやってなかったか……」と呟いてから、
「とりあえず読んどいて。読んだらわかるから」
「わかった」
「ここにある五冊は基本的かつ超重要なことについて書かれてるから、読めば学校の勉強にもなるよ」
「そうなんだ」
フランは本を読むだけじゃなくそれぞれの詳細な内容まで覚えてるんだなぁ。
「ありがとう、私よんでみるよ」
「うん、がんばって」
フランの期待に応えられるよう、頑張ろう。
体力つくりに魔術剣術の鍛錬、勉強。
そして、読書。
毎日やるべきことが増えてしまった。
時間をうまくやりくりしなければ……




