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-023- 予選


 全国小学生魔術大会。

 その名の通り、全国NO.1を決める魔術の大会だ。

 まず、地区予選。

 スイト王国を西部、東部、北部、中部に分け、それぞれの地区で本戦出場者を決める。

 モンブライトは西部に位置する。

 ちなみに、ベニエ村も西部だ。

 なんたって、西の端っこだからね。

 地区予選では直接戦うのではなく、審査員の前で魔術を使い、その威力、精度、速度をアピールする。

 地区予選ではかなりの人数集まるから一人一人戦っていられないのだ。

 その厳しい予選を勝ち抜いた者が、本戦へと出場できる。

 本戦はトーナメント形式で行われる。

 そして、予選とは違い、一対一の実戦形式だ。


「――みなさんの、健闘を祈ります。では、第65回全国小学生魔術大会を開会致します」


 ぱちぱちぱちと拍手に包まれながら魔術大会は幕を開けた。


「それでは、選手番号順に並んでください」


 なに、緊張することはない。

 私は上級魔術師だ。

 西部からの出場者で上級までいっているのは私とガナッシュくらいだろう。

 冷静に、そう、普通にやれば、通過できるはずだ。


「シフォン、あなたすごいガチガチだけど」


「べ、別に緊張してるわけじゃないんだからねっ⁉︎」


「ふぅん」


 ほんとだよ⁉︎


 ◆


「えー、次、18番!」


 予選は滞りなく進んでいった。

 審査は、他の人の魔術が見れる形式だ。

 この形式が出場者の心を揺さぶっている。

 わかるよ、音楽コンクールとか、他人の演奏を舞台側で自分の番を待機しながら聴くの、すごく緊張するもんね。

 地区予選ではいかに他の出場者と魔術に違いを見せられるかが鍵だ。

 そのため、待機している出場者は皆審査を観察していた。

 見た中では、驚くような魔術師はまだいない。

 まあ、毎日あの腹黒天才と魔術の訓練をしているのだ。

 驚くことはそうないだろう。


「次、23番!」


「フィナ、がんばれ!」

 

「うん」


 フィナの番になった。

 周りの視線がより強くなるのが分かる。

 ミルフィユ学園は西部では断然トップの強豪だ。

 強豪校の魔術を見たくなるのは当然だろう。


 フィナの得意属性は火だ。

 今回も、火の魔術を使ってくるはずだ。


 審査員の前にでたフィナは静かに息を吸い、杖を構えた。

 そして、十分に魔力を溜めた後、火球を放つ。

 でかでかとした火球は的に当たり、その衝撃で的は木端微塵に。


「おぉ……!」


 周囲がどよめく。

 あのスピード感と力強さは他の選手にはなかったものだ。

 うん、圧倒的だね。

 これはたぶん通っただろう。


 ◆


「次、24番!」


 私の番だ。

 私が前へでようとすると、ガナッシュが声をかけてきた。


「シフォンさん、がんばってね」


「……ありがと。ガナッシュも、ね」


「うん」


 まあ、どうせこの人は余裕で突破するんでしょうけど。


 審査員の前へ立つ。

 私がどのような魔術を使うか、多くの人が注目している。

 使う魔術の属性は、水だ。

 それも、温度操作を行っていない、ただの水。

 氷や水蒸気をドーンとだして魔力量とその出力をアピールするのもありだけど、やっぱり努力してきたものを見せたいかなって。


 杖を構える。

 魔力を練る。

 そして、魔術を行使する。

 ひとつひとつのステップを丁寧に踏んでいく。


「すごい……」


 誰かの口からそう漏れた。

 ふふ、そうだろう、すごいだろう。

 私が行ったのは、中級水魔術。

 だけど、ただの中級水魔術じゃないぞ。


「綺麗……」


 あっ、今誰かが言った!

 ふふふ、そう、私の魔術は"綺麗"なのだ。

 魔力の流れが、生成術が、物体操作術が、ひとつひとつの所作が、綺麗に見えるように訓練してきた。

 極限まで美しく磨かれた魔術は、たとえ同じ魔術だろうと、一線を画す威力になる。

 魔術を美しくするというのは、それすなわち、魔術発動においての無駄をなくすということ。

 極限まで、とは言えないが、私の魔術には無駄が少ない。

 その結果、同じ魔術でも他人と差を見せつけることができるのだ。


「さすがだね、シフォン」


「ふふっ、ありがと」


 うん、審査員の感触もよかった。

 これはもう予選通ったでしょ!

 魔術披露にうまくいってほっとしていると、会場の緊張感がまた一段と強くなっていることに気づいた。

 ……あぁ、次はガナッシュか。

 注目が集まるわけだ。

 王国屈指の名家、ラズベリル家の長男だもんな。


 ガナッシュが使ったのは氷魔術だった。

 あたり一体を冷やし、的を一瞬で氷漬けにした。

 魔力に一切のよどみを見せず、無駄のない精錬された魔術だった。

 なによりずるいなぁと思うのは華があることだ。

 白い冷気の中、的を氷漬けにする銀髪イケメンに他校の生徒が男女問わずうっとりしていた。

 イケメンは何をやっても映えるものなのだ。


 ◆


 翌日、予選突破の報が届いた。

 ミルフィユ学園からの出場者である私、フィナ、ガナッシュは全員本戦へ進む。

 ちなみに、私は2位通過、フィナは4位通過、ガナッシュは1位通過だ。


 そういえば、ガレルもガレルで剣術大会の予選一位通過だったらしい。

 西部のみとはいえ一位か、すごいな。


 本戦か……

 本戦では、西部、東部、北部、中部の地区予選を勝ち抜いた32人がトーナメント戦で優勝を争う。

 ……たぶん、剣杖会で会ったあの子もくるだろう。

 でるからには、いいところまで勝ちたいね。


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