08・学園長の長いご挨拶
「...以上を以て、私からの入学式の御挨拶とさせてもらいます。
それでは新入生の皆さん。理想のジョブを手にする為、日々を
頑張って下さい!」
パチパチ、パチパチ、パチパチ...
学園長の入学式の世辞を述べ、新入生が拍手する中、満足げの表情で
学園長が幕の裏へと歩いて消えて行った。
「うへぇ...やっと終わったか......」
足が疲れ過ぎて、もうパンパンだぜ!
クソ、学園長め!まさか一時間近くも話し倒すとはっ!
ゲームでは入学式って、一部で省略されていたからな...
ここが現実な世界だという事を改めて認識させられるよ。
ふう。さて...この後は...
あ、そうそう、思い出した。
確かゲーム最初のイベント、『女神の神託』の能力判定だ。
えっと、学園長の話じゃ...
「『女神の神託』を行う場所は、グラウンドだったよな?...ん?
あれは...新入生が集まって移動をしている?」
どうやら、グラウンド集合で間違いないみたいだな。
俺はドア向こうに見える、グラウンドに目を移す。
「よし。あの後をついて行きますか...」
入学式を済ませた俺達一年生は、自分の能力の判定を受けるべく、
体育館から直ぐ出た場所にあるグランドへと移動する。
グラウンドに新入生が集合する事、数十分後......
「我がゲーディス学園にようこそ、新入生徒の諸君!積もる話も
多々あるが、まぁ、今日は学園長の後だしな、それは省略しておくと
しておこうか!」
おお!ナイス判断ですよ!名も知らぬ教師さんっ!
流石にこれ以上の長話しを食らったら、明日足腰が立たなくなるわ。
俺は疲れで張っている両の足を擦りながら、名も知らない教師に
賛辞を贈る。
「コホン。では早速ではあるが、今からキミ達がどの職業についた方が
ベストなのか...それを今からこのクリスタルで測りたいと思う!」
教師が軽い挨拶を終えて後ろに下がると、その隣に並んでいた違う教師が
少し前に出て来て、新入生達のステータスを調べる為のマジックアイテム、
【セレナーディのクリスタル】を厳重な物をなおしてそうな箱から
取り出して、それを目の前の新入生達に見せる。
「でも勘違いしないでほしいのは、このクリスタルにて出た結果が
貴方達の確定じゃないっていうこと!」
「そう。例え、自分の理想とするステータスじゃなくとも、これから
あなた達が過ごす四年間、その時間の間に、ここガーディス学園にて
様々な教科を学び知識を得る...そして心も身体も精神を鍛える事で
ここで出た結果が変わり、キミ達が夢見るジョブを得る事ができます!」
「そうですよ、みなさん。ファーリン先生の言う様に、この神託はあくまでも
進む道の基本に過ぎない。だから、例え結果が自分の進もうとしている結果と
違っても落胆はしないようにな!」
「うふふ。でもねぇ~結局、『女神の神託』で出た能力結果に向き合い、
それに合わせないと後々キッツイんだよねぇ~♪」
「こらこら、アイカ先生。生徒達の不安を煽らないで下さい。コホン...
では新入生の皆さん!今から能力の神託を行いますので、各先生達の前に
列を作って並んで下さい!」
『女神の神託』をする先生達がグランドに集まっている一年生達にそう伝えると、
俺達一年生は女神の神託...能力判定をしてくれる各先生の前に列を作って並び、
自分の番をくるのを待つ。
そして各先生達の前に一年生達が全て並び終えると、間もなく『女神の神託』が
開始されるのだった。