06・初登校
「...............」
新入生達が歩く通学路のど真ん中にて、ひとりのとある学生が目の前に
見えるゲーディス学園を感動なる表情で見ていた。
「おおぉぉ!ス、スゲェェッ!これが外から見たケーディス学園なんだ♪」
叫声を上げて喜んでいるこの人物は、ゲーディス学園に通う新入生の
ひとりで...
その名を黒川根こと、キョウヤ・クロカワネといい、
所謂、この世界の『主人公』だ。
そんな主人公も、他の新入生と同じく、様々な高鳴る気持ちを抑える事が
できず、鼻息を荒くしながら、感涙しながらうち震えていた。
「ふふふ。自分が主人公になってしまったと知った時はかなり落胆しまくった
けどさ、やっぱこのゲームを好きな者としては、この光景は感無量としか
言い表せないぜっ!」
だってよ、ゲームではこんな風にしてケーディス学園を見上げる事なんて
できないんだぜ。
こういう光景を現実として目の当たりにしてしまうと、夢でも幻でもなく、
本当に俺って、ゲームの世界...『ゲーディス学園』にいるんだな。
「ふう...」
まだまだ興奮は冷め止まずだけど、ひとまず感動はここまでにして
おきますか。
「さて...いよいよあの校門を潜ったら、俺の運命を決める学園生活が
始まってしまうのか......」
気持ちを真面目モードに切り替えた俺は、目の前のゲーディス学園に
再び目線を向ける。
そして、この間決めた学園でも行動予定を思い出していく...
1.冒険者になる為に必須なジョブステータス、これをひたすら上げる。
2.ヒロインには極力関わらない。
3.ヒロインとのイベントが発動してしまう場所に行くのをなるべく避ける。
4.学園では冒険者エンドに向かう為の行動を前提に...学園ダンジョン全制覇を
目標に行動する。
取り敢えず、この4つがこの学園でするべき、俺の中心スケジュールだ。
はあ、でも四年かぁ...。
俺、頑張れるかなぁ......
「うう!いかん、いかん!まだ始まってもいないのに、落ち込んでどうする!」
俺は落ち込んでいく気持ちを取り戻す為、両の頬を手でパンパンと少し強く叩き、
気合いを入れ直した。
「よし...学園に入る前に、俺のステータスをもう一度確認しておくか...」
『ステータス・オープン!』
――――――
【名前】
キョウヤ・クロカワネ
【ジョブ】
無し
【LV】...01
【HP...98\98】
【MP...10\10】
【力......23】
【防御...12】
【魔力...05】
【賢さ...10】
【速さ...15】
【幸運...01】
【属性】
『光...LV1』『火...LV1』
【耐性】
無し
【技&魔法】
『超アナライザー』『超マジックボックス』
『採取LV1』『発掘LV1』
【武器スキル】
『剣LV1』『杖LV4』
【戦闘スキル】
無し
【自動スキル】
『カウンターLV2』『シールド防御LV1』『トラップサーチLV1』
『魔法無力化LV1』
―――――――――――
「うう。何度見ても低いステータスだな...」
俺はもう何度見たかも分からない自分の低く過ぎるステータスに対し、
未だに落胆が消えないでいた。




