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23・コルネット・サモーネ


「ねぇ~!そこの前髪の長いブラウンヘアの新入生のキミィ~~っ!」


俺は少し大きめの声で、見つけた新入生に向かって聞こえる様に呼びかける。


「―――はへぇ?ブラウンヘアって...も、もしかして、ボクの事?」


俺の呼び掛けに反応した、前髪で顔が隠れている新入生が、あわあわと

慌てながら、俺のいる方向に顔をパッと振り向ける。


「えっと...ねぇ、キミ。い、今ボクの事を呼ばなかった?」


「うん、呼んだよ。で、いきなりだけどさ。そ、その...も、もし、もしで

良かったらなんだけど、あ、明日のダンジョン探索、お、俺とパーティを...

その......く、組んでくれない......かな?」


おどおどした表情で俺に話しかけてきた新入生に、俺はかなり緊張した口調で

ダンジョン探索のパーティを組まないかとお誘いする。


「はえ?ボ、ボクと...ダンジョン探索のパーティを......ですか?」


「う、うん。ど、どう...かな?組んで...くれるかな?」


ドキドキ...ドキドキ......


「も、勿論いいに決まっているよ!ボクもさ、パーティを組んでくれる人が

いなくて、スゴく困っていた所なんだよっ!」


俺の告げるパーティのお誘いに、隠れている前髪からチラッと見える瞳を

キラキラと輝かせながら、ニッコリと口元を綻ばせる。


「ほ、ホントにいいの!や、やった!あ、ありがとうっ!」


相手から良い返事を貰えた俺は、歓喜して拳を天にビシッと突き出す。


「おっと、自己紹介がまだだったね。俺の名前はキョウヤ、『キョウヤ・

クロカワネ』っていうんだ。よろしく!」


「キョウヤ...君だね?ボクはコルネット...『コルネット・サモーネ』って

名前だよ。こちらこそよろしくね、キョウヤ君!」


自己紹介を終えた俺とコルネット君は、お互いに頭を小さく上げた後、

握手を交わす。


...ん?


コルネット・サモーネ?


はて?どこかで聞いた様な気がするけど......


ゲーディス学園の登場人物にそんなキャラいたっけ?


もしいたとしたら、このゲームを熟知している俺が知らない訳ないし...


俺は目の前のコルネット君を凝視しながら、このゲーム...ゲーディス学園に

コルネットとういうキャラクターがいたかどうか、沢山のゲーム雑誌や

攻略本等を思い出しては探してみるのだが、一切思い浮かんでこなかった。


......うん。


やっぱりいなかったよね、コルネットなんていうキャラは。


様々なゲーディス学園の情報を思考してみた結果、


『コルネット・サモーネ』なるキャラクターは、どこにもなかったという

結論に至った。


「え、えっと...ど、どうしたのか、キョウヤ君?ボ、ボクの顔をそんなに

ジロジロと見てきて?」


俺がコルネット君をジィィーッと見つめてながら思考していたせいで、

コルネット君が頬を赤くして照れを見せ、恥ずかしそうにモジモジと

してしまう。


「おっと、ゴメン、ゴメン、コルネット君。パーティ仲間が見つかって

嬉しかったからものだから、つい目に力が入っちゃった、あはは♪」


俺はコルネット君に言い訳しつつ、誤解させた事を謝罪する。


「そ、それじゃ...コルネット君。明日、放課後にここ...購買部の扉前で

合流って事でいいかな?」


「うん。ボクはそれでいいよ♪」


俺はコルネット君と、明日の待ち合わせの約束をする。


「よし。無事に仲間もゲットできたし、今から帰って明日のダンジョン

探索の為に、色々と準備をするかな。で、コルネット君はどうする?」


「ボク?ボクはまだもうちょっとここを見学してから帰るよ♪」


「分かった。俺ももうちょっとだけここを見学していきたいけどんだけど、

今日はスーパーで食料の買い貯めをしなきゃいけないからなぁ。残念だけど、

この辺で帰らせてもらうとするよ。それじゃまた明日会おうね、コルネット君!」


「うん!また明日、じゃあねぇ~キョウヤ君~!」


俺はコルネット君に手を振って別れの挨拶を交わすと、コルネット君も右手を

元気良くフリフリと左右に振りながら、別れの言葉を掛けてくれた。













(のち)にこの『コルネット・サモーネ』という人物が一体誰だったのか、

それが判明するのだが、それを知った時、俺は目が飛び出そうな勢いで

喫驚してしまう。




しかしそれを俺が知るのは、もうちょっと先のお話である。




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