13・ルナリーナ・ヴァンフォーレス
「――――なぁぁぁッ!?」
キキキ、キミはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?
ルルルルル、『ルナリーナ・ヴァンフォーレス』ッ!!!?
俺の目線に映って見えるは、ゲーディス学園で一番人気のヒロイン、
『ルナリーナ・ヴァンフォーレス』がお日様の様な爽やか笑顔と
キラキラと光る蒼色の髪を輝かせて立っていた。
そそそ、馬鹿なっ!?
そんな馬鹿なあぁぁぁぁ―――――――っ!?
ななな、なんでこのFクラスにルナリーナ・ヴァンフォーレスが
いるんだぁぁぁっ!?
いやいや、そんな訳ない!
ある訳がないっ!
じゃ、じゃあ、ルナリーナに似ているだけで、タダの別人とかか?
い、いや、それもない。
だって、眩しく輝く蒼い色の長い髪、見ているだけで引き込まれそうな
あの紅の瞳。そしてムダが一切ない、スラリとした身体。
そして...目を覆いたくなる程の絶対的なるヒロインオーラ!
ま、間違いない...こいつは孫うことなき本物の、
ルナリーナ・ヴァンフォーレスだっ!
でもだったら、なんでだよ!?
なんでこのFクラスにルナリーナがいるんだよっ!?
だってゲームじゃ、ルナリーナ・ヴァンフォーレスは最高位のクラス、
Aランクの筈だぞ。
そう...このルナリーナというヒロインは、ヒロイン補正全開の最強なる
能力の持ち主なんだから!
だから、そんな天才さんが最低ランクであるこのFクラスにいる訳が
ないんだ。
それじゃあ、間違ってこのFクラスに来てしまったのか?
いいや、それもない筈。
こことAクラスとじゃ、見た目も華やかも、そして豪華さもあまりにも
雲泥の差がありすぎる。
最早、差別レベルのこの差を、一体どこの誰がどう間違うんだって話だ。
だとしたら、何でここにルナリーナがいるんだよっ!?
わからん......何故...何故いるんですかぁぁぁぁっ!!
「もしもし~。キミィ~私の声が聞こえてますかぁ~?」
ハッ!?
ちちちち、ちょっと、待ってぇぇぇぇぇぇぇえええっ!?
ふと考えてみたら、俺、さっきルナリーナと会話をしたよなっ!?
会話しちゃったよなぁぁぁっ!?
ま、まさかっ!?
ルナリーナがヒロイン登録されてしまったんじゃぁぁぁぁぁっ!?
俺はその可能性が頭を過ると、動揺しながら慌ててステータスボードを
オープンすると、急いでヒロイン枠を確認する。
えっと...ヒロイン欄の隣をクリック......っと。
ルナリーナ...ルナリーナ......
「..................な、ない?」
よっしゃぁぁぁ!た、助かったぁぁぁぁぁっ!!
「ねぇ、キミ?私の声が聞こえていないのかなぁ~?ねぇ~!」
どうやらルナリーナのヒロイン登録はされていなかったようだっ!
でもどうして、ヒロインの登録がされていないんだ??
やっぱりさっき俺が考えたように、ヒロインの登録はゲームのイベント
通りにやらないとフラグが立たないって事なのか?
だ、だから、ルナリーナと会話をしても何もなかった?
だとしたら、今ルナリーナと会話をしても何の問題もない...のか?
いや...待て、待て、待てぃっ!
それは早計な判断かもしれん!
だって、これはあくまでも俺の勝手な推測の範疇であって、確実ではない。
然れど、現に俺はルナリーナと会話をしたというのに、ヒロイン登録が
されてなかった。
これを見るに、ゲームのイベント通りじゃないと登録がされないという
可能性の方が出てきたって訳だ。
そ、それじゃ、ルナと会話しちゃってもいいって事か?
俺は頭の中でそう解釈すると、早速ルナリーナと会話をするべく口を開こうと
したその時、
ん......会話?
このワードに対し、俺の直感がピコンッと頭を過ると、ルナリーナと会話を
する為に開こうとした口を大慌てで閉じる。




