01・プロローグ その1
ゲーム転生モノです。
『ゲーディス学園』
それは『バーニアス』という世界の一番大きな大陸にある、セリヴァスの首都、
『王都コーネリル』の中心部にあり、その学園では『ジョブ』と呼ばれる
自分に合った職業を選び、育て、そして開花させる為の学舎である。
『ジョブ』
戦士。格闘家。魔法使い。商人。等のメジャーなジョブ。
魔物使い。召喚師。防御戦士。添付魔法師。等のマイナージョブ。
そして、勇者。聖騎士。賢者。聖女。精霊使い。等の希少なるレアジョブ。
この様に、『バーニアス』には、数えるときりのない程の様々なジョブが
多種多様と存在する。
ゲーディス学園に新しく通う新入生は、入学式の直後に『女神の神託』と
呼ばれるものを行う。
女神の神託で行われる事は、まず最初に自分の『ステータス』と『スキル』が
どのようなものかを教えられ、そして次にそのステータスとスキルの
バランスから、自分には一体どのジョブが理想的なのか?
どのジョブだったら効率良く育つのか?
はたまた、どこをどう育てれば、自分のなりたいジョブを習得できるのか?
それらを教師の助言などを参考に踏まえ、学園で受けるべき授業を選択する。
受ける授業は生徒達が自由に選択でき、自分の目指す理想の『ジョブ』...
それに依存するステータス値を上昇させる為、時には勉学によって知識や
集中力を上げる授業を選び、時には実技によって強靭な肉体や精神力を
鍛えて上げる為の授業を選んで、己の心と身体を磨き上げ、精進させていく。
それこそが、ジョブ向上育成特殊機関...『ゲーディス学園』という場所である。
そして俺はそんなゲーディス学園に今年入学する新入生のひとりだ。
だがしかし...
俺に取って、この『ジョブ』の決めごとは、実はそこまで重要な事ではない。
そう...今の俺には他にやるべき重要事項が存在する。
まず最初に話しておくのは、俺は元々この『バーニアス』という世界の
住民ではない。
そしてこの世界は、俺が元々いた世界に存在したゲーム、ダンジョン探索型の
恋愛シミュレーション『ゲーディス学園』というゲームに酷似した世界なのだ。
いきなりそんな非科学的な展開を突きつけられた俺は、最初は動揺で戸惑い、
思考のやつもこの事実と現実に追い付けず、理解をしてくれなかった。
だから俺は「これは夢だ!幻だ!空想だ!」と何度も頬をつねってみたり、
布団に入って目をつぶって、何度も寝直しをしてみた。
然れど、いくら頬をつねろうが、いくら布団で寝直そうが、俺の瞳や耳に
入ってくる景色や風景と情報は、俺の大好きなゲーム、『ゲーディス学園』の
世界そのものだった。
そしてとどめと言わんばかりに、この世界がゲーディス学園だと裏付けた
決定的な証拠がある。
それはこの俺がゲーディス学園の登場人物である『黒川根響矢』という
人物に転生していたのだ。
しかし転生って...
これをやられたら、もう信じるしかないじゃん!
ここまでの確実的な証拠を叩きつけられたら、流石に現実逃避はできないじゃん!
まぁいい...転生してしまったものは、転生してしまったんだ。
ここは素直にこの現実と事実を受け入れてやるさ。
だけど、ひとつだけ...ひとつだけ心の底から納得いかない事がある。
それは...
「何でよりにもよって『主人公』なんかに転生しちゃったんだよ、俺ぇぇぇっ!!」
そう...キョウヤ・クロカワネという人物は、この『ゲーディス学園』における
『主人公』ポジションなのだ。
普通さぁ、こういう展開ってさぁ、モブとか、親友とか、またはライバルとか、
そういうポジションに転生するのがゲーム転生の王道パターンだと思うんだよねぇ。
それが主人公って......
この喫驚な事実を突きつけられた時、あまりのショックに、俺はその場で気絶を
してしまい、それからしばらくの間、放心状態が続いた。
「クソォォッ!ホントマジで何でなんだよ、主人公ってぇぇぇっ!嫌だぁぁっ!
めっちゃくちゃ嫌だぁぁぁっ!!」
俺はこの厄介で面倒な立場の『主人公』に、声が渇れそうな勢いで絶叫する。