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9.不思議

 イケメン死すべし。


 同じ男として俺は目の前のこのイケメンがちょっとムカついた。

 こんなイケメンでは女なんて選り取り見取りのバラ色人生だろう。やはり見た目と言うのは人生の難易度を大きく左右する。

 くそ、イケメンめ! 俺も男らしいイケメンに生まれて、女に囲まれて過ごしたかったぞ!


 だからほんのいたずらの気分で、スキルを使って昼飯を奢らせようと考えたのだ。


「ここのお店は、オムライスがお勧めですよ」


 俺は何気なくそう言いながら、ニッコリ微笑んでスキル“魅了”を使った。


 しかし――アナウンスが流れない。

 いつもなら成功失敗に関わらず、必ず流れるはずの脳内アナウンスがない。

 どういうことだ?


「ご丁寧にありがとうございます。良かったらこの町のことを教えていただけませんか? まだ来たばかりなので」


 男はそう言うと俺にニッコリとほほ笑んだ。ついでに手も握られた。

 俺が本当に女だったらコロッと即落ちだったのだろうが、残念、俺男。それにそろそろ休憩時間が終わる、早くギルドに戻らなければ。


 相手の好感度は低いわけじゃない。この様子であれば、俺のスキルが通用しないはずがない。

 アナウンスすらないというのは――まさか、スキルが使えなくなったとか? そんな話は聞いたことがないけれど、俺は急に不安に襲われた。


「ごめんなさい、お昼休憩終わっちゃうので……」


 俺がそう事答えると、男は断られると思っていなかったのか、びっくりしたような顔をしている。

 お互いに気まずい雰囲気が漂う。


「えーっと、もう私食べ終わるのですぐにどきますね」

「あっ、そうですか、ありがとうございます」

「私、ギルドの受付嬢のレイラといいます。情報収集でしたらギルドがありますので、どうぞいらしてください」


 このまま放置するのも何かと思い、ギルドの案内だけはしておく。


「ご丁寧にありがとうございます。私はルーファスといいます」

「ルーファスさんですね、それじゃまたどこかでお会いできるのを楽しみにしております」

「……俺もです」


 俺はスキルが使えなくなったんじゃないかと不安に思い始め、早くギルドに戻ろうとした。残りのオムライスを頬張り席を立つ。

 男は俺を引き留める様子はない。奢ったりしてくれるつもりはないようだ。やはりスキルが発動していない。



 俺は急いでギルドに戻った。

 早速その辺にいたロッズさんを捕まえて、スキル“魅了”を発動してみる。


『スキル”魅了”が100%発動しました』


 安定の脳内アナウンス! スキルに何か不具合が生じていたわけではなかったようで、安心した。

 だとすれば、さっきのは一体……。



 結局その不思議な出来事が起こったのは、その一回限りだった。

 ルーファスという男にもう一度スキルを試してみたいとも思ったのだが、ルーファスがギルドを訪れることはなかった。

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