表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/80

8.いたずら

 ハンターギルドの受付嬢の仕事は楽しかった。

 最初は怒鳴りつけてくるハンターにビビッてしまったものの、大半は初手のスキル“魅了”の微笑みで陥落するからだ。ちょとかかりが悪くても“誘惑”で怒りを収める。今のところ、“男殺し”まで使って制圧しないといけないハンターはいない。



 クレーマーハンターをスキルの実験台にしながら、気が付いたことがいくつかある。


 とにかく大切なのは、初手のスキル“魅了”が発動するか否かだ。発動率に関わらず。“魅了”は好感度爆上げスキルなので、下心だろうが庇護欲だろうが関係なく発動さえすれば相手の敵意を抑えられる。

 “誘惑”は色欲に訴えかける部分が大きいようで、スケベな奴にはよく効くが、庇護欲や慈愛系の人物には発動しなかったりする。

 “誘惑”が発動しなければ“男殺し”に移行できないので、必然的に俺が恋奴隷に出来るのはそもそも俺に下心を抱いているという男に限定される――と言うわけだ。


「真面目系とか倫理観しっかりしている系を恋奴隷にすれば、セクハラされる可能性が低いって踏んでたが……ちょっと厳しそうだな」


 そもそも俺にどれだけの下心を抱いているかが、かなり重要。女装テクニックを上げることは必須だな。


「ヴィンセントさんみたいな人を恋奴隷に出来ればとか思ったこともあったが、良い人に貢がせるのは流石に良心が痛む。やっぱりスケベ親父をさっさと恋奴隷にして、“穏便に”貢いでもらうのが一番だ。――なんにせよ練習あるのみ!」


 そうして俺は来る日も来る日も練習を続けたのである。



 ◆◇◆



 ある日の昼時、俺はギルドの建物を出て行きつけのカフェにいた。


 普段は節約のために昼飯は弁当持参なのだが、たまには美味しいものが食べたくもなる。

 それに、運が良ければ“スキルを使用しなくても”奢ってくれるという男がいるからだ。

 スキルを使えば常日頃から奢らせるのは余裕だったが、それではあまりもの悪目立ちする。ただでさえ“アガサギルドの女狐”とか言われて、女性ハンターからの評判悪いのに。

 なので俺はバイト以外ではスキルを使わないようにしていた。


 俺がオムライスを食べ終えようとする直前、声をかけられた。


「お嬢さん、相席よろしいでしょうか?」


 おっ、カモが来た。そう俺は思った。

 向こうから話しかけてくれる場合、たいてい奢ってくれる。適当にお話をして気分良くさせておけば、勝手にお支払いまでしてくれるのだ。

 やはり可愛いは正義だ。

 生前見たドラマで「イイ女は財布を持たない」なんてセリフがあったけれど、事実その通りで可愛いとか美人とかはそれだけで得をする。……やはり人生とは生まれながらにして不平等だね。


「ええ、かまいませんよ」

「ありがとうございます、かなり混んでいて席がなかったもので」


 俺はその男の顔を見て結構驚いた。

 すんげーイケメンだった。間違いなく今まで俺が見た中ではNO.1。もちろん生前みた男性を含めてだ。

 なんかハリウッド映画とかでバンバン主演はってそうな超イケメン。

 あのスティーブの野郎もかなりのイケメンの部類だったが、この男は群を抜いていた。


 プラチナブロンドに、ちょっと浅黒の肌。細身だがしっかり筋肉がついていそう。年の頃は18歳くらいだが、どこぞの王かと見紛うばかりの威厳のようなものを感じた。


 俺もこんな男に生まれたかった! 心からそう思うようなイケメンだった。


 ここで俺は少しいたずらごころがわいた。

 こんなイケメンが俺の言う通りになったら面白いんじゃないかと。

ブックマークや評価、本当に励みになります! レビューもとても欲しいので、よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ