表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

74/80

74.少年漫画にありそうな展開

 謁見の間に着いた。

 俺はほんの2時間ほど前までここにいたから、戻ってきたという感じだ。


「なんだ……この凄まじい破壊痕は、これほどの戦闘があったのか?」

「ひえーボロボロですっ」


 ルーファスとアリアが、ボロボロの謁見の間の惨状を見て驚きの声をあげた。


 謁見の間はボロボロ。玉座は吹き飛んでいるし、そこかしこにゾンビが倒れている。どれだけ激しい戦いが繰り広げられたのかと思うだろう。しかしここで何があったのか、俺は知っている。


「いや、これは戦闘の痕じゃなくて自爆痕です。彼氏を彼女にメス堕ちさせられたマッチョガールの勇者が、怒りに震えてブラックホール的な自爆心中をかましたんです。玉座が吹っ飛んだのは彼女がリミッター解除して蹴りを入れたからで、ゾンビたちは自爆による爆風に巻き込まれたのとネクロマンサーの男の娘が死んだから術が解けたんです」

「え? すまない、言っていることが良く分からなくて」

「あぁおいやわしや、レイ様は色々大変な思いをされて、頭がおかし――じゃなくて混乱されているのですね」


 ちゃんとありのままを説明したつもりだったのだが、2人からは困惑と、憐みの眼差しを向けられた。アリアに至っては頭がおかしくなったとまで言いかけるし、酷い。解せぬ――それが真実なのに。

 とはいえ、俺もこれをいきなり聞かされたら意味が分からないと思う。本当に意味が分からない展開により、俺自身何を言っているのかよく分からなくなってしまった部分はある。しかしこれが真実だ。


「ルーファス様、アリア様!」


 親衛隊と思しき魔族の女性が駆け寄ってくる。さっきから見かける魔族は全員女性だ。もしかしてルーファスの親衛隊とやらは女性onlyだったりするのだろうか。そして全員が全員、俺に嫉妬のような眼差しを向けてくる……。

 アリアはルーファスが女性だと知っているようだけれど、親衛隊の方々はそうではないようだ。ルーファスを男だと思い、俺を女だと思っているようだった。


「報告いたします! 現在国王以外は全て捕縛済みとなっております」

「国王はどうしたのだ?」

「ヴィンセント殿が、弟と決着をつけると一騎討ちになっております」

「一騎討ちっ!? 何故そんなことに……」


 謁見の間の奥、破壊された玉座の手前で、ヴィンセントと王が拳と拳で殴り合いをしているのが見えた。

 側にはグレイブとロッズの姿も見えた。



 ◆◇◆



「兄上! 貴方はいつもそうだっ、そうやって全部を私に押し付けた!! 私だって王なんてやりたくなかったのに、貴方が王位継承権を放り出して出奔したからっ、私は王になるしかなかったのだっ! 私は兄上に側にいて欲しかったのにっ!!」

「無用な王位継承争いを避けるためとは言え、お前に重責を負わせてしまった。許せとは言わん、テオドール! しかし俺はお前の兄としてあやまちを正さねばならぬっ!!」


 殴り合うヴィンセントと国王。俺の知らないところで少年漫画にありそうな展開が繰り広げられている。

 え? なにこれ?


 少し離れたところではグレイブとロッズが涙を流しながら、その様子を見つめていた。


「親父、ヴィンセント伯父さん、うぅ……何であの2人が戦わなけりゃいけないんだよ!? くそっ!」

「親父の非道のおこないを止められなかったのは、息子である俺たちにも責任がある……すまねぇ親父!」


 周囲で様子を見守っていたギルドのメンバーも口々に「なんて悲しい家族なんだ……」とか、「こんな悲劇があっていいのか」とか言っている。


 あれ? そんなに悲劇的な場面なのこれ? なんか俺だけストーリーに置き去りにされている感があった。


 一騎討ちは、見た感じヴィンセントが優勢だった。流石は元Sランクハンター。しかし王もかなり身体能力が高いらしく、善戦していた。

 しかしヴィンセント渾身の右ストレートが、王の顔面を捉え、遂に王は地に伏したのであった。

ブックマークや評価、本当に励みになります! レビューもとても欲しいので、よろしくお願いします!

下部に[ツギクル]と[小説家になろう 勝手にランキング]のバナーがありますので、一日1クリックしていただけると泣いて喜びます!


次回アリアのぶっ立てたフラグが回収されます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ