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73.誤解

 ちびデブはげの悪人顔でゴブリンに似た大臣は、その名をギブリンというらしい。もうそれゴブリンじゃないのか? という言葉はギリギリ飲み込んだ。


 それにしたって、大臣が協力者だなんて信じられない。

 だってコイツ、俺のこと襲おうとしたじゃないか。「直々に尋問してやろう。ふへへへへっ」とか言ってたじゃないか。なのに味方? 信じられない。


「ルーファスさん、本当にこの人味方なんですか? 昨夜、俺のこと襲おうとしてきたんですけど」

「何だって? 大臣、どういうことですか?」


 ルーファスは不快感をにじませて、大臣を問い詰めた。大臣は大慌てで釈明した。


「そっそれは誤解です! 確かにちょっと驚かせてやろうかとイヤらしい言い方をしたのは事実ですけど、“実は味方でしたー!”ってギャップを狙っただけなんですっ、信じてください!」


 大臣が釈明するにはこう言うことだった。

 昨夜大臣はルーファスの依頼を受けて、タケルたち勇者たちに知られないように俺を逃がそうとしたらしい。そこで少しイタズラ心から脅かしてやろうとしたところ、逆に俺の魅了スキルにやられてしまい襲いかけてしまった。挙句、マリーゴールドに見つかってしまい退散するしかなかったということだ。


 あれ? 俺が悪いのかこれ? 敵だと思ってスキル使ったから? いや、あの状況では普通敵だと思うだろ。

 俺を脅かそうとした大臣に非がある。「実は味方でしたー!」なんてギャップを狙うような余裕があるのなら、さっさと逃がして欲しかった。

 マリーゴールドから情報が得られたのは良かったけれど、俺を逃がそうとしたせいでタケルに殺されてしまったし、結局大臣は最後まで俺を逃がすことが出来ずに王城まで来てしまったわけだし。


「レイ、大臣を許してやって欲しい。この人も大臣という立場と内通者という立場の板挟みで大変だったんだ」

「分かりました。ルーファスさんがそういうのなら、気にしないことにします」

「おぉ! なんと慈悲深い女性なのだ!!」


 スキルがかかったのだから、しかも100%もかかったのだから、俺を女だと思って下心があったのは間違いない。まぁ下心を抱くのは許そう。

 これ以上大臣を責めても仕方ないので、気にしないことにする。幸い身体をまさぐられたりされることもなかったし。


「ルー様、謁見の間に行きますか? そろそろ国王も捕まるころでしょうし、見物するにはちょうど良い頃合いかと思うのです」

「えっ見物に行くんですか? 俺も行きたいです。あのクソ王には恨みがあるんで」


 あのクソ王が無様に捕まるところは是非とも拝見したい。

 ソウタを生贄に別の勇者を召喚したり、エカテリーナの親父だし、俺を無理やりパーティーに入れたし、持たせてくれたマジックアイテムは大半が使えないし! 絶対に忘れないからなっ、簡易燻製セット寄こしやがったの!

 しかも俺が唇を捧げてまで恋奴隷にしたタケルを一瞬でおしゃかにしやがったし!!


「危険はないのか? 危険なところにレイを連れてはいけない」


 ルーファスは渋った。ルーファスも俺も戦闘系のスキルではないから、当然の反応だった。


「大丈夫だと思います! もうほとんど制圧は済んでますし、親衛隊も配備していますから、後ろの方で観覧する分には大丈夫なのです!」

「……ならば、大丈夫だろう。じゃあレイ、一緒に行こう。お前が見たいというのなら、王の末路を共に見届けよう」

「やったー! ありがとうルーファス!」


 ルーファスは少し考えたものの、結局俺の意思を尊重してくれた。嬉しい。


 しかし俺はすっかり忘れていた。ついさっきアリア嬢がフラグを盛大にぶっ立てていたことを、そして俺自身、好奇心に誘われて行動するとロクでもないことしか起こらないということを。

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大臣は下心はありつつも、ちゃんと逃がそうとしてくれていました。それは本当です。

レイがスキルを使わなければ、本人の釈明通り普通に逃がしてくれるはずでした。まぁその場合でも、マリーゴールドやタケルに見つからない保障はないので、タケルに見つかっていたら大臣が爆破されていたかもしれません。



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