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72.内通者

 アリア嬢のあからさまなフラグぶっ立てに不安はつのるものの、とりあえず俺たちはワイバーンに乗って制圧が完了している城門の方へ向かうことにした。


 俺は乗り慣れたワイバーンにひらりとまたがって、ルーファスに手を差し出す。


「ルーファスさん、お手をどうぞ」

「え?」


 ルーファスは驚いたように俺を見返した。その様子に俺は何かおかしなことをしたのかと思い、手を差し出したまま固まってしまった。


「すみません、俺なんかおかしなことしました?」

「い、いや、違うんだっ、私に今までそうやって女性扱いしてくれる男性はいなかったから驚いてしまってっ」


 顔を真っ赤にしてしどろもどろになりながら、ルーファスはそう説明した。

 え? なんかめっちゃ可愛くない? 俺、ただワイバーンに乗るのに手を差し出しただけなのに、そんなんでこんなに喜んでくれちゃうの? どれだけ彼女は女性扱いされることに飢えていたのか、喜ぶ基準が低すぎる。


 俺もレイラの状態だと女性からは蛇蝎の如く嫌われていたから、異性からの優しさに飢える気持ちは良くわかる。


「ルーファスさんはすごく魅力的で素敵な女性ですよ!」

「うぅ、ありがとうっ」


 ルーファスは涙ぐみながら俺の手を取って、同じワイバーンに騎乗する。そして俺の前に座ってしまい、ワイバーンの手綱も彼女が持ってしまった。

 あれ? そこは俺の後ろに乗って、俺の腰に抱き着いてくれるパターンじゃないの?

 その様子を見ていたアリア嬢も、「そこは逆でしょ! なんでルー様が前に乗っちゃうんですか!?」という表情になっている。


「レイ、すまないのだけれど私の腰に腕を。振り落とされないように、しっかりと腕を回してくれ」

「え、あっはい」


 何というか彼女は長年こういうことが染みついてしまっているのだろう。

 ヴィジュアル的には合っている。イケメンが操るワイバーン、そのイケメンの腰にしがみ付く美少女。……違う! 俺がやりたかったのはこれじゃない!! 逆なんだ、逆っ!!


 俺が場所を替わる間もなく、そのままワイバーンが飛び立ってしまった。やはりヒロイン枠は俺なのかもしれない。



 ◆◇◆



 ワイバーンは城門付近に着地した。城門付近は爆破による破壊と戦闘の痕が色濃く残っていた。

 ここにはクーデターに協力したであろう人たちが集まっていた。貴族と思われる人もいるし、どこかのギルドのハンターもいた。王都のギルド長のエドワードの姿もある。

 そしてそんな人々に混ざって、幾人か角と翼のある人がいる――魔族だ。


 魔族の女性がこちらに近づいてきた。ルーファスに対して片膝をついてこうべを垂れる。部下なのだろうか?


「ルーファス様、アリア様、報告いたします。ヴィンセント殿率いる本隊は王城に入り、謁見の間に立てこもっている国王一派と交戦中。我がルーファス様親衛隊も援護をおこなっております」

「そうか、引き続き頼む」

「はっ!」


 女性はルーファスを見て顔を赤く染めつつ、一瞬俺に敵意を向けて去っていった。

 ……ルーファスはもしかして部下の人にも男だって思われてるんだろうか。流石にそれを聞くのは可哀想なので、俺はお口にチャックした。其にして親衛隊までいるとか、ルーファスモテモテすぎる。


 のんきにそんなことを考えていると、突然俺を呼ぶ声がした。


「おおっ! レイラ殿っ無事で本当に良かった!」

「うげっ!? なんであんたが野放しになってるんだよっ!?」


 俺に向かって走ってきたのは、何とちびデブはげの悪人顔でゴブリンに似た大臣だった!! 国王一派なんだろうし、何で拘束されずに野放しになっているんだか意味が分からない。

 俺はびっくりして思わず後退りする。

 しかしルーファスもアリアも大臣を警戒するような様子はない。それどころかルーファスは親しげに大臣に話しかけた。


「これはギブリン殿、ご無事でしたか」

「は? ルーファスさん、この人知り合いですか」

「ん? あぁ、彼は我々の協力者だ。所謂内通者ということだね」

「え?」


 どう考えても敵側のこの大臣が味方って、そう言うのあり?

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えっ、お前マジで味方だったの??

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[良い点] どこからどうみても悪役なのにw
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