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66.自爆心中

 よくマンガとかで、筋肉がバンプアップして服とかはじけ飛ぶシーンあるじゃん。

 アレだよアレ。あのシーンがまさに真横で起こったわけ。

 真横だよ? 真横。彼女を縛っていた太い縄がさ、紙みたいに千切れたよね……。もう俺、茫然自失。


「リミッター解除ぉ!! 我が怒りを受けよっ、唸れ私の筋肉っ!!」


 彼女が叫んだリミッター解除が何なのか説明してくれる人は誰もいないけれど、多分スキル“肉弾戦(極)”の発動ワードなのかなと思う。



 もうそこからはユカの独壇場だった。

 なんというか、多分勇者の中で一番強いんじゃないかと思う。ダントツで。


 一瞬の跳躍――彼女はたった一回の跳躍で、ゾンビの群れを飛び越えて、10mほど離れた場所にある玉座に到達した。

 音さえも置き去りにするスピードで、彼女は跳躍の勢いそのままに丸太のようなずっしりとした太ももで、タケルに強烈な一撃を喰らわせようとした。


「この間男めっ、よくもアヤトの尻を!」

「クソッ!!」


 一撃が入ろうかという瞬間、タケルの姿が掻き消えた。

 驚いたユカは目測を誤ったのか、その太ももは石できた豪華な玉座にクリーンヒットし、粉々に破壊した。

 タケルはスキル“気配遮断”で姿をくらませ、ギリギリ彼女の必殺の一撃をかわしたようだった。腐っても勇者ということか、よくあのスピードの攻撃を避けられたものだ。


 間男が掻き消えてしまったため、ユカが次に狙ったのはアヤト。恐怖に怯える彼の首を掴み片手で軽々と持ち上げる。


「いやっ、やめて……」


 涙ながらに訴えるアヤトの言葉を無視して、平手打ち。平手打ち。平手打ち。平手打ち。

 じっくり四発の平手打ちを喰らわせたところで、みぞおちへとどめの一撃。


 それを見ていた俺は酷い罪悪感に苛まれた。


「あわわわわ……俺がちゃんとアヤトが洗脳されてるかもって言わなかったせいで、アヤトの顔が人間じゃなくなってるっ」


 彼女の繰り出す一撃一撃に強い殺意を感じる。たった四発の平手打ちでアヤトは人間の顔をしていなかった。顔面崩壊。これは酷い。


 可哀想なアヤトはピクリとも動かなくなってしまった。

 まだ彼が操るゾンビたちが指示待ちのような感じで待機しているので、死んでしまったわけじゃないんだろうけど……。これは酷い。


「アヤト……こんな姿になっちゃって」


 それが女装のことを言っているのか、顔面崩壊のことを言っているのか定かではないけれど。少なくとも顔面崩壊は君が平手打ち×4したせいだと思う。

 怖くてそんなツッコミはできないけど。これは酷い。


「大丈夫よ、死ねば元の世界に帰れるから。きっと元の世界の身体は清いまま無事よ。さぁ一緒に帰りましょう」


 そう言ってユカはアヤトを強く抱きしめた。

 なんか色々ギュっと締まっている感じはするし、骨とかがミシミシいってる音がするようなしないような、する。


 その時猛烈にイヤな感じがした。

 俺は急いでこの場から離れなければという焦燥感に襲われた。これは第六感だ、このままここにいたら死ぬ! そんな予感がヒシヒシとする!

 だってそうだ、帰る=死ぬってことを俺が教えてしまったし、彼女は死ぬのに都合のいいスキルを持っているじゃないか!


 俺は慌てて謁見の間から逃げようとしたが、ゾンビたちに阻まれてしまう。

 俺たちを逃がすなという命令は受けているらしい。噛みついたり攻撃はしてこないものの、壁のように立ちはだかって俺を取り囲む。これでは通り抜けることが出来ない。


「くっそこをどけよっ」


 腕を縄で縛られさえいなければ、無理やりにでも脱出できそうなものなのだが。俺はユカのようにバックアップして縄を千切るなんて高度な芸当は出来ない。


「私の愛は自爆することと見つけたりっ! スキル自爆の呪文っスルバ!!」


 俺の耳にユカのその言葉が聞こえた時、全ては黒い光に包まれた。

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今日は実は私の誕生日でして……誕生日プレゼント代わりにブックマークとか評価とかいただけると嬉しいです(笑)

さて、残る勇者はタケルだけです。彼はどんな爆死になるのでしょうか?

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