63.ヤバヤバ中のヤバいレアスキル
その後ユカといくつか情報交換をした。
俺は事故で最初に轢かれた高校生だということを話し、ソウタとマリーゴールドという同郷の勇者と会ったことを話した。
そして、異世界転移で勇者として召喚された人たちはこの世界で死ぬと、元の世界に戻れるかもしれないということを話した。
流石に、「君の彼氏、アヤカって名前に改名して、タケルって彼氏とラブラブしているよ」という非情の宣告をするのは無理だった。なので、アヤトっぽい人物を見かけて元気にしているように見えたとか、当たり障りのないことを伝えた。
あと俺が転移じゃなくて転生しているとか、女装しているとかは、話がめんどくさかったので割愛した。どうせ牢屋に入っていてお互いの姿は見えないし。
「それじゃ、私たち元の世界に帰れるかもしれないんですか!?」
「まぁ俺の想像だけどね。先の2人が光の粒子になって消えたって、多分戻れたんじゃないかなって」
「私、元の世界に凄く帰りたいです……でも死ぬのは怖い」
ユカは、召喚されてから半年間ずっと軟禁生活を送っていたそうだ。
最初は異世界に来たことにテンション上がったそうだが、軟禁生活を強いられ、彼氏とも離れ離れ。そして現在は牢屋に入れられている。
彼女も勇者として呼ばれたはずなのに、勇者とも聖女とも呼ばれず何の説明もなく軟禁。そりゃ元の世界に帰りたくもなるわ。
「あのさ、君が召喚された時の話をもうちょっと聞かせてくれる?」
俺はタケルとは何者なのかとても気になっていた。
マリーゴールドの話では、召喚されたのはマリーゴールドとタケルとアヤカの3人だったはず。
しかしユカの話では、召喚されたのは――。
「気が付いたら魔方陣みたいなものの上にいたんです。目の前には王様みたいな人とか、大臣みたいな人とかがいて。召喚されたのは、私とアヤト、オカマの人と、男の人――あっ、その男の人、さっき貴方が言っていた“24歳くらいの好青年風の優男”でした!」
「うーん、成程」
彼女の話だと、召喚されたのは4人。
マリーゴールドの認識では、召喚された中にユカはいなかったことになっていて、アヤトはアヤカという女になっていた。
「ちなみに彼氏君には女装癖とかないよね?」
「はい? そんな趣味は絶対にありません! アヤトとは幼馴染なんです。私がアヤトのことで知らないことなんて何もないですっ!」
「ごっ、ごめん、変なこと聞いた」
すごい勢いで否定されてしまった。
そっか、幼馴染カップルか……羨ましいな。リア充爆発しろと言いたいけれど、今のところ彼氏君はタケルの彼女ちゃんにされてるみたいだし、いったい何があったのか。
しかし、こうやって話を聞くとますます分からなくなってくる。
マリーゴールドが嘘をついていたとは思えない。オカマに悪い奴はいない、そう思っているし。かといってユカが嘘をつく理由もない。彼女も牢に入れられているということは、タケルにとって彼女は邪魔者だったのだ。
「そういえば!」
ユカが思い出したように声を上げた。
「召喚された直後なんですけど、何かその優男変なことを言ってたんですよ」
「変なこと?」
「何か“異世界転移! これで人生やり直せる”とか、“スキルが使える”とか“気配遮断・スキル看破・洗脳”とか」
「っ!?」
それだっ!
タケルのスキル、マリーゴールドを殺害した時に見せた“気配遮断”と“スキル看破”そして3つ目のスキルは――“洗脳”。
スキル“洗脳”、ヤバヤバ中のヤバいレアスキル。結構厳しい発動条件があると聞いたことがあるけれど、多分アヤトはこれにやられてアヤカにさせられてるんだ。
マリーゴールドの証言とユカの証言の食い違いは、多分マリーゴールドが洗脳されていて、認識を書き換えられていた可能性大だ!
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