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42.本当に爆発して欲しかったワケじゃない

 俺はせっかくルーファスに会ったのだから、彼女との時間を邪魔するついでに菓子折りを渡してしまおうと考えた。

 しかし俺の良心が痛んだ。

 昨日あれだけ迷惑かけておきながら、リア充死すべしとか爆発しろとか八つ当たりもいいところだ。


「だめだ、だめだ。いくら羨ましいからと言って、人の不幸を願うようなクズになり下がっちゃだめだろ俺」


 俺は司祭様の予言で言っていた“本当に必要としてくれる運命の人”、その人に会った時恥ずかしくない俺でいたい。


「ワイバーンの違法飼育はもう手遅れだが、自分自身は清らかでありたいと、俺自身の心にそう誓ったんだ!」


 “運命の人”――ここ最近ルーファスとの距離がかなり近くなってきていたから“運命の人”がルーファスなんじゃないかと、戦々恐々としていた。

 しかしルーファスには彼女らしき可愛い子がいる。昨日俺に誤って渡してきたアクセサリーも、彼女にあげるはずのものだったのだろう。


「大丈夫――ルーファスは俺の尻を狙っていない。狙われていたのなら、昨夜手遅れになっていたはずだし。それにしてもいなぁ、彼女。羨ましい……」


 俺は頼んだピザを食べながら、悪いと思いつつもルーファスと彼女さんとの会話に耳を傾けた。


「それでどうでしたか? あのお方は、プレゼントを喜んでもらえましたか?」


 彼女さんの方の声だ。

 プレゼントを喜んでもらえたかって……もしかしてアクセサリーを渡した相手は別の人? この女の子は彼女じゃないのか?


「万年筆の方は喜んでくれたようだ。……アクセサリーは念のために用意したんだけど、酷く怪訝な顔をされてしまった。やはりあの人は女性ではなく男性だったよ」

「良かったじゃないですか! これでルー様の旦那様として本国に連れて帰れるじゃないですか!!」


 ……万年筆だって? アクセサリーに怪訝な顔って、それって俺の話ではないのか?

 旦那様? 本国に連れて帰る? 一体何の話だ!?


「いや、彼とはここでお別れだ。私は2週間後に本国へ戻る。戦争が近い……」

「そんなっ、ルー様の初恋の人なのに!」

「実は、私は彼に最低なことを……昨夜、彼に薬を盛って泥酔させて――……その、なんだ、一方的に、襲ってしまった」

「わわわわわっワンナイトラブっ!?」

「しっ! 声が大きい!!」

「あわわわ、失礼いたしました」


 女の子は興奮してつい声を大きくしてしまい、顔を真っ赤にしたルーファスにたしなめられた。


 一方、俺は頭の中がパーンとしていた。

 やっぱり俺がやってしまったのかもしれない。俺の尻は無事でも、無事ではなかったのかもしれない。骨太のおなごとにゃんにゃんする夢――夢じゃなかった可能性大!

 一体俺はどんな顔してルーファスに会えばいいんだ……。


「彼はきっと何も覚えていないだろう。覚えていても夢だと思ってくれているはずだ……私のことを“男”だと思い込んでいるからな」

「うぅ……おいたわしやルー様。こんなに美しいルー様に思われていながら」


 今度こそ俺は心臓が止まりかけた。

 ルーファスの性別が女? まさかのルーファス女説立証?

 確かに男にしては綺麗すぎる。しかしルーファスはイケメンだ、何処からどう見てもイケメン。

 女? 女!?


「やっ、やばい……とにかく今俺がここにいるのはよろしくない。と、とにかく逃げなければ……家に帰ろう、早く帰ろう」


 俺は混乱した頭で、席を立とうとした。


 しかしその時、カフェの出入口付近から何か嫌な気配がした。寒気と吐き気がする。

 何というか第六感のようなものだ。

 嫌な気配――大爆死したはずのスティーブがいるかのような気配を感じる。


 カフェの出入口に目をやると、ローブを頭からすっぽり被った男と思しき人がいる。

 そいつがスッと剣を抜いて――気が付いた時には、リア充で満ちていたカフェは爆発していた。

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