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34.貞操の危機

 俺は心臓がバクバクした。

 意味が分からない、レイラの匂いってなんだよ!?


「確かにする、レイラちゃんの匂いだ」

「おい、ロッズ、お前大丈夫か? レイラ不足で頭おかしくなってんじゃ……」


 ロッズの野郎はクンクンクンクン匂いを嗅ぎながらこちらに近づいてくる。


 俺は頭をフル回転させてロッズのスキルを思い出す。ロッズのスキルは、ギルドへの申告に偽りがなければ『剣技(中)・解体(中)・罠作成(中)』という構成だったはず。匂いで人物を嗅ぎ分けるなんていう謎スキルじゃなかったはずだ。


 だとすれば、これは単なるロッズの野生の勘とか執念がなせるワザとか。そう言う類のものだろう。

 事実仲間内であるはずのグレイブが困惑している。


「お前からレイラちゃんの匂いがする」


 ロッズはピタリと俺の前で立ち止まると、確信したとばかりにそう言ってきた。

 動揺してはいけない。平常心を保つんだ。俺がレイラだなんてバレっこない。


「何をおっしゃっているのでしょうか?」

「お前からレイラちゃんの匂いがするぞ!」

「おいロッズ、バカを言え。この人は男だぞ? レイラなわけが――」


 そう言ってグレイブはしげしげと俺を見つめる。


「……おい、お前、本当に男か?」

「は?」

「身分証は男になっているが、偽造かもしれん。レイとレイラ。名前もそっくりだ!」

「そうだぞグレイブの兄貴、こいつが本当に男か検査が必要だ!」

「おいお前、こっちへ来い!」

「なっ!?」


 俺はグレイブとロッズに無理やり引きずられながら別室に放り込まれた。


 ヤバイ! あ、いやヤバくないかもしれないがヤバイかもしれない。何か良く分からないがとにかく嫌な予感がする!


 この2人は俺が女ではないかと疑っている。つまりレイラが男装してレイを演じているんじゃないかと思っている。

 しかし実際は、レイが女装してレイラが出来上がっていたわけだから、レイラ=男という結論に行きつかない限りは、いくら調べられようが問題はない。しかし――。


「さあ、全部脱いで俺たちに見せてみろ! ヘヘヘッ」

「さぁ、お洋服ヌギヌギしましょうねー。レイラちゃんの裸……ハァハァ……」

「ヒッヒエ……」


 このエロ男どもは俺が女だと思い込んでいるようで、レイラかどうかということよりも女の子を全裸にして悪戯する気マンマンである!

 くそ野郎どもがっ!!


「ほらよく見ろよ、ついてるもんはついてるだろ?」


 俺は物凄く嫌だったが、性別の証明のために全裸になるしかなかった。グスッ……泣いてないぞ。

 全裸になった俺を見て、2人はあて外れたとばかりにあからさまに残念な表情を浮かべた。

 けっざまー見ろ!


 しかし2人は女日照りなのか、とんでもないことを言い始めた。


「いや……この際男でも……。おっおい、お前のソレは本物か!?」

「レイラたん……ハァハァ……。ちゃんと触って確かめないとねぇグフフフ」


 嘘だろ……こいつら見境なしかよ!

 俺は顔を真っ青にして、全裸のまま後ずさりした。

 しかしあっけなく捕まってしまい、全身をまさぐられる。


「ヤメテーッ! アッー!」


 俺が断末魔の悲鳴を上げた時、救世主がやってきた。


「お前ら何やってんだっ!?」

「うげっ! ギルド長!」

「ヒッすいません!!」


 騒ぎを聞きつけたヴィンセントが怒鳴り込んできてくれたのだ!

 キャーヴィンセントさんカッコイイ!!


「たっ助けてください! 俺、男なのに乱暴される! エロ同人みたいに! エロ同人みたいに!」


 俺は必死でヴィンセントに窮状を訴えた。

 ヴィンセントは、哀れな俺の状態を見てすぐさまロッズとグレイブに鉄拳制裁を加えた。


 たっ助かった……、本当にもうダメかと思った……。

 俺は脱いだ服をかき集めつつ、その場にへたり込んでしまった。

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