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1%の才能と99%の味見



「ご馳走様でした。美味しかったです。」



「まさか全部食べるとは思わなかった。でも、自分で作っておいて言うのもおかしいけれどちょっとしょっぱかったよ。泉もそう思わない?」



僕は心の深淵を覗かれたような気持ちになった。



「――そうですね。少しだけ、はい。」



「やっぱり?私、濃い味の方が好きなんだけれど流石に醤油入れすぎたかな。」



ハルは見終わったDVDをケースに戻すと勢いよくソファに突っ伏せた。





「――泉はさ、少し気を使いすぎなところがあるよ。」



「、、どういう事ですか?」



「なんというか、中学生らしくないというか、遠慮がちというか、もちろん気を使えることはとても素晴らしい事で思いやりがある事なんだけど。」



ハルは仰向けになり天井を見上げた。細長い脚は少しだけソファからはみ出している。



「子供らしくないという事ですか?」



「そう。教室で泉を見ていると、落ち着いていて大人っぽく見える。容姿は可愛いのに。」



「。。。」



「もっとわがままになってみてもいいんじゃない?」



僕は、驚いた。いつも大人びた雰囲気なハルにそんなことを言われるだなんて思ってもいなかった。



「でも、社会では気を使える人間が重宝されるって、、母は言っていました。」



社会では自分を押し殺した人。気を使える人こそ認められ、愛されるのだ。



友里恵はいつの日かそんなことを言っていた。



「泉、それはね。正しい事でもあるけれど、間違った事でもあるんだ。」



DVDから民放に切り替わったテレビの中で、女性タレントは笑みを浮かべているが目はどこか冷酷な眼差しだ。

――口元は笑っているんだけどな。。



「正しいけど間違っている。なぞなぞではないですよね。」



僕は考えた。数学の問題を解くように。



「私が言っていることは、今は分からないし、わかる必要も無い。いつかわかる日が来るかもしれないし、来ないかもしれない。」



「頭の中がぐちゃぐちゃです。」



「それでいいんだ。」



ハルはそう言うと立ち上がった



「ちょっと電話をかけてくる。食器は洗っといてね。」



パタンと扉を閉めるとハルはリビングから出て行った。



どういう事なんだろう。



僕は食器を洗い終えリビングに戻るともう一つ部屋がある事に気づいた。



「寝室、、じゃない気がする。」



というのも、ハルが普段使用しているであろう布団はリビングの端に畳んで置いてあったし、ソファの上には枕があった。



僕はハルがいないのを今一度確認し、ドアノブを捻ると少しづづドアを開けた。



好奇心はいけない感情だろうか。




――ドアが開く






その先には、僕が全く予想していなかった光景が広がっていた。





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