表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

イベント物短編

再会はクリスマスイブ

作者: 麻沙綺

今年も一番嫌いな季節がきた。

友達は、皆浮かれてる。

そう、年に一度のクリスマス。

私の周りの友達は、彼氏とのイベントでもちきり。

私はというと、彼氏も居ないし、家族とも離れて暮らしてるので、一人で過ごす事が決定してる。

って言うか、ロンリーするのが嫌で、バイトを入れて忙しくするつもりだ。


「美憂。今年は、皆で過ごそうよ」

親友の華那が、私の横に並んで歩いてる。

「うーん。そうしたかったんだけど、ゴメン。バイト入れちゃった」

「そうなの、残念。美憂に紹介したい人が居たんだけど…」

意味深な言葉を言う華那。

「紹介したい人?」

「うん。でも、また今度ね」

何だろう?

華那が、ニコニコしながら言う。

そんな華那と別れた。



クリスマスイブの日。

私は、バイト先であるカフェで、サンタのコスプレを着用して、店頭でケーキ販売をしていた。

この寒空の中、超ミニスカで、素足をさらして…。

「美憂先輩。お疲れさまです」

「お疲れさま、智輝くん」

「しかし、先輩は、本当によく働きますね」

って、智輝くんが、熱い眼差しを向けてきた。

「そう?普通じゃない」

「エーッ。だって、こんな大事なイベント二日間ともフルに入ってますよね」

「まぁね。予定なんか無いからさ、一人で居るよりは、誰かと居たいじゃん」

「先輩、彼氏とか居ないんですか?」

痛いところついてくるな…。

「そんなの居ないよ。この方一度も付き合ったこと無い」

って、断言してどうするんだか…。

「じゃあ、俺、立候補します」

って、智輝くんが言い出す。

「それって、私が可愛そうだから言ってるだけでしょ?」

苦笑いする。

「そんな。俺、マジですよ。初めて会ったときから、先輩の事が好きです」

って、真顔で言う智輝くん。

「ゴメンね。私、そういう風に考えた事無い」

「わかってます。先輩、俺の事弟としてしか見てないことも。今日という日を除かしたら、言えないと思ったから…」

智輝くんが、寂しそうに言う。

「本当に、ゴメンね」

「そんなに謝らないでください。オレが惨めになります。」

智輝くんが、苦笑する。

「好きになってくれて、ありがとね」

私は、笑顔で言う。

智輝くんが、恥ずかしそうに下を向いた。

「すみませーん。ケーキ下さい」

「はーい」

私たちは、その後ケーキ販売に徹した。



「野間口?」

突然声をかけられた。

そっちの方を見ると、どこかで見た事がある人物が立っていた。

「俺の事、覚えてない?」

エッと、誰だっけ?

「小学校の時、一緒だった、瀬戸内」

瀬戸内…。

「瀬戸内雄悟君なの?」

驚いてる私に。

「そうだよ」

と、あっさりと肯定する。

「なぁ、時間ある?」

雄悟君が聞いてきた。

「もうすぐ上がりだから、中で待ってて」

「わかった」

雄悟君が中に入るのを見届けた。


仕事を終えて、サンタ服から私服に着替え、雄悟君が待つ席に向かう。

「お待たせ」

私は、雄悟君に声をかける。

「出ようか…」

雄悟君に言われて、店を出る。

「…で、話って?」

私は、雄悟君の横顔を見上げる。

「ここじゃぁ。ちょっと…」

言いにくそうな雄悟君。

私は、雄悟君の後をついて歩いた。


人気の無い公園。

こんなところで、何の話があるんだろう?

不思議に思ってると、雄悟君が振り返った。

「野間口、実は、俺…」

実に言いにくそうに、私を見てくる。

私、どこかおかしいところがある?

思わず、自分の姿をチェックし出す。

そんな私をよそに。

「実は、俺、小学生の時から、野間口の事が好きだった。もし、今付き合ってる奴が居ないなら、俺と付き合わないか?」

雄悟君が、真顔で言う。

雄悟君が、私の事を…。

「雄悟君が、私でいいっていうなら…」

「それって、ちゃんと答えてないよね」

雄悟君が、私の顔を覗き込んでくる。

「私も、雄悟君の事好きです。嬉しい…」

俯きながら、そう答えた。

「エッ…」

雄悟君が、驚いた顔をする。

「まさか…だよね…」

「エッと…。私も小学生の時から雄悟君の事、好きでした。この想いは、告げずにいようと思ってたから…」

親友の華那しか知らないこと。

雄悟君が笑顔になる。

「野間口の事、美憂って呼んでもいい?」

照れ臭そうにしながら言う。

「いいよ。私は、最初から、゛雄悟君゛って呼んでるよ」

再開してからずっと。

「…だな。これからよろしくな、美憂」

「こちらこそ、よろしくね。雄悟君」

私たちは、笑顔で挨拶する。


今日、私、彼氏出来ました。

これから二人で、色んな事を計画する予定です。

まずは、明日のクリスマス。

私のバイトが終わり次第、デートになりそうです。








後日談。

「美憂。瀬戸内君とは、上手くいってるの?」

親友の華那が聞いてきた。

「うん。今日もこの後会うんだ」

「そっか。よかったね。長年の片想いが実ったのは、あたしのお陰だね」

華那が、言ってきた。

何か、恩着せがましいんですけど…。

「あの日、あたしが瀬戸内君に美憂のバイト先を教えたからこそ実のったんだからね」

私が怪訝そうな顔をしたのを見逃さなかった華那が、言い出した。

はっ?

ちょっと待って…。

「華那、何で、雄悟君の事知ってたの?」

私の食い気味な質問に。

「エッ、それは…」

って、たじろぐ華那。

「それは?」

「彼氏の友達だったんだよね」

華那が舌を出す。

まさか…、の展開だ。

「早い話。彼氏が友達に彼女が居ないから、誰か居ないかって相談されてて、で美憂を紹介しようと名前を聞いたら、聞いた事のある名前だったから、これはと思ったんだよね」

って、華那がいう。

そうだったんだ。

「ありがとうね、華那。華那のお陰で、今があるんだから…」

「偶然だったんだけどね」

苦笑する。

「じゃあ、この間の紹介したい人は、雄悟君だったってことでいいのかな」

「そういうことです」

二人で、ニコニコ微笑み会う。

何はともあれ、今は幸せなのでいいか。


これから、彼とデートです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ