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あの後、一応謝罪をもらった。
あの女子の集団の中に古川君を好きな子がいて、普段から気に入らなった私と接触しはじめたので、だんだんと我慢できなくなったらしい。
周りの子も卒業まであと数日となり、なにかしてもばれないし、問題にならないと考えての行動だったと泣きながら話していた。
あと、みんなですれば怖くないとの心理も働いたらしい。
親達もバツが悪かったらしく、おとなしくなっていた。
そして、色々と話し合った。
今後どうするか、とか。
でも、担任は不満そうに、おとなしいあなたも悪いと言葉を付け足す。
もうすぐ卒業だからだろう、面倒事はごめんだと、学校の対応も内容がないまま、時間も遅いからと解散になった。
明後日で卒業だ。
たぶん、この問題はこれで終わってしまうのだろう。
学校からの帰り道、父親が明日と明後日の卒業式はどうするのか聞いてきた。
「行くよ。私は悪いことしていないもん。それに・・・逃げたくないから。」
明日、噂になっていて学校にはいづらいと思う。
卒業式も好奇な視線にさらされる。
あと、担任のあの様子だと何かねちねちと言われたり、態度や目線もキツイものがあると思うが、逃げたくなかった。
あと二日だし、休んでも問題ないかもしれないが、逃げちゃダメだ。
逃げたら負けだと思う。
私は色々と自分なりに頑張ってきた、だからここで逃げたら今後の人生も逃げ癖がつくと思った。
小さい頃に憧れた『騎士道精神』、私は騎士になれないけど、私なりの騎士道精神になれるようになりたい。
そんなことを考えていたら、
「・・・そうか。強くなったな。」
父親がポツリと言った言葉の後に、『心が』と聞こえた気がした。
私なりに目指す『私の騎士道精神』に近づいているのだろうか。