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中学生になった。

周りの女の子達も変化しだした。

恋バナを咲かせたり、オシャレにも気を使っている。

でも、私には関係ないと思った。

ブスで嫌われ者の私は、オシャレしても気持ち悪いだけだと思ったし、恋愛なんて・・・その前に友達さえいない。

人間的にダメなんだろう。

恋なんて、夢のまた夢だと思う。

せめて、みんなに迷惑をかけないように、気分を悪くさせないように下を向いて顔を隠して、ひっそりしていよう。

心を鍛えようと、空手を習っているが・・・未だに鍛えられていない。


中学3年生、もうすぐ卒業式。

空手も次で黒帯ってところまで頑張った。

回し蹴りや突きが上手にできたって、空手の型が上手にできたって、心は鍛えられていないかもしれない。

私は、なんてダメな子なんだろう。

せめて他のことはもっと頑張ろうと、受験前から続けていた休み時間の勉強も未だしている。

気がゆるむと思ったのだ。

そして、とうとうあさっては卒業式と言う日に女子の集団に呼び出された。

小学校の頃買ったボイスレコーダーは、いつもポケットに忍ばしてある。

手でそっとポケットの上から確認し、深呼吸してから録音のスイッチを押して指定場所へ向かう。


学校の体育倉庫横はめったに人が来ない。

日陰で暗く、いかにもって場所に十数人の女子がいる。

「逃げずによく来たジャン。偉いよ。きゃははっはは!」

上から目線で不快なしゃべり方をする。

「そうそう。でもね、ほめたからって勘違いしないでよ。私達アンタが気に入らないの。」

「暗いし、がり勉だし。自分が世界の中心って思ってんじゃなよ。」

ほめてないし、私が世界の中心とも思っていない。

そう言いたいが、口を開く前に、どんどん色々な子が話し出す。

「先生を意識していい子ちゃんだし。存在自体が気に入らないの。」

「なんで、この学校にいるの?消えちゃってよ。私達、アンタが嫌いなの。一緒に卒業式するなんてイヤよ。」

人から嫌われているのなんか、とっくの昔に知っている。

「この頃、古川君にも色目使っているでしょ?ちょっと勉強ができるからって、鼻にかけてさ!いい加減にしてよね。古川君も迷惑してるって察しなさいよ。」

古川君?あぁ、ときどき休み時間に、授業でわからないことがあると聞きに来るクラスメートのことだね。

でも、そんなに喋ってないよ。

先生に聞きに行くために、職員室に行くのがめんどくさいと聞きにくるだけだよ。

計算式を教えたりしてるだけ。

色目?ブスな私が使っても気持ち悪いだけでしょ?

「なに黙っているの?なんか言いなさいよ。」

集団での怖さを初めて知った。

こんなに醜いものなんだ。

「色目なんて使ってない。勉強を教えただけ。わからないからって聞きにきたの。」

本当のことを言ったのに、余計に怒りをあらわにして怒鳴ってくる。

「お高くとまってるんじゃないわよ!」

そう言って、突き飛ばされた。

他の子も、それをきっかけとして殴りかかって来たりした。

さすがにいきすぎだと思う。

「突き飛ばさないで。殴ったり、手を出すのもいけないわ。」

私がよけながら言うと、鼻で笑う子達もいた。

「よけるんじゃないよ!」

よけるので、とうとう石まで投げてくる子もいる。

これはまずい。

逃げてもいいが、一度逃げるといつまででもいじめられると本にも書いてあった。

「石を投げないで!」

そう私は言いながら、空手で倒しにかかることにした。

上段突き・横蹴り・背負い投げ等々。

今まで習ってきたことがきれいにきまっていく。

でも、女の子達は泣き出していった。

泣くくらいなら喧嘩を仕掛けなければいいと思うが・・・。

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