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私は、大切に育てられ過ぎたんだと思う。

親からは『かわいいね』『いい子だね』って言われて育った。

もちろん、悪いことをすれば怒られたよ。

でもね、あれがほしい、これがほしいってねだると買ってもらえたんだ。


「ゆみこちゃん嫌い。だってわがままんだもん。」

小学校1年生のとき一緒に遊んだ子に言われた。

嫌いって言葉に傷ついた。

でも、『わがまま』って何?どんな意味かわからない?

周りを見るとほとんどの子が私を白い目で見てた。

わがままの意味を、聞ける雰囲気じゃないことはわかった。


家に帰って急いで辞書で調べた。

前に親から『わからないことは辞書で調べなさい』と買ってもらったから。

親に聞ける言葉じゃないと思ったから、自分で調べることにした。

  ー自分の思いどおりに振る舞うこと。また、そのさま。気まま。ほしいまま。自分勝手ー

『自分勝手?』

  ー他人の事は考えず、自分の都合だけを考えること。また、そのさま。ー

そうか、私は他人の事を考えないダメな子なんだ。

そう思ったら悲しくなった。

こんな私は嫌われて当然だと思った。

でも、嫌われたくないから『わがままな私』を治そうと思ったが、どうすればよいのかわからない。

嫌われたくなくて、どう行動すればいいのかわからないから、あまりしゃべらないようにしよう。

自分の都合だけを考える人なら、人から何か言われたら、その通りにしよう。

何が悪いのか、どうすればいいのか人間関係を学ぶなら本を読もう。

お話の中の人達の対応や行動で、周りがどう思うか書いてある。

そう決心して行動した。


小学校2年になって、お話の中の騎士道精神って言葉に興味を持った。

お話の中の騎士は、騎士道精神を発揮してみんなから好かれている。

私もなりたいが、騎士になれない。ならばどうやって精神を鍛えるか?

体を鍛えればよいと思った。

どうすれば良いかわからなかったが、新聞の中に入っていたカルチャーセンターのチラシをたまたま見た。

これだと思い、親に相談した。

その頃、私は親ともあまり話せない子になっていた。

嫌われたらイヤだと思い、家でも学校でもほとんどしゃべらなかったのだ。

母親は反対した。

だって習いたいのは空手だったのだ。

「男の子ならわかるが、ゆみちゃんは女の子なのよ?危ないから他の習い事にしましょ?ピアノや習字はどうかしら?」

母親は女の子らしく育ってほしいと願っていた。

やっぱり、わがままだから嫌われしまうと下を向いて涙がこぼれないように唇を噛んで耐えていた。

「まあ、まて。ゆみこ、どうして空手を習いたいんだい?」

父親が理由を聞いてくれた。

「あのね、体を鍛えれば心が強くなると思ったの。でね、このチラシ見たら空手の教室のとこ、『心身共に強くなるよう丁寧に指導していきます』って説明の文の途中に書いてある。だから習いたいの。」

理由を聞いてくれたから、一生懸命に訴えることができた。

その訴えとチラシを見た父親は、母親となにやら小声で相談しているらしい。

どうしたんだろう?やっぱり自分のことを言うのは『自分勝手でわがまま』だから嫌われちゃうのだろうか?

相談している時間が長いと感じた。やっぱりやめておけばよかったと思い始めた頃。

「ゆみこ、お前は習い事をずっと続けられるかい?一度自分でヤルと決めたらには、途中でやめないで習い続けられるかい?学校の宿題も習い事があったからと言う理由で、やらないのは許されないよ。習い事で疲れたからと言って、朝、寝坊して学校を遅刻するなんてダメだよ。自分のやるべきことがちゃんとできるかい?」

父親の言葉を聞いて、習い事ってそんなに大変なのかと思った。

でも、今までだって遅刻していないし、宿題もできてる。

許してくれるなら、これからもちゃんとする。

母親が女の子らしさを求めるなら、『女の子』らしくがんばる。

「私、がんばる。途中でやめないよ。」

そう決心堅く返事を返した。

「わかった。空手、途中でやめるなよ。」

許してもらえた。


それからは、自分のできることを頑張った。

目覚ましかけて、一人で起きられるようにしたし、家のお手伝いも頑張った。

わがままな私は人から嫌われているから、誰よりも色々なことを頑張ろうと思う。

でも、せめて親には嫌われたくないと思い勉強も頑張った。

母親は女の子らしさを求めていたから、どうすればよいか本を読んだ。

私なりに女の子らしさをイメージしたら、髪がながくて、おとなしくて、お料理ができる子。

ヨシ!肩までだった髪をもっと伸ばそう。

おとなしいって難しいよね。やっぱりあまりしゃべっちゃダメだと思った。

料理は母親から教わった。


小学校4年生のとき、先生に話があると言われた。

放課後、空き教室で言われた言葉はちょっと胸に痛かった。

「逢坂ゆみこちゃん。もう少しお友達と遊ぼうか。色々なことで協調性を見せなければダメよ。」

そんなことを言われても、私はみんなから嫌われているから遊べないの。

協調性?言われてことはやっている。

嫌われている私から声をかけるのは正直怖い。

でも、『はい、がんばります。』としか、先生には言えなかった。


小学校5年生の時、たまたま先生のお手伝いで放課後遅くなった日があった。

人気のない学校はひっそりとして、思わず足を忍ばして教室に急いだ。

「ゆみこってさぁ、無視しても意味ないよね。だって、休み時間とかも本読んでるじゃん。全然堪えてないって感じ。」

「だよね。はじめから喋ってないから、無視の意味ないしつまんないね。」

クラスの女の子数人が笑いながら教室の中で話していた。

そうか、私は無視されていたのかと・・・悲しかった。

その子の言う通り、休み時間は本を読んで時間をつぶしている。

嫌われ者の私は、めだたないようにひっそりとしていようかと思ったのだ。

だからここずっと、学校ではめったに話さなくなった。

一日しゃべらない日もあるぐらいだ。

だから気づきもしなかった。

本でも読んだ。いじめのはじまりになるかもしれない。

何かがあるかもしれない。

嫌われ者の私の言うことは、誰も信じてくれないと思うから、証拠を残さないとダメだ。

本でも対策がのっていた。

お年玉がまだ残っているから、ボイスレコーダーを買って、ポケットに忍ばしておこうと決心。


「ゆみこちゃんって暗くてキモイよね。それに変な人だよね。」

小学校6年生のとき、陰口で言われた。

トイレで手を洗っていた同級生の女の子達のおしゃべりだ。

私は、その子達がトイレから出ていくまで、個室から出れなかった。

何を、どうすればいいのだろう。

色々は事を頑張った。

本を読んで人間関係も学ぶようにしている。

変な人って言うのは、どう変かわからないが、暗いって言うのはもう少し喋れば良いのだろうか?

キモイって・・・見た感じが気持ち悪いのか。ブスってことなんだね。でも、生まれ持った顔はかえられないし、どうにもならない。

小学生時代は頑張っても、頑張りがたりないってことがわかった。

そして私のダメさも治せず、卒業した。






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