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イベントらしきもの

 渓流の水はキレイだった。水量も豊富だ。

 口に含んでゆすいでみる。

 大丈夫そうか。

 傷口を水で洗っておくことにした。


 渓流沿いに下りていけば人里もあることだろう。下っていくことにする。

 森側に注意を向けながら進んでいく。奇襲とかマジ勘弁。


 次に遭遇したのはブラックマーモットだ。黒くて比較的大きいリスだね。

 額に魔石が嵌っている。

 ちょっとおデブさんだ。

 緩慢な動きだが、コイツは突進してきて体当たりする奴だった覚えがある。

 追っかけ回してもカウンターで攻撃食らうのは避けたい。

 ここは後の先といこう。


 大きな石の上に登ってこちらを窺うリスさん。

 高さを活かして攻撃するつもりか。

 とか思っているうちに飛び掛ってくる。早いって。

 半身になるよう体を捌いて攻撃をスカしてあげる。着地する所を狙う算段だ。

 ちょっと距離があったんで日本刀で突く。


 切っ先が毛皮に吸い込まれ、抵抗するリスが暴れる振動が右手に伝わってくる。リアルだな。

 そんな断末魔も程なく終わる・・・

 と思ったら口の中から何かが転がる。

 木の実・・・拾ってみたら胡桃だ。

 初ドロップアイテムは胡桃か。

 ゲーム内で何も食ってないし食ってみようか。でも殻のままなんだよね。

 殻を石で割ったら中身ごと潰す未来予想図が見えた。やめておこう。

 魔石を回収して先を急ぐことにする。


 相変わらずの道を下っていく。

 風景は変わらないが、川沿いの森が深くなってきているのは分かる。

 リスもウサギも現れてくれないのは退屈だが。


 とか言ってるうちに森の中から何か出てきた。

 遠目では人影のように見える。人影が3つだ。

 新たな展開を求めて歩みを速め、近づいていく・・・そして希望は失望に変わる。

 彼らはオークだった。


 オークたちは何か慌てた様子に見える・・・と思ったら森から更なる人影が出現する。

 それはオーク3匹に突進していった。

 その影は騎兵のようだ。突撃槍が見える。

 さらに森から人影が現れる。4人だ。

 新手のオーク・・・ではなさそうだ。一人は神官だろう。ホーリーシンボルを象った布地が遠目にも見える。

 なんか小柄な人影がオークに肉薄したかと思ったらオークがすっ飛ばされた。

 よく見たらドワーフだ。鎧兜に頑丈そうな方形の盾だ。右手に持つ武器はメイスかなんかに見える。

 オークを狩ってるんだろうか・・・と思ってたら森が揺れた。


 なんかデカイのが来る。

 現れたのは・・・オーガだ。


 とりあえず脳内で罵り声をあげておく。

 運営ってばバカなの?死ぬの?

 始めたばっかの低レベルキャラに与えるイベントじゃねえし。


 一方でひい爺様の言葉が脳裏に浮かぶ。


 泣こかい、飛ぼかい

 泣こよっか・・・ひっ飛べ!

 

 走る速度を加速させていく。


 オーガが足を止めてドワーフの方に顔を向け・・・咆哮をあげた。

 これはヤバイ。

 空気が震えて耳を叩く。直接向けられていないのにオレの耳もちょっと痛い。

 オーガの巨大な咆哮にさらされると恐怖で足がすくんでしまうのだ。

 案の定、ドワーフを含めた4つの人影の足が威圧されて止まってしまう。

 いや、ドワーフはなんとか動いているが、その場から移動する気はないらしい。

 盾の後ろでなにかゴソゴソとやってる。


 オーガが出てきた後ろからオークが2匹現れた。まだいるんかい。

 圧倒的にドワーフ側が不利だ。

 オーガがドワーフを盾ごと蹴飛ばした。

 鈍くも大きな音をたてて方形の盾が歪んだ。

 ・・・って吹っ飛ばないのか?

 オーガが新たな咆哮をあげて左足を痛がっている。


 オレはオーガの死角、左後ろに接敵した。動きを止めている今なら攻撃も当たるだろう。

 しかしこいつ、近くで見るとデカい。ふくらはぎだけでオレよっかデカい。


 刀を抜くと逆八双に構えて膝裏に狙う。

 手ごたえはあり。

 新たな咆哮がオーガから天空に発せられる。

 刀の勢いを殺さず体を転じると右腕をこっちに振り降ろそうとするオーガが見えた。

 咄嗟に足を捌いて半身にする。

 振り下ろされる腕に合わせて刀を上方へ跳ね上げて撫で斬りを狙った。


 オーガの攻撃もオレの攻撃も外れた。

 地面を叩いた勢いで足元が揺れた。飛散する石礫が体全体を叩いていく。スゲー痛いって!

 オーガがまた吼えて身じろぐ。

 見るとオーガの腹に突撃槍が生えている。

 突撃槍を持っている騎兵は・・・ケンタウロスだった。

 オーガは槍を右手で抜いて振り回した。ケンタウロスが吹き飛んでいく。

 オレは背を向けたオーガの膝裏を再度狙う。

 確かな手ごたえが残り、オーガが新たな咆哮を上げる。

 頭上を何かが通り抜けた。

 オーガの首元に矢が生えている。どこかから援護があったのか?

 気がつくとドワーフがオレの隣に並んでいた。

 片手に握っているのはメイスだ。

 オーガの踵にフルスイングで横殴りにする。


 新たな咆哮が頭上で炸裂し、オーガは仰向けに倒れた。

 一旦距離を置くと横合いからオークが突進して来る。

 一歩踏み込んで首筋に刀を当てて・・・薙いでやる。

 ドス黒い血を撒き散らしてオークが倒れる。


 まだ動けない人影に迫るオークが視界に入る。

 棍棒を振り下ろそうとして・・・その背中に矢が生えて昏倒する。


 オーガはどうなった?視線をオーガに戻す。

 オーガは腹ばいになりながらもドワーフに迫ろうとしている。

 背後からオーガに迫り、背中に乗る。

 足元の首に向けて刀を薙ぐ。渾身の一刀。

 手ごたえはあったが致命傷にならなかったか。

 オーガの背中から振り落とされたらオーガの目の前だ。

 半身を起こして右腕を振り下ろそうとする姿はまさに鬼だ。


 こういうピンチのときは。

 踏み込め。


 偶然にだがオーガの脇をすり抜けていく。

 頭上に向けて一太刀。

 僅かな手ごたえを残していく。

 そして頭上から・・・丸太のようなものが落ちてくる。

 オーガの右腕だ。

戦闘シーン難しいデス

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