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籠の鳥

 課題がないわけではない。

 特許もそうだが開発者としての名声はオレにはない。

 オレは今、身分を隠して生活している。公開されている個人情報はみな改竄されているのだ。


 若宮浩二 34歳


 これだって仮の名前でしかない。年齢と家族がいないのは本当だが。

 知っているであろう人物は大学関係者と軍の一部、宇宙開発局とその上位機関だ。


 理由もちゃんとある。


 かつて、バイオサイエンスの分野である宗教の禁忌を犯そうとした研究者がいた。

 彼は自爆テロで殺された。しかも犯人は宇宙居住者から出たのだ。

 成功者であるのと同時にコア技術を握っている人物としてオレは常時保護対象に指定されているのだ。

 そこで一つ大きな問題が発生する。


 彼女イナイ歴=年齢。


 はっきり言ってオレはキモオタだ。容姿には自信などない。顔を工事するのも面倒だ。

 工事してみても女性が怖くてもうね。


 バーチャル・リアリティの世界にデートクラブのようなアダルトなサービスもある。

 でも踏ん切りはつかない。IDはあるのに。ヘタレと言わば言え。


 暇潰しには麻雀やカードゲームが手軽だ。

 バーチャル・リアリティが介在する意味あるのかと思うかもしれないが、これはこれで高度な駆け引きになる。

 殊に仮想プレイヤー(アバター)には本人の生体反応がリアルかつダイレクトに出てしまう。人間のクセも正確に再現する。

 将棋・囲碁・チェスも好きだがヘボだ。モ○ポリーは人間関係を破壊するのが難点だがオレの戦績はなかなか良い。・・・ああ、だから友人いなくなるのか。

 

 だが定番のVRMMORPGは常時暇を持て余すオレには最も都合がいい。

 出資してるゲーム会社から新作ゲームのテスターを依頼されることも再三だ。

 会社が儲かる手助けになるなら仕事といってもいいのだろう。


 まあ遊んでるだけだけどな。

 ゲーム製作スタッフも謎の出資者が廃人ゲーマーなのは薄々気がついてるだろう。

 メールの文面で分かるw

 返信に草生やしてる時点でダメだろ、オレ様。


 だから依頼のあった《カイザード・オンライン3》のアルファ・テストも普段どおりに始めたのだった。

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