表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/87

プロローグ

 煙がまた一つ上がる。

 錯乱した女性の悲鳴にも似た爆音・・・おっと、それどころではない。


 スコープに見えるのは撤退してくる味方の姿だ。随分痛々しいな。

 まあオレは離れた場所のタコツボの中で余裕だけどな。

 とか言ってるが、相棒の観測手はオレの隣に転がっていたりする。

 迫撃砲マジヤバイ。

 観測手は30分ほど前にいつのまにか昏倒していた。衛生兵は応急手当をしてたから気にしなくていいのだろう。

 最悪、こいつは死亡しても間に合う可能性は高い。

 とか言ってるうちにまた乾いたAKの乱射音が響く。しつこい。

 

 とはいえ観測手がいないのは痛い。索敵が面倒だよ。

 自前で敵兵を目視で探してぶっ放す狙撃兵など幻想だ。

 スコープの倍率上げたら視野が狭くなるだけで結局敵が見つからない。

 めんどい。


 偶然スコープに飛び込んだ敵兵にバレットM82A1をぶっ放す。

 畜生、まるで地獄のような衝撃だ。耳栓あっても耳が痛くなる。

 スコープの中で敵兵の上半身が消えていく。不運な奴。

 悪夢だ。いや、悪夢はオレも生んでいるのだ。

 3発撃って感覚を掴んだら後は七面鳥撃ちだと思ってました。

 正直、スマンかったです。

 調子こいてたら砲身が焼けかけてました。

 冷却したらまた狙点をつかむのに3発いる。随分と無駄なことを。

 砲身冷却の間、M16で狙撃してみたがちょっと距離がありすぎた。

 戦果は音が響いたことくらいだろう。

 道具はどうでもいいのだ。狙撃で敵兵の接敵を阻止する目的さえ達成できればいいのだから。


 衛生兵と通信兵が一人を担いで戻ってくる。

 MIA(行方不明兵)は今のところない。

 M16の3点バーストの音が重なって響く。音が近い。

 土煙が薄れると味方の姿が近くに見える。


 あと7人、戻ってくればクリアだ。もうちょいかかりそうだ。

 敵兵との距離も近くなってきたのでM16に切り替える。

 3点バーストで撃ちまくる。こっちのほうが楽だ。

 通信兵がオレの隣に陣取りM16を構えてぶっ放し始めた。

 オレはハンドシグナルで面制圧をやる、と伝える。

 通信兵が左手の親指を立てて笑った。

 いい笑顔だ。

 砂埃にまみれてきったねえ顔だけどな。

 あ、タクティカルベストにも被弾してやがるな、こいつ。無茶しやがって。

 こっちも負けてられない。

 予備弾倉に交換する。予備弾倉もそんなに残ってない。


 戻ってくる味方に群がろうとする敵兵。

 2名だけで面制圧では少々心もとない。

 ビルの遮蔽物をたどりながらまだ5人ほど距離を詰めてくる。しつこい。

 バレットに持ち替えた。

 ところで対物ライフルで人を撃っていいのかって?

 いいんです。


 適当に狙ってぶっ放す。轟音がタコツボを震わせる。音デカイよ。


 偶然だが壁の向こうに敵兵はいたらしい。銃声と違う叫び声があがり、その声が遠ざかっていく。そうそう。あきらめたほうがいい。


 味方は負傷しながらも全員が帰還したその時。


 風景は暗転した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ