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序章

初めまして。句恩くおんゆりんです。初アップで初連載です。お手柔らかに。つまらないかもしれませんが、六感を研ぎ澄ませてお読み下さい。ではでは・・・

<序章>

あるところに、「ライナス」と言う大陸がありました。名前の由来は、形がサイに似ているから、と言うことでした。この大陸には、樹の国、水の国、そして風の国という大国がありました。これらの大国は、互いに仲良くやっていました。他にも小さな国はたくさんありましたが、どの国もその土地があまりにも危険なために、誰もその国々を支配しようとは思わなかったのです。

それぞれの国には「詩人うたびと」と言う者たちが少なくとも10人は住んでいました。「詩人」たちは、どの国にも属さず、自然をで、それぞれのつかさどるモノと共に生き、気が向いたときにはいつも美しいうたを奏でる自由の人でした。しかし、気に入った場所があればそこに住み着き、その国の人々や、国をまつる者たちのために尽くすこともありました。そして、動物や植物、水や風と話すことができました。もちろん人とも・・・。

ただ、詩人が全てのものと話せるかと言うと、そうではありません。修行した分、または生まれつき持ち合わせている才能によって、話せるものが変わってきます。中でも一番話すことの難しいのが「樹」と「水」と「風」です。

 全てのものと話すことのできる詩人は、今ではもう二人だけになってしまいました。

 一人目は、「マイスター・サルマ」です。本当の名前はグレデスティエ・ラ・サルマ。水の国と樹の国の間にある「斬先山きっさきやま」に住んでいる、とんでもなく年を取った老人です(噂では世界最長の樹齢を持つ樹よりも生きているとか・・・)。世界最高の詩人といわれ、世に「世捨て人」と呼ばれています。

 二人目は、森に住まう一輪の花、「ヨルマ・カノン」です。このうら若き詩人は、ちょうどサイの角の先端、風の国(もしくはこの世)のはずれにある、「何のものでもない森」に住んでいる、不思議なラベンダー色の瞳を持つ少女です。「何のものでもない森」は、風の国にしか接していませんが、風の国の領土でも、どこの国の領土でもありませんでした。静寂が好きなカノンにはうってつけの森だったのです。彼女が司るものは、「風」。彼女は風と会話をし、風を操る、いわゆる「風使い」でもありました。彼女の通り名は「黒蝶こくちょう」。髪がきれいな漆黒だからだと人々は言いましたが、本当は違います。まあ、この物語を読んでいけば、その由来も近いうちにわかるでしょう。

 カノンの普段の出で立ちは、黒く、浅いVネックの七分の上下、ベルト、それに引っ掛けるポーチ、刀、二本の大きい扇(長さはカノンの身長より十センチほど低い、つまり百五十センチくらいの黒いものを背中にしょっていました。ええ、もちろんベルトに挟んでね。)、少し大きめの十字型の首飾り、木の葉の形のバレッタ、ふちの折れた黒いショートブーツ、といった具合でした。ショートカットの色白美人の装備にしてはふさわしくありませんでしたがね。

 さて、カノンには一人・・・いや、一匹の相棒がいました。名前は「快晴ファイン」。カノンは短く「フィン」と呼んでいます。たった一人の大切な友達であり、親友であり、パートナーでした。

 火狐ひぎつねの仲間ですが、見た目は少しばかり狼に似ていました。薄い黄色のきれいな毛と、燃えるような深紅の瞳をしていました。自分の体の大きさを自由に変えることができ、普段はカノンの肩に乗っかって常に一緒に行動しています。また、火を噴くことも、熱風を作り出すこともできたので、寒がり屋のカノンはそういう意味でもフィンをとても大切にしていました。

 カノンは森で一番高い樹の下のほったて小屋に住んでいました。森の動物や植物たちは皆、カノンが大好きでしたが、同時におそれてもいました。これは彼女の血筋に関係があるのですが・・・。これもまた、後々わかることでしょう。彼女の秘密を知っているのは彼女と風の国の王だけです。

 カノンは毎朝森で一番背の高い樹に登ります。ここが、世界中の風の集合地点だからです。彼女はここで風と話し、情報を集め、国王に提出します。風はそれぞれ違う情報を持っているからです。時々、人の想いを運んできたりもします。この仕事をしているおかげで、カノンは国王から食料などの生活に必要なものをもらっていました。

 ある日、彼女がいつものように樹に登ると、ポストホークがやってきました。ポストホークとは、郵便配達のたかのことです。青いスカーフを巻いているから、国王直属の鷹でしょう。

 ポストホークはカノンに赤いリボンできれいに巻かれた一枚の手紙を落として去っていきました。カノンはリボンをスルリと解いて手紙を見ました。


「親愛なるうら若き詩人へ


 突然の手紙を許して欲しい。ただ、そなたにどうしても頼みたいことがあるのだ。そなたにしかできないことだ。

 明日、太陽が最も高くなる時、はこ屋鷹やたかをよこすので、旅支度を調えて城に来たまえ。君が来るのを楽しみに待っているよ。


                風の国の国王、ゼルフ・ウィン・マンドラより」


カノンはフィンと見つめ合って、お互いに一瞬だけにやりと笑うと、軽やかに樹を降り、すぐさま旅支度を始めました。

 翌日、人間の大人の数倍はあろうかという大きな鷹が森を訪れました。運び屋鷹です。この時カノンはいつもの装備に旅用の長袖で長ズボンの上にぼろのマントを羽織って(でも、二本の扇は後ろで頭を出していましたが。)竜の形をした銀のピンブローチでとめている、といった出で立ちでした。

 ひらり、と鷹に飛び乗ると、一行は速やかに城へ向かいました。

 王座の間へ通されると、そこには国王がゆったりと微笑んで座っておられました。王はカノンを見ると目を輝かせてにっこりを笑いながらおっしゃいました。

「よくぞきてくれた!若き友よ!」

「お招きいただき、恐縮です。」

カノンは澄んだ声で答え、お辞儀をしました。

「それで、わたくしにご用件とはなんですか?」

「おお、そうだ。実は、樹の国の国王に、この箱を届けてもらいたいのだ。わしはもう年だし、他に信頼して預けられる者がらんでな。」

そう言うと王は小さくてきれいな空色の箱を取り出しました。カノンは近くによって、箱を受け取ります。

「思ったよりも軽いですね。」

「中身を見てはならんぞ。」

「承知しております。中身を見なくても、重要なものだということは感じられますから。」

「うむ。時間は問わん。何せとても長い道のりだからな。」

その通りなのです。風の国と樹の国は、全く正反対のほうに位置していました。つまり、この依頼はライナス大陸縦断を意味します。

「そなたの思うペースでのんびりと樹の国まで行くがよい。いらぬかも知れぬが、もう一度念を押しておくぞ。箱の中身は見てはならん。そして、箱を少しも傷つけずに樹の国の国王に届けてくれ。できるか?」

「もちろんです。おまかせください。では・・・」

「おお、待て待て、まだ行くでない。渡したいものがあるのだ。」

すると、奥から召使いがやってきて何かを王に手渡して、さっと引っ込みました。

「新しいマントだ。軽くて丈夫。薄いが保温性にも優れている。これを羽織って行くがよい。」

そういって、カノンにきれいな夜空色の布を差し出しました。

「ありがとうございます。」

古いのを脱ぎ、新しいマントを羽織ると、カノンは一層、りんとして見えます。

「さあ、いってらっしゃい、友よ。そなたに竜の加護があるように・・・。」

カノンは一瞬びくっとしましたが、静かに返しを打ちました。

「・・・国に風の加護がありますように・・・。」

 城を出ると、カノンは巨大化して全長二メートルくらいになったフィンにまたがり、真っ直ぐに国境である「迷いの森」に向かいました。

 大いなる冒険が、今、ついに幕を開けたのです!

ハア、疲れた。・・・こんな感じです。いかがでしたでしょうか?楽しんでいただけたなら幸いです。また次も出します(連載なんだから当たり前だろっ)。よければそちらのほうもお読み下さい。ではでは、また次回お会いしましょう!

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