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勇者や魔王のアレやコレ

魔法少女さとう♂マジカ

作者: 真川塁

 某アニメと似たような名前で某アニメの台詞を多用していますが作者は途中までしか観ていないのでネタが粗かったり、微妙に間違ってたちするかもです。

 応募の際に文字制限があり、その尺に入るように作ったのでオチも粗いです。

 出来はまぁまぁ、ってとこです。

 粗粗あらあらまぁまぁ、って感じです。

 つまらないですね、すいません。

 闇に覆われた暗き世界の果て。

 そこにいま、二人の人物がいた。

 世界すらも支配できる力を持つ伝説の「フィブラムストーン」を狙う魔王とその野望を阻止すべく選ばれた魔法少女の最後の戦いが行われようとしていた。


「はぁ」


 一人がため息を漏らし、天に手を掲げ魔法の呪文を唱え始めた。

「テクマクマヤコン・ピーリカピリララ・ムーンプリズムパワー・ピピルナピピルナ・エクスペクトパトローナム・赤パジャマ青パジャマ黄パンダ」


 鮮やかな光に包まれてと共にコスチュームチェンジ


「……魔王覚悟」


 そういってやる気なく構えをとる魔法少女。

 それに対し、魔王は、


「……あのさ、最後の最後の戦いを始める前にひとつだけ言ってもいいかな?」


 おずおずといった感じで手を挙げた。


「なに? 学級委員長で、スポーツ万能で女子にモテモテなのに実は魔王でした、とかいう割とよくある感じのラスボス、クラスメイトの鈴木くん」

「うん、丁寧かつ容赦のない説明をどうも」


 魔王こと鈴木は渋い顔のまま、魔法少女に告げる。


「まぁね、言いたいことは色々あるよ。変身の呪文が色んな魔法少女のパクリだとか、1つ守護霊を呼び出す呪文が交じってるとか最後のはもはや呪文でもないうえに早口言葉にすらなってないっていうか『青パジャマがきばんだ』みたいに聞こえることとか挙げればキリがないけれど、そんなのどうでもいいよ。多めに見る。――だからこの大事な闘いの前に一つだけ言わせてくれ」


 そこで鈴木は一旦、言葉を区切り、すぅーと空気を吸い込み力の限り叫んだ。


「なんで男が魔法少女名乗っちゃってるんだよ!――クラスメイトの佐藤くん!」


 そう言って指差す先には魔法少女――プリティーな衣装に身を包む高校生がいた。


「同じ高校生でも女子高生ならまだいいよ。それを魔法“少女”と表現するかは置いとくけど。渡辺さん辺りが魔法少女やってたらそれはそれで素敵だよ」

「確かに渡辺さんの魔法少女は見てみたいな」


 クラスの男子から絶大なる人気を誇る渡辺さんのヒラヒラスカート姿を想像して佐藤はうんうんと力強く頷く。


「そうじゃないにしても、せめて線の細い中性的な男だったらまだ解る。最近は『男の娘』なんかも流行ってたし。 でも佐藤くんって確かアメフト部だろ?」

「……うん」


 今度は力なく頷く佐藤。

 ピンクのフリルつきの服はパッツンパッツンで、そこから除く二頭筋は筋骨隆々といった感じだった。

服装以外……いや、そのファンシーな服装を含めても到底魔法少女には見えない。ある意味魔王以上に邪悪にも見える。


「それで魔法少女を名乗るんじゃないよ……。そんなのってないよ……」

 

 がっくりと膝をつく魔王鈴木。

 魔王である鈴木は魔法少女という存在がいて、それが自分たちの計画を邪魔していることは知っていたが、その対処は部下にまかせっきりだったので、正体がクラスメイトで♂だというのは今日初めて知ったことだった。

 道理でいままで部下が嫌そうな顔で闘いにいく訳だ。今思えば『魔法少女』って口にするたびにクエスチョンマークをつける幹部もいた、と魔王鈴木は自分だけが知らなかったこの事実に打ちひしがれた。

 魔王鈴木のクレームに魔法少女こと佐藤も苦虫を噛み潰したような顔で「俺だって嫌だよ……」と呻いた。


「じゃあ、なんで魔法少女やってんのさ!」


 鈴木の詰問にぶすっとしたまま魔法少女佐藤が言う。


「QBに選ばれたからだよ」

「……インキュ○ーター?」

「いや、クォーターバックの田中部長」

「それがおかしいんだよ! なんで、お前らんとこの部長が魔法少女を生み出す力を持ってるんだよ!」

「こっちが聞きてぇよ! ある日部室に言ったら『僕と契約して魔法少女になってよ』って言われて気がついたらこの様だよ!」


 目に涙を溜めてそう訴える佐藤を目にして、鈴木はそれ以上文句を言うことが出来なかった。


「……なんで断らなかったの?」


 退部させるとでも脅されたのだろうか?

 しかし、佐藤の口から出た言葉はもっと残酷な真実だった。


「……俺が断ったら、高橋ちゃんを魔法少女にするって言われて」

「うわぁ……」


 高橋女史は御年三十ピー歳の我がクラスの担任教師(独身)である。酸いも甘いも噛み分けてきた彼女の口癖は「もう何も怖くない」

 学生たちとの(主に年齢という)距離を縮めるため、生徒に自らをちゃん付けで呼ばせている。

 そんな様々な理由から学生に親しまれて(というか哀れまれている)、なんというかもう色々と悲しくなる教師である。


「高橋ちゃんが魔法少女……」魔王鈴木がぼそっと呟く。

「……ああ」


「…………」


「…………」


「耐えられないな、色々と」


「ああ、耐えられないだろ? 色々と」


 敵味方の枠を超え、二人の意見が一致した。


「…………」


「…………」


「……今日は闘うの、やめとこうか」


「……そうしようか」


「……じゃあ、明日学校で」


「……うん、学校で」


 そうして、世界の行く末をかけた闘いは先延ばしとなった。


感想とか罵倒とか言葉責めとかあったらお願いします。

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― 新着の感想 ―
[一言] QB=クオーターバック そこに気付くとは… やはり天才か。
2012/03/24 07:26 退会済み
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