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第8話 狂乱

学校に来ていない由美と連絡を取ろうとするが…はたして?


第8話です。

 放課後、私は由美に電話をした。何故、学校に来ないのか…すごく心配。

『お呼び出し中です。しばらく、お待ちください』

何度も電話をしているが、由美は出ない。そのことが私の不安を増幅させた。


「愛華、由美と連絡ついた?」


 奈央がこちらへ小走りでやってくる。


「ううん、全然ダメ。奈央の方は?」

「私もダメだわ」


 奈央もいつものテンションではない。由美と連絡がつかないことを心配している。


「2人とも、どうしたの?」

「和也」

「和也くん」


 私の教室に和也がやってきた。私が迎えに行く時間なのに…心配して来てくれたのだろう。


「愛華が来ないから、心配で来たんだけど…何やら大変そうだな」

「うん…由美と連絡がつかないんだよね…」


 和也は『そっか』と言って、下を向いた。


「和也、一緒に由美を探してくれない?」

「わかった」


 私と奈央と和也は由美に連絡を取り続ける。しかし、一向に由美は電話に出てくれなかった。


「ダメだ…どうしよう…」

「由美、どこにいるのよ…」


 私たちはなかば諦めかけていた。『もう無理かも』、そんな風に思った。その時、


『愛華さん、諦めちゃダメです!』

「恋の神さん…」


 私は力なく、そう言った。正直、疲れが限界にきている…


『遅れちゃいましたが、由美さんの居場所がわかりました』

「本当!?」


 私は思わず大きな声を上げてしまった。和也も奈央も不思議な目で見ている。


「愛華、どうした?」

「いや、ゴメン。何でもない」


 ここで本当のことは言えない。


『愛華さん、由美さんは旧校舎の体育館の更衣室です』

「そこに早く行かないと…わかりました。ありがとう、恋の神さん」


 情報を得た私は、すぐに2人に言う。『何でわかるの?』と2人に言われた。まあ当たり前のことだろう。いきなり場所がわかったなんておかしい。私は強引に2人を納得させて、旧校舎の体育館の更衣室へと向かった。











 旧校舎には立ち入り禁止の紙が貼られていた。でも…今は、それどころじゃない。


「由美ー」


 私は、めいいっぱい大きな声で由美の名前を叫ぶ。しかし、返事は無かった。


「愛華、本当に更衣室にいるのか?」

「きっといるよ。行ってみよう」


 私は恋の神を信じている。恋の神は今まで間違ったことなんてない。大丈夫、絶対に由美はここに…


「ゆ…由美…?」

「いやああああー」


 奈央が悲鳴を上げ、私に抱きつく。私と和也は、あまりに信じられない光景に言葉を失った。


「あはは。愛華に奈央に和也くん、こんにちは」


 そこにいたのは、確実に今までの由美ではなかった。更衣室の中は血の匂いが充満しており、床には男の人、3人と女の人、1人が血を流しながら倒れていた。流れ出す血は私たちのところにまで届いている。


「由美…お前…」

「どうしたの? 和也くん? それに愛華も奈央も。何でそんなに怖がってるの?」

「ほんとに由美?」


 私は信じたくなかった。由美が殺人をするわけがない…あの心優しい由美だもん、絶対に…


「何言ってるの、愛華? 私は由美だよ?」


 私の希望は一瞬にして絶たれた。信じたくない現実がどんどん流れ込んでくる。私は立っていることができなくなり、倒れそうになった。


「おい、愛華! 大丈夫か?」


 和也が私を支えてくれる。


「和也…ゴメン」


 私は、そう言って由美の方を見る。由美の顔つきが変わっていた。いつもはニコニコしていて可愛い由美の顔が怒りに満ちた鬼のような顔に変わる。


「愛華と和也くんは、いいよな~いつもイチャイチャしちゃってさ~」

「えっ?」

「はあ~もうどうでもいいや。本当は殺すつもりじゃなかったんだけどな~。愛華、奈央、和也くん、残念だけど見られたからには死んでもらうよ」


 由美は、まず私の方に向かってきた。私は恐怖のあまり動くことができない。


「愛華! お前は奈央を連れて逃げろ!」


 和也は、そう言って私の前に立った。このままじゃ和也が殺されちゃう。


「和也、ダメだよ。和也も逃げよう」

「愛華、言ったろ。お前は『何があっても俺が守る』って」

「あーもう、ごちゃごちゃうるさいんだよ! そういうのがムカつく!」


 あっという間に由美は私たちの前までやってきた。もう私と奈央も逃げることはできない。私は死を覚悟して目をつむった。

読んでくださってありがとうございます!


今回は、シリアスな展開になりました。3人は一体、どうなってしまうのか?

第9話も頑張りますので、よろしくお願いします!

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