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第7話 恋の神と恋の悪魔

恋の神の世界とは…?


第7話です。

 『私がここへ来たのは、愛華さんと和也さんの恋を成功へと導くためです。これは何度も説明したとおりです。恋の神は私以外にもたくさんいます。私は、まだまだ未熟です。現に未熟さで愛華さんを怒らせてしまったり、危ない目に合わせてしまいました。改めて自分は、まだ未熟だと感じました』

「何で恋の神さんは私のところに来たんですか?」

『私たちの世界には、恋を成功に導く恋の神の世界と恋を失敗に導く恋の悪魔の世界があります。私たち恋の神は毎日、恋の悪魔との戦いを行っているのです。私は、たまたま恋の悪魔が邪魔しようとしていたのを見ました。それが愛華さんと和也さんだったんです』


 恋の神と恋の悪魔の世界? よくわからないな…


『愛華さん、最近起きていることを考えてみてください』


 そう恋の神に言われて、ここ数日のことを思い出してみる。交通事故にケンカに暴力事件…どれも嫌な思い出ばかりだ。


『愛華さんの周りで悪いことばかりが起きてます。これは恋の悪魔のせいなんです。私の予言は恋の悪魔の動きを見て、伝えていました。愛華さんたちには恋の神の姿も恋の悪魔の姿も見えないと思いますが、私たち恋の神は恋の悪魔の動きを見ることができます』

「…………」


 私は信じられない話の連続で困惑した。まさか私の周りでこんなことが起きているとは…そんな風に思っていた時だった。


『恋の神、そして愚かな人間よ。これから起こることに対して、耐えることができるかな?』


 突然、低い声が私の部屋に響きわたる。


『愛華さん、今のが恋の悪魔です。恋の悪魔が直接、話しかけてくるとは…あの様子だと諦めず、また邪魔してくるでしょう』

「恋の神さん、私は一体どうしたら?」

『愛華さんには、どんなに辛くても負けてはいけない、としか今のところ言えません。何が起こるのかがわかったら、すぐに伝えますから』


 大丈夫。今まで辛いことを乗り越えることができたんだ。絶対に大丈夫。そう私が自分に言い聞かせていると、携帯電話が鳴った。どうやら電話のようだ。


「もしもし」

『愛華!』


 電話の主は由美だ。私は、あまりにも由美が大きな声で私の名前を叫んだので思わず電話を耳から離してしまった。


「由美、どうかしたの?」

『私…彼と別れちゃった…。彼、お前以外に好きな人ができたって…。それでつい怒っちゃった…』


 由美の声は今にも途切れそうな声だった。私は、さっきの恋の悪魔の言葉を思い出す。


「恋の神さん、もしかして…」


 私は由美に聞こえない程度の声で恋の神に言う。


『多分、恋の悪魔の邪魔が始まったんでしょう』


 やっぱり…でも私以外の人に邪魔をしにくるなんて、許せない。


『愛華、聞いてる?』

「聞いてるよ」

『私、どうしよう…』


 私は返答に困ってしまった。何と言えばいいのか、全く思いつかない。もしも曖昧な意見を言ってしまったら、由美を傷つけてしまうだろう。


「由美、とりあえず落ち着いて考えてみよう。私があれこれ言うより、由美が考えた方がいいと思うんだ」

『うん。ありがとう』


 その後に『じゃあね』と一言、言って由美は静かに携帯電話を切った。


「恋の神さん、恋の悪魔って何なんですか!」


 私は恋の神に八つ当たりしていた。


『愛華さん、私に言われても…』

「…ごめんなさい」


 それ以降、私と恋の神の間に会話は無かった。










 翌朝、私は何事も無かったかのように学校に登校する準備をしていた。もちろん、昨日のことを忘れたわけでは、ない。ただ、考えていても仕方ない。


『愛華さん、気をつけて』

「ありがとう。何かわかりましたか?」

『それが…他の恋の神にも手伝ってもらっているんですが、全く見つけれないんです』

「そうですか…」

『愛華さん、辛いと思いますが頑張りましょう。私も頑張りますから』

「大丈夫です。絶対に負けません」


 私は笑顔でそう言った。正直、不安でいっぱいだ。でも…恋の悪魔だけは絶対に許せない。


「じゃあ、行ってきますね」

『行ってらっしゃい。何かあったら、必ず助けに行きます』

「よろしくお願いします」


 私は学校へと向かった。学校へ行く途中に偶然、和也と出会った。和也は松葉づえを使いながら歩いている。そこまで重症というケガは幸いにもしなかったため、すぐに仮入院から退院となった。


「和也、おはよー」

「おはよう」

「ケガ、大丈夫?」

「大丈夫。もう治ったようなものだわ」


 そう言って、和也は笑った。


「まだ完全には治ってないんだから、無茶したらダメだよ」

「わかってるよ。今の俺が無茶するのは、愛華が危険な時だけだからさ」


 朝から私は幸せだった。本当に恋の悪魔が邪魔をしに来るのか疑いたくなるほどだ。和也と話していると学校に到着した。和也と別れて教室に向かった私を待っていたのは…


「おはよー愛華。和也くんとは、どう?」


 いつもテンションの高い奈央だ。その隣には…


「あれ? 由美いないの?」


 いつもいるはずの由美がいない。一体、どうしたんだろう?


「私も由美、見てないな~風邪でも引いたのかもね」


 私は由美の心の内を知っているため、どんどん不安になった。

『キーンコーンカーンコーン』

結局、由美は学校に姿を現さなかった…。

読んでくださってありがとうございます!

ここからは、またちょっとシリアスにしようかな? なんて思ってます。

第8話も頑張って書きますので、よろしくお願いします!

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