第6話 真相
愛華を助けるために傷ついた和也…そんな和也を見て、愛華は…
第6話です。
最後まで読んでもらえると嬉しいです!
『俺のことは、どうでもいい! 愛華、お前は早く逃げろ!』
私は和也が起きるのを待っている間、今日のことを思い返してた。和也が私を必死に守ってくれたと思うと涙が出る。
「愛華…愛華!」
「はい!」
名前を呼ばれた私は思わず返事をしてしまった。慌てて和也を見ると寝ている。ただ、悪い夢でも見ているのか、和也は苦しそうにしていた。
「和也…私は、ここにいるよ。ちゃんと無事に帰って来れたよ」
私は涙が止まらなかった。私のためにこんなに傷ついて…
「愛華?」
私は顔を上げて和也を見る。やっと和也が起きた。私の心配は、いつの間にか何処かへ吹き飛んでいた。
「和也!」
私は和也に抱きついた。涙がますます止まらなくなった。
「愛華…ごめんな。あんな目に遭わせて…」
「ううん。和也が無事でよかった」
「でも、俺は愛華を守れなかった。また愛華を泣かせてしまった」
「和也、私はちゃんと守ってもらったよ。警察を呼んでくれたのも和也でしょ。私が泣いてるのは怖かったからじゃなくて…嬉しかったからなんだよ。和也は私のために『責任は俺が取るから、愛華には手を出さないでくれ』って言ってくれたんでしょ? すごく嬉しかった」
「それは…」
「だから、和也が謝ることなんて何もないよ。むしろ謝るのは私の方だよ」
「俺、ここで誓うよ。愛華は何があっても絶対に俺が守るって」
「和也…ありがとう」
私たちは時間を忘れて話した。和也のケガは幸い重症ではないみたい。ただ、骨が折れている部分があって、松葉づえを使わないと歩けない。でも、私にとっては和也が助かった、それだけでよかった。
「そういえば何で私のいる場所がわかったの?」
私は、ずっと気になっていた。和也は何でわかったんだろうか。
「まあ俺には愛華のいる場所がわかる特殊能力があるからね」
「その特殊能力は、ある意味怖いよ」
「はは。冗談だよ」
「じゃあどうして?」
なかなか言わない和也は、ひとつ息をついて
「あの女は俺の幼なじみなんだ。だから居場所は、いつも集まってる場所だと思ったんだ」
「そうだったんだ」
「最近、しつこく連絡が来ててさ。何とか愛華と付き合ってることがバレないでいたんだけど…バレたんだ。あいつは俺を『愛華と別れないと愛華がどうなるかわかるよね?』って脅してきたんだ」
和也から、その話を聞いて私はゾッとした。冷や汗が止まらない。
「だから俺は愛華に手を出させないために今日、学校に早く来て話し合いをしてたんだ」
私は、ますます和也に申し訳なくなった。
「そういえば、愛華こそ何であんなに早く学校に来たの?」
「あ…えっと…」
ここで『恋の神から忠告を受けた』なんて言えないし…
「愛華?」
「か…和也に早く会いたかったの!」
今できる精一杯の言い訳。本当のことを言うわけにはいかない。
「そっか…でも俺に会いに来て、愛華は…」
「和也! 私は怖かった。けど…和也に助けてもらって嬉しかったって言ったでしょ! 和也は何も悪くないよ!」
まだ責任を感じている和也に喝を入れる。
「じゃあ最後にこれだけ言わせて。愛華、ごめん。ありがとう」
和也は笑顔でそう言った。
「うん。それでいいよ」
和也に笑顔が戻って私はホッとした。
「じゃあそろそろ帰るね」
「わかった。気をつけて帰れよ。何かあったら、俺に連絡しろよ。絶対に俺が何とかしてやるから」
「うん。ありがとう。じゃあまたね」
「おう。ありがとな」
私は病院から出て、家に帰った。
家に帰ると真っ先にお母さんが駆け寄ってきた。何度も『大丈夫だったの?』と聞かれた。私が『大丈夫だよ』と言うとお母さんはホッとしたのか、床に座り込んだ。私は食事などを済まし、いつも通り自分の部屋へと向かう。部屋に入った私は、すぐにベッドに横になった。
『愛華さん、ごめんなさい』
いきなり恋の神に謝られ、私はビックリした。
「何がですか?」
『私、朝の出来事で愛華さんに学校に早く行くようにいいました。でも、愛華さんに行かないように言えば愛華さんは怖い目に会わなかったんじゃないかって…』
そんなことを気にしているのか、と私は思った。
「それは違いますよ、恋の神さん。私が早く行ってよかったんです。もしも私が学校に遅く行ったり、行かなかったら…和也は死んでいたかもしれません。そう思う方が怖いです。それに…」
『?』
恋の神は少し困惑している。私から、そんなことを言われるなんて思っていなかったんだろう。
「それに、恋の神さんは私を守ってくれました。最初、信じられなかったけど…紙を燃やしたのは恋の神さんですよね?」
『あれは時間稼ぎです。愛華さんを助けたのは和也さんです』
「確かにそうかもしれないけど、恋の神さんの力だって私を助けたんです。あの時、紙が燃えてなければ私は…今の私で帰ってくることは、できなかったと思います」
私は心から、そう思っていた。きっとあの時、恋の神がいなかったら…警察が来ていたとはいえ、私は、あの男たちに襲われていただろう…そう考えただけで身震いする。
「だから、私は恋の神さんに感謝してるんですよ」
私は笑顔で言った。
『ありがとうございます。愛華さんの役に立てたのならばよかったです』
「そうだ。恋の神さん、聞きたいことがあるんですけど」
私は恋の神に対して気になっていたことがある。
『何ですか?』
「えっと、恋の神さんが過ごしている場所ってどんなところなんですか? それに能力についても知りたいですし」
『…そろそろ愛華さんには言ってもいいかもしれませんね』
そう言って恋の神は初めて自分のことを話し始めた。
読んでくださってありがとうございます!
最初に…すみませんでした!
第6話では恋の神のことを書く予定でしたが、そこまでいきませんでした…。
第7話で書きます。
第7話以降も頑張りますので、よろしくお願いします!