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第5話 嫉妬とお仕置き

『和也が危ない』、恋の神に忠告を受けた愛華は急いで学校へ。

そこには…


ちょっとシリアスな展開ですが、最後まで読んでもらえると嬉しいです!

 私が見た光景…それは、あまりにも残酷だった。教室に入った私がまず見たのは血を流して倒れている和也。そして、和也の周りには金属バットを持った男が3人。それから少し離れて女が1人いた。


「あんた、誰?」


 女は私に気づき、そう言った。


「私は…」


 私が言おうとした時、


「愛華か? 何で学校に来たんだよ! メールしただろ!」

「和也! 大丈夫?」


 メールなんて全然、気づかなかった。昨日は早くに寝てしまったから。朝も急いでて、携帯を見なかった。


「俺のことは、どうでもいい! 愛華、お前は早く逃げろ!」

「愛華…ふ~ん、あんたが和也の彼女か…」

「おい! 愛華には手を出すなよ! やるなら俺をやれ!」

「和也く~ん、そういうわけにもいかないんだわ。見つかっちゃったしね~。お前らコイツを好きにしていいぞ」

「約束が違うじゃないか!」

「和也くん、彼女さんは学校に来ないはずでしょ? 私とも約束しましたよね?」

「くっ…愛華! 逃げろ!」


 私は逃げようとした。すると、


「ちょっと待ちな! 和也がどうなってもいいのかな~。もしかしたら、死んじゃうかもよ?」


 『死』という言葉に私の逃げ出そうとしていた足が止まる。


「愛華! 俺のことは気にするな!」

「でも…」


 私が悩んでいると、1人の男が私の腕をつかんだ。


「いやっ! 離して!」

「まあまあ、この教室じゃバレちまうから移動しようぜ」

「待て! 愛華には手を出すな!」

「うっせえんだよ!」


 『ゴン』と鈍い音が響く。和也の悲鳴も鮮明に聞こえてします。


「ほら、そろそろ時間だよ。その女だけ連れて行くよ」

「和也!」

「あんたもうるさいね~黙って」


 私はハンカチを口に当てられた。途端とたんに意識が朦朧もうろうとする…


「愛華!」


 私は薄れゆく意識の中で和也が私の名前を叫ぶ声が聞こえた。











 目が覚めると私は見知らぬ建物の中に連れてこられていた。


「おう、やっとお目覚めか」


 男の声が聞こえ、私の身体が震えた。怖い、ただそれだけの感情が私を支配している。


「じゃあ、お楽しみと行きましょうかね~」


 3人の男が私に近づいてくる。女は、また少し離れて見ている。これから起こることを考えた私は、さらに怖くなった。


「やめて! 何でこんなことするんですか!」

「あんたが…邪魔だからよ…」


 怒りに満ちたような言葉で女は言った。


「和也は私と付き合う予定だった。でも和也は、あんたを選んだ。今日の朝も問い詰めたけど、やっぱりあんたを選んだ。だからお仕置きをした。それだけ」

「それだけって…あなた方は大変なことをしてるんですよ!」

「うるさい! もう、どうでもいいんだよ! だいたい、あんたも悪いんだよ! せっかく和也は『責任は俺が取るから、愛華には手を出さないでくれ』って言って、今日の朝にお仕置きを受けてたのにさ! あんたにもお仕置きは必要なんだよ!」


 それを聞いた時、私は和也に申し訳なくなった。私の目から涙がこぼれ落ちた。


『愛華さん、大丈夫ですか?』


 その時、私にだけ聞こえる声がした。


「大丈夫じゃないです…私、これからどうなっちゃうんだろ…」


 私は相手に聞こえない程度の声で恋の神に話しかけた。


『愛華さん! 諦めないでください! もう少ししたら、警察の方がやってきます』

「えっ?」

『和也さんがここに呼んでくれたみたいです。朝は失敗してしまいましたが、今度は大丈夫です。私を信じてください。それまでは愛華さんを守るために私が時間を稼ぎます』


 そう恋の神が言うと突然、床に落ちていた紙が燃え始めた。


「う…うわ! 何だこれ!?」


 男たちは驚き、慌てている。


「お前ら、落ち着け! 水を持ってくるんだ!」


 女の指示で男たちは水を取りに行こうと部屋から出た。


「警察です」


 部屋から出た先には警察官がいた。男たちは逃げることができず、警察官に捕まった。指示をしていた女も同様に捕まった。燃えていた紙は、いつの間にか火が消えていた。私は警察官にロープをほどいてもらった。その瞬間、安堵感からか力が抜け、私は床に座り込んでしまった。


「大丈夫。もう大丈夫だから」


 警察官が何度も私に『大丈夫』という言葉をかけてくれる。しばらくして、私は自分が助かったことを感じ取れるようになった。










 あれから3時間、私は警察署にいた。警察から聞いた話だと和也は病院に運ばれたらしい。ただ命には別状がないという話だった。『早く和也のところに行きたい』と私は何度も思っているが、警察での話は長く、まだ終わりそうにない…。そんな風に思っていると、


「倉持さん、今日は帰っていいですよ」


 1人の警察官が私に言った。


「え? もう帰っていいんですか?」

「ええ。倉持さんは大変な目に会ったので疲れていると思います。だから帰ってゆっくり休んでください。それに…彼氏のお見舞いに行ってあげないとね」

「ありがとうございます」

「そうそう。最後に1つ、また警察に呼ぶことがあるかもしれません。その時は、辛いと思いますが…よろしくお願いしますね」

「わかりました」


 私は警察署を出た。そして、すぐに和也が搬送された病院へと向かう。病院に着いた私は不安に押しつぶされそうになっていた。和也にどうやって会えばいいのか、どんなことを話せばいいのか、とかいろいろと考えてしまう。でも…私は和也に謝る必要があると思った。私を守るために1人でやってくれた…そんな和也に謝らなければいけない。


「あの、竹中和也さんはどこにいますか?」

「竹中和也さんですね。少々、お待ちください」


 すごく緊張してる。自分ではっきりとわかる。


「竹中和也さんは203号室に仮入院しています」

「わかりました。ありがとうございます!」


 私は急いで203号室に向かった。


「和也!」


 私は躊躇ちゅうちょなく203号室に入って、そう叫んだ。すぐに和也のところへと向かう。和也はすやすやと眠っていた。身体のあちこちに包帯が巻かれている。血がにじんでいる部分もあり、思わず目を逸らしてしまいそうになる。


「和也…ありがとう」


 私は、そう呟いて和也の唇に自分の唇をそっと重ねる。私は和也に気持ち良く寝てもらえるように和也が起きるまで、じっとして待つことにした。

読んでくださってありがとうございます!


何か最後がしっくりいかなかったなって反省しています…。まあ他にも反省は、たくさんあるんですが…。

第6話は、恋の神の話を書こうかな、なんて思ってます。

頑張って書きますので、よろしくお願いします!

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