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第2話 忠告

第2話です。

よかったら読んでください!楽しんでもらえたら、嬉しいです。

 翌日、私は通夜に出席していた。通夜になっても『おじいちゃんが死んだ』なんて考えられない。私は涙が止まらなかった。


「おじいちゃん、何で死んじゃったの?」


 私は何度、この言葉を言ったかわからない。とにかく現実を受け入れられなかった。通夜が終わり、1人でイスに座っていた。不意に携帯を取り出す。1通のメールが来ていた。


『通夜中にゴメン。どうしても心配になってメールした。

 愛華、大丈夫か? 通夜終わってからでもいいから、辛かったら、ちゃんと俺に言えよ』


 メールは和也だ。和也は、いつも私の心配をしてくれる。ほんと優しいな~


『和也、いつもありがとね。今、通夜が終わったよ。

 私、おじいちゃんが死んだことを今でも受け入れれてないんだ…苦しい。

 でも…絶対に乗り越えるから、和也は心配しないで』


 私は和也がいてくれるだけで何でも乗り越えれる。そんな気がした。


『よかった。でも本当に辛くなったら、我慢するなよ。

 愛華は1人じゃない。俺がついてるんだから』


 和也の言葉は私の存在を支えてくれてる。そう言っても過言ではないと思う。


『ありがとう。じゃあまたメールするね』


 最後にそうメールで送って、私は携帯を静かに閉じた。メールが終わった私は、恋の神のことを思い出していた。そういえば今日の朝は聞こえなかったな…やっぱり夢だったのかな? でも、はっきりと昨日のことを覚えてる。交通事故の出来事は、確かに予言通りだった。今でも昨日、恋の神の予言が無かったら…そう思うと寒気がする。すごく怖い。そんなことを思っていると、


『落ち着きましたか?』


 突然、声がした。私は周りを見渡した。しかし、誰もいない…


『もしかして、まだ信じてもらえてませんか?』

「…………」


 昨日の出来事だけで、すぐに信じることなど出来なかった。はっきりと声は聞こえる。でも…


「あの! ほんとに一体、誰なんですか?」


 私は思い切って聞いてみる。正体がわからないのに信じろなんて無茶だ。


『私は恋の神です。別に名前なんてありません』


 私は声に出さなかったが、予想していた返答に『やっぱり』と思った。そう言われてしまうと、ますます信じれない。


『あなたには説明をしたはずです。あなたの恋を邪魔するわけではなく成功させるために来た、と』


 それは、ちゃんと聞いた。私が言いたいのは、そういうことじゃない。正体が知りたい。


『まあ信じてもらえないのが普通だと思いますが…それよりも私が言いたいのは明後日のことです』

「明後日?」

『はい。明後日の放課後です。あなたは毎日、放課後に彼氏を迎えにいきますね?』

「そうだけど…それが何なの?」

『明後日は迎えに行ってはいけません』

「えっ!?」

『迎えに行ってしまうと、あなたにとって良くないです。さらにあなたがた2人の関係も危うくなるかもしれません』


 全然、意味がわからない…何で迎えに行って、私に良くないことが起こるのだろう?


「わかりました。まあ、頭に入れておきますよ」


 私は皮肉混じりの声で言った。


『いいですか、絶対に迎えに行ってはいけませんよ』

「はいはい」


 最後に恋の神は再度、忠告をしていった。私は適当に返事をしておく。











 恋の神の忠告を受けてから2日後、私は普通に学校へと登校した。恋の神は、あれ以降は現れていない。信じてはいないが、心に引っかかるのは『放課後、和也を迎えに行ってはいけない』ということ。未だに私は恋の神の言葉が理解できなかった。まあいいや、考えないことにしよう。


「愛華、おはよう」

「おはよー和也」


 玄関で外靴から上靴に履き替えようとした時、和也がやってきた。


「面と向かって会うのは久しぶりだな」

「そうだね~何かいろいろ迷惑かけちゃって本当にゴメンね」

「気にするなよ。迷惑なんてかかってないし。言ったろ、何でも何時間でも相談に乗るって」

「うん。ありがとう」


 お互い笑顔で話しながら教室へと向かう。私のクラスと和也のクラスは隣同士で、和也がいつも休み時間に私のクラスに来てくれる。


「じゃあ今日も頑張ろうな。また後で行くから」


 あっという間に教室の前まで来ていた。


「うん。じゃあまた後でね」


 そう言って、私と和也はそれぞれの教室へと向かった。私は教室に入って自分の席に座った。


「おはよー愛華。私に連絡しないで休むなんて…愛華、何してたの?」


 私の席にやってきたのは、親友の田中奈央たなかなお西村由美にしむらゆみの2人。私はいつもこの2人と話をしている。


「あ、もしかして…和也くんとあんなことやこんなことをしていたんでしょ!」

「ちょっと、奈央!」


 私は慌てて奈央の口をふさぐ。奈央は声が大きいから、教室全体に伝わってしまう。うわ~みんながこっちを見てる…


「何~その反応。まさか本当に?」

「そんなわけないでしょ!」

「はあ~愛華は、いいな~」


 ため息混じりに由美が言う。


「由美、どうかしたの?」

「ちょっとね…最近、彼が冷たくてさ…」

「何かあったの?」

「う~ん、私は思い当たること無いんだけどな…」


 由美の表情を見る限り、かなり深刻そうだ。


「由美は思い当たること無いんでしょ? だったら、由美が気にすることないんじゃない? 彼に今の由美の気持ちを言ってみたらいいんじゃないかな」

「愛華…ありがとう!」


 由美は急に私に抱きついた。


「ちょっ…由美!」

「さすが愛華。和也くんと付き合ってるだけあるわね…」

「奈央!それ関係ないでしょ!」


 いつもこんな感じで過ごしている。私は心から奈央と由美と親友になれて良かったって思える。こんなに楽しいんだから。


「授業始めるぞ」


 気がつけば1時間目の授業時間になっていた。私の頭は休み時間のことばかり考えている。早く休み時間にならないかな~そんなことを考えていると…


「愛華、先生が呼んでるよ」


 由美が隣で私に言った。先生が私をちょっと怒ってるような目で見ていた。


「倉持、授業にちゃんと集中しなさい」

「はい…」


 先生が私を当てていたなんて…全然、気付かなかったな…


「和也くんのことを考えてたんでしょ」


 奈央が余計なことを言ってくる。まあ当たっているから、何も言えない。


「まあ、ちょっと…」


 私は曖昧に返事をして誤魔化した。先生に注意されても私の頭の中は授業が終わるまで変わらなかった。そして…

『キーンコーンカーンコーン』

1時間目が終わった。待ちに待った休み時間、私が座って待っていると和也がいつも通りやってきた。


「愛華、久しぶりの授業はどうだった?」

「全然、集中してなかったかな? 先生に怒られちゃった」

「あはは。じゃあ次からの授業は集中しなきゃな」

「う~無理かも」


 休み時間は和也といろんな話をしている。奈央や由美、クラスの他の人が見ているけど…気にしない。


「そろそろ時間だな。じゃあ行くわ」

「うん。じゃあまたね」


 こうして私は恋の神の忠告なんて忘れて学校生活を楽しんだ。











 あっという間に放課後。私は恋の神の言葉をようやく思い出した。


『迎えに行ってしまうと、あなたにとって良くないです。さらにあなたがた2人の関係も危うくなるかもしれません』


 いつもなら何も考えずに自分の教室から出て、和也を迎えに行く。今日は…


「いいや、そんなことない」


 私は、そう言い聞かせて和也の教室へと向かう。しかしドアの前で立ち止まってしまった。やっぱりやめようかな…こうしているうちにも時間が過ぎていく。私にこれ以上、和也を待たせるわけにはいかない。私は意を決して教室のドアを開けた。そこには…和也と私の知らない女の人がいた。2人がこっちを見る。和也は、かなり驚いている。


「和也…」


 和也とその女の人の距離が近いことが余計に私をいからせた。まるでキスをする前かのようだ。私は、すぐさま教室から走って出て行った。とにかく逃げたい気持ちだった。


「愛華!!」


 和也がそう叫ぶが私は振り向きもせず、ただ走り続けた。

読んでくださってありがとうございます!

愛華と和也は、どうなるんでしょうか…?

第3話以降も頑張っていきますので、よろしくお願いします!


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