番外編④ バレンタイン~和也編~
お久しぶりです!
久しぶりに『大切なヒトと恋の神』の新作ができました!
今回はバレンタインのお話です。まずは和也編です。
2月14日…女の子が男の子にチョコをあげる日。通称、バレンタインデー。
「今日はバレンタインだな」
俺の友達・隼人がそう呟く。俺は何も気にしていなかったので、
「そうだな」
と軽く言った。
「何だよ。その返事。もしかしてバレンタインにトラウマとか?」
「別に。俺は愛華からのチョコだけで十分だし」
「またまた~」
俺の気持ちは本当だ。俺にとったら、愛華だけでいい。隼人と話しているうちに学校に着いた。今日は愛華に先に行くと言われていた。少し期待してみる。
「おっ、さっそく2つ入ってる」
隣で隼人が言う。俺のところには…
「あれ? 和也、1つもないじゃん。愛華ちゃんからは?」
自分でも信じられなかった。愛華からだけは貰えるだろう、そう思っていた。
「もしかして愛華ちゃんにフラれた?」
俺の心臓がバクバク言っている。
「きっと後でくれるんだよ…」
俺のテンションは、がた落ちしていた。
「でも愛華ちゃんは先に行くって…」
隼人の言葉が俺の不安を増幅させる。俺は不安なまま、授業を受けた。
放課後。真っ先に俺の席にやってきたのは隼人だ。
「チョコもらえた?」
「ううん。愛華と話はしたんだけど、まだ…」
結局、ここまで俺は誰からもチョコを貰えてない。まあ、もともと愛華だけでいいと思っていたのだが…その愛華からさえ貰えないとは…。そんなことを考えていると、
「和也、帰ろー」
愛華が俺の教室にやってきた。隼人はニヤけてる。
「じゃあな。和也。チョコもらえるといいな」
俺の耳元で隼人が囁く。
「うるせー余計なお世話だ。じゃあな」
俺は隼人にそう言って、愛華と学校を出た。
帰り道、俺は少しの期待をしながら歩く。
「でさ、今日は奈央がさー」
愛華は、ずっと今日あったことを話している。いつも以上に話している。全くバレンタインのことは出てこない。
「和也、聞いてる?」
「聞いてるよ」
そうは言ったものの…俺の頭の中はバレンタインのことで埋めつくされていた。そうこうしているうちに愛華の家の前に着いた。
「和也」
愛華が俺の名前を呼ぶ。
「ん? 何?」
「はい。これ」
愛華は、そう言ってカバンから小さな小包を取り出す。
「これは…?」
「今日はバレンタインデーでしょ?」
「愛華…ありがとう!」
やっと俺の不安は解消された。けど、気になることが1つ。
「そういえば何で先に行くって言ったの?」
「えっ? あーえと…内緒」
「内緒? もしかして他にあげる人とかいたの?」
「そんなわけないでしょ。私は和也にしかあげないって決めてるもん」
「よかった~」
真相はわからないけど、愛華の言葉を聞いて安心した。
「じゃあ、また明日ね。明日は迎えに来て」
「おう。チョコ、ありがとな」
愛華は家の中に入っていった。俺は自分の家に向かう途中、愛華が作ってくれたチョコを一口かじった。
「おいしい」
俺は一瞬で今日あったことを全て忘れた。不安も心配も全て。愛華からのチョコは甘くて、やさしい味がした。
読んでくださってありがとうございます!
愛華からもらったチョコは和也の宝物の1つになるでしょうね。
和也みたいに自分もチョコ、もらえたらな~なんて考えてしまいました(笑)。
次は愛華編を投稿したいと思ってます。




