第五話 入学式と自己紹介
担任の先生が入ってきた。
名前は藤堂慎二。
男の先生だ。
先生から軽く話をされた後、入学式のため体育館へ向かった。
そこで新入生代表の言葉だったり校長先生の話を聞いたりして無事に入学式は終了した。
やっぱりどの校長先生もそうなのだろう。
話が長い。
長い、長すぎる。
内心全国の校長先生は国語の勉強足りないんじゃないかなんて思ってしまうくらい話が長かった。
そんなこんなで教室に戻ってきた僕たちは、また藤堂先生の話を聞いていた。
「もう一度自己紹介するけど、今年の君たちの担任の藤堂慎二です。気軽に慎二先生とでも呼んでくれ。担当教科は社会だ。よろしく。」
そう自己紹介をしてくれた。
そして話を続ける。
「じゃあみんなにも自己紹介をしてもらおう。それで今日は終わりだな。窓側の列から順に発表してってくれ。話す内容は、出身校と名前、後は自由な何かそして一言でいこう。それじゃあよろしく。」
そう言い窓側前の人から自己紹介を始める。
そのことを聞きながら小声で雫に話しかける。
「なあ雫。俺達が幼馴染だって言ったほうが良いか?」
そう幼馴染を公表するかの話だ。
小・中学校のときは周りが知っている人ばかりなので公表しなくても知っている人が多かったが、高校では知らない人が圧倒的多数なのでどうするか迷っていたのだ。
そう聞くと雫が小さく返してくれる。
「別に今は良いんじゃないかな?どうしても必要なときに言う形でいいかな。奏汰君はそれでも良い?」
雫は今はまだいいようだ。
別に俺はそれでも構わないので
「良いよ」
と返した。
そうしているうちに雫の番が回ってきた。
「はじめまして。桜町中学校出身、河村雫です。好きな動物は鳥で、特にインコが好きです。仲良くしてくれると嬉しいです。よろしくお願いします。」
教室に拍手が起きる。
そして雫は席に戻る。
そして次は自分の番なのだが、俺はさっきの雫の発表のときに聞こえた声に内心かなり苛立っていた。
その声は可愛い。やべえめっちゃ美人じゃん。彼氏いるのかな。などの男子生徒の声だ。
(可愛いのはわかるけど初対面から彼氏いるのかなは聞こえないようにしても失礼すぎるだろ。大体公表はしないけど、俺は幼馴染で雫のそうゆうところもわかってるのに、初対面の男子には取られたくない。いや取られるものか、取られてたまるか。雫は”俺”のもの。俺が最初に好きになり、そして俺が一番である。そう簡単に渡すものか。絶対渡さない。渡さない。渡さない。渡さない。渡してたまるか。雫は俺のものアハハ。)
俺の黒いものが心の中で暴れ回る。
その気持ちを落ち着かせて自己紹介を始める。
「はじめまして。桜町中学校出身、冴島奏汰です。語学系がとてもできて3か国語喋れます。よろしくお願いします。」
教室に拍手が起きる。
そして俺は席に戻る。
他の生徒でえっ。どういうこと?と3か国語喋れるといことに驚いている人もちらほらと見受けられる。
そして奏汰が席に戻るのを見ていた雫は内心こう思っていた。
(今ちょこっと聞こえてきたけど3か国語話せるのは凄いとかはまだわかるよ。でもその後ろで更に小さくかっこいいとか付き合ってみたいとかなにそれ?初対面なのに何が付き合いたいよ。それは奏汰君のことをわかって言っているの?そんな初対面なのに生意気な事言ってるんじゃないよ。奏汰君の良さや悪いところも全て知っているのは私だけ。少なくともあなた達に奏汰君が振り向く事は一生ないわ。”わ・た・し”の奏汰君を渡してたまるものか。絶対にわたさない。あげない。取らせない。奏汰君は私のものウフフ。)
雫の心の中で奏汰以上の黒いものが暴れ回る。
その気持ちを抑え奏汰には見せないようにして奏汰に話しかける。
「お疲れ様奏汰君。良かったよ。」
「ありがとう。雫もお疲れ様。」
そう言葉を交わして残りの人の発表を聞いた。
そして二人はこんな事を考えた。
【このクラスには「雫」「奏汰君」を取ろうとしている人が多そうだ。「雫は」「奏汰君は」「”俺”のもの」「”私”のもの」。絶対に誰にも渡さないし、渡してたまるか。渡さない。渡さない。渡さない。「アハハ」「ウフフ」。】
二人とも心の中で重い愛を叫んでいたのだった。
奏汰と雫の愛の重さが出始めましたね。
今後もお楽しみに!




