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Round 9 お座り1発現象④(オスイチはどのように起きたのか?)


 パチンコの神髄を見て上機嫌のルナは、俺としぐれを近くのファミレスまで連れてきた。


「いやぁ~この世界は素晴らしいね! 感動しちゃったよぉ」

「フッ……お前も()()()()か」


 ノーパチンコ、ノーライフ。パチンコとは生活の軸となる素晴らしい活動なのだ。そしてルナ、お前の奢りで食べるランチセットはいつも以上に美味いぞ。やはり人の金で食う飯は気分が良い。


「もぉルナちゃん、パチンコなんかハマったらダメだぞー?」

「なんで?」

「なんでって…………ねぇ?」

「俺に振るなよ」


 既に灰皿へタバコを敷き詰めながら、しぐれは視線を流した。

 パチ屋の店長が俺を見るんじゃない。まるで反面教師と言わんばかりではないか……せっかく迷える異世界人を導いてやったというのに。


「本来オスイチなんて滅多に起きるもんじゃないのよ? 今日はたまたま…………じゃ、なかったか」

「毎日こうだといいんだけどな」

「起きてたまるかっつうの」

「どうして? しぐれのお店はあの板を玉と交換してるだけだよね?」

「え? あー……まぁ、うん」

「ルナ、そこはツッコむな」

「んぁ?」

「世の中色々あるんだ、偶然がな」

「偶然」


 そう、すべては偶然の出来事である。謎の板を交換してくれる交換所とは偶然あるだけ、そしてオスイチも偶然…………


「偶然発生するべき事象の連続…………今日自分で体験して思ったけど、やっぱりあれは魔法だね」

「オスイチを必ず発生させる魔法……ってこと?」

「そう! でも、それと同じくらい『おすいちって現象はどうやって起きたのか?』……それが重要なんだ。機械に誤作動を起こさせるなら割と簡単な魔法があるけど、あれはそんなレベルじゃない。お店の中全体に発生している魔法だった」


 運ばれてきたパフェを楽しみながら、ルナは続ける。


「ウチの店全体がゴトやられてるってワケ⁉」

()()?」

「イカサマって意味だよ」

「それは……ちょっと違うかな。ズルをする魔法って、もっと作為の匂いや故障したりって痕があるんだけど…………しぐれのお店に漂っていたのはもっと濃くて、危険な魔力だった。実際、相手の足取りはほぼまったく掴めなかったくらいにね」


 確かに。監視カメラにすら映像が残っていないという。唯一の手掛かりは黒い長髪。長さ的には女……なのかねぇ。


「相手はかなりの魔法の手練れと考えていいよ。ま! 私にかかれば敵じゃないけどね!」

「ルナちゃん、もし捕まえてくれたらボーナスあげるよぉ?」

「え、マジ? 俺もやるわ」

「あんたは役に立たないでしょ」


 それはそう。というか、むしろこの状況は長く続けば続くほど俺にとって好都合である……いわばリアル確変。名前も知らぬパチンカスよ、そのまま魔法を続けてくれないか。


「それがそうでもなさそうなんだよねぇ」

「どうして? どっかでこのパチンカスが役に立つの?」

「後ろ姿だけだけど、魔法の使い手を捉えられたのは享楽が台を移動したおかげだからね。相手が何を打つか先読みすることで今度は対面できるはずだよ!」

「つまり…………パチンカスならではの思考トレースか」

「そんなアホなことある?」

「ある! と思う、多分、きっと、おそらく」


 おい、どんどん信頼度を下げるな。


「よぉし、打倒オスイチ魔法使い。絶対倒すわよー!」

「おぉ〜! あ、デザート追加しよ〜まだまだ食べるぞぅ!」


 ルミナス・アークライトさん?

 当初の目的忘れてませんか???


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