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Round 7 お座り1発現象②(炸裂、カニ歩き打法!)


「まっかせてよ! くじ引きは得意なんだ」

「おう?」


 1週間野宿していた奴が言っても説得力はない。というか絶賛借金中じゃねーか。

 得意気な顔でハンドルを握っているが、正直あてにならん。まぁそれはいい…………自分で引けばいいだけの話だからな。


 しかし、いくら台の補助があるとはいえ規定回数が終わるのもあっという間で。

 目の前には450発獲得したとリザルト画面が表示されている。


「お、終わった……オスイチが」

「なんにも起きなかったね」

「まだだッ!」


 急ぎ玉を回収し、隣の台へ移動する。

 なぜ俺がしぐれにギャラ関係で食い下がらなかったのか、答えはこれだぁっ!


「なになに、どうしたの享楽⁉」

「急げ、他の奴らが来る前にオスイチで当てまくるんだ」

「なるほど!」


 必殺カニ歩き打法である。

 

 ――――カニ歩き(打法)。

 語源はスロットから。横の台に移動する様子がカニに似ていることから。少ない金額で1台を打ち、台へ台へと渡り歩いていくこと。

 元々は昔のモーニングサービスの頃に実践されていた打法とかなんとか。現代で通用するとも言われているししないとも言われている。朝にデータカウンターが少し回っている状態なのを見たことがあるユーザーは多いのではなかろうか。


 ちなみに、これはパチンコオカルト学会の引用ではない。


 謎のオスイチ現象が起きているのならば、

 乗るしかない、このビッグウェーブに。


「ほら来た!」

「おぉ~! すごい魔力だぁ⁉」


 1玉入れば金保留、虹色の文字が出て大当たり。お手軽初当たりが簡単にあっちから来てくれる…………また偶数だけど。あいにく確変には入らずだ。


「享楽ぅ、私も偶数なんだけど」

「え、ええい! まだ台はたくさんある! 確変突入率が50%だろうと何台かは入るだろ…………!」


 パチンコ台によって仕様スペックは異なるが、大当たりを掴んだ後は通常大当たりと確変に突入する大当たりの割合がある。シンプルなら5:5、モノによっては必ず入るものもある。いくら確率が50%だろうが、何回も試せばどこかで入れる台があるはずなのだ――――!


 しかし、パチンコとは魔物でもあるということを忘れてはならない。


「な……なん、で…………?」

「享楽ぅ、まーた偶数だよぉ」


 222、444、666、888、101010…………どの台を打っても偶数、偶数、偶数、確変に繰り上げされることもなく見事な偶数。100%確変突入台は既に打たれていたため、通常大当たりのある台を打ったものの、どれも偶数。とても割り切れることではない。


「遠隔だろこれ……通報しなきゃ!」

「んなわけあるかいっ!」


 スパァンッ、と後頭部にハリセンがヒット。痛みはないのにとてもいい音が炸裂するじゃないか。


 振り返ってみると、店長様であるしぐれが背後に立っていた。


「謎解きはどうしたのよ」

「いや、まず謎の状態をチェックしないとだな」

「うわぁーん、享楽ぅまた偶数だよぉ」

「よし次行くか」

「謎解きはどうしたのよッ⁉」

「次! 次の台当てたら調べるから! 次こそ確変入れるから!」

「さっさと調べんかいっ!」


 

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