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現代パチンコ奇譚 パチ屋の謎は、ニートの俺と異世界の魔女が解き明かす  作者: ムタムッタ
CASE.2 世界は回る、パチンコは回る、しかし当たりは回らない

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Round 34 試合に勝って勝負に負けた。でもトータルでは勝ってる


 青空が広がっている。何事もなかったように。


 足元のドル箱は空、ついでに貯金も空。残ったのは財布の1万。他にいるのは杖持った少女ガキと角の生えた女。あとは幼馴染のパチンコ店店長。


 勇者リリカ・サミーは、孤光の魔女ルミナス・アークライトによって異世界へ強制送還されたのだ。つまり…………


「終わったね!」

「うむ、一件落着である」

「あーよかった。どうなることかと思ったわ」

「…………ん? リリカって結局元の世界に帰ったのか?

「そうだよ? どこに飛んだかはわかんないけど」

「…………結局あいつの勝ちじゃね?」


 リリカの目的は『元の世界に帰ること』が主だった。いや、こいつらの目的も変える事が最終目標なんけど。異世界を呼び出して地上に近づけて飛ぶなりなんなりして帰るつもりだったんだろうが……まんまと協力してしまったわけだ。


「いいんじゃない~? この世界にいて楽しくないならいない方がいいと思うし」

「悲しい奴よ、パチンコを楽しめないとはな」

「お前らが馴染みすぎなんだよ…………」


 まるで悲壮感もない。ポジティブを突き抜けて能天気というかお間抜けというか。


「というか大丈夫だよ。次元魔法のコツはなんとなく分かったし。いつでも帰れるから、今はもっとお店に渦巻く謎を解きたいね!」

「そうさな、怪奇現象に巻き込まれる人間どもを救わねばなるまいて」

「…………本当は?」

「パチンコ打ちたい!」「パチンコ打ちたい」

「しぐれさん、どう思います?」

「ウチは大歓迎よ。いいお客様だし」

「ところでさっきの出玉についてなんだけど──」

「店外での出玉紛失には対応致しかねまーす」

「くぅ〜!」


 人生で何度か目の男泣きである。あー……明日から家手伝わないと。どこか空いてる作業あったっけかな。


「お前ら出玉もだけどさっき貸した金返せよな!」

「もちろん!」

「パチンコで勝ったら、な」


 それは戻ってこないんだよ、一生!

 そうだ……! 事件は解決したんだから後金だよ後金。


「しぐれぇい! 事件は終わったんだから成功報酬を寄越しなぁ!」

「えー……作戦前にルナちゃんとミィにあげたじゃない」

「……俺は?」

「前金後金合わせて6万! 今回これ以上は出しませんっ!」

「バカな…………ッ!」


 パチ屋の危機は防げても、財布の中身は戻ってこない。これが戦いの犠牲ってやつか⁉︎

 

「まぁまぁ享楽ぅ、今から打てばいいじゃ〜ん」

「然り。失ったものは取り戻せばよい」


 とてもいい笑顔で異世界の魔女と魔王は俺の方に触れた。ニート生活を続けてきたが、いい仲間を持ったねまったくぅ!


「……お前らに諭されるのはなんか癪だが、その通りだ!」


 まだ財布に金はある。つまり、まだ舞える。

 やるしかない、明日の為に。


「いくぞお前ら、絶対当てるぞ!」

「おぉ〜」

「当然だ」


 なお、普通に戻った回転数を前に1万円で当たるはずもなく…………残った金で全員突撃した結果、全員金がなくなりましたとさ。


「めでたしめでたし!」

「めでたくねぇよ!」


 

 CASE.2  世界は回る、パチンコは回る、しかし当たりは回らない


 Case Closed

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