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現代パチンコ奇譚 パチ屋の謎は、ニートの俺と異世界の魔女が解き明かす  作者: ムタムッタ
CASE.2 世界は回る、パチンコは回る、しかし当たりは回らない

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Round 23 第1回チキチキ! 金欠どもの仁義なきパチンコバトルゥッ〜!③


 調子づいた2人の勢いは止まらない。


「ハッハッハッハッハ、止まらぬ止まらぬ! これが我の力よ」

「うはー、また1500発ゲットぉ!」


 最近のライトミドルでも1500発(MAX)出るとは聞くが…………こんな時に出なくても。


「ちょっと享楽、負けてるわよ」

「仕方ねーだろ。当たらねぇんだから」


 こればっかりはリアルラックだ。神に祈ろうが勇者に頼もうが一緒。要するにヒキが弱い…………というより、2人のヒキが今に限って強いと言うべきだ。


「享楽ぅ、そんなんで明日勝てるのぉ?」

「あーやだやだ。ちょっと先行してるくらいでイキっちゃってまぁ」

「負け犬の遠吠えは見苦しいぞ……あ、終わってしまった」


 いつのまにか確変が終わったミィが出玉を確認すると7000発ほどまで増えていた。


「さすがライトミドル。継続率もそこそこだな…………お!」


 待ってましたと言わんばかりにこちらの台にもついに魚群が流れた。持ち玉残り500発くらいか? そろそろ当たれよ…………!


「私も終わっちゃった……」


 2人の祭りの終わりと入れ替わるように、俺の台にジュゴンが3頭並んだ。


「おほぉっー!」


 やっぱ残り少ないヒリつきからの当たりは気持ちがいいぜ〜! 


 脳汁フィーバーと言いたいところだが、背後で見ていたしぐれがわざとらしく、大きくため息を吐いた。


「はぁ……なんで当てんのよ」

「おい! ちょっとは応援しろよな!」

「あんたらが早く持ち玉溶かしてくれないと帰れないでしょーが」


 なんという無粋な奴……ここから俺の巻き返しだというのに。俺の華麗なる逆転劇を刮目して見ろ。


「む? また当たった」

「入れ食いだぁ〜」

「は⁉︎ まだ10回転もしてねぇだろ⁉︎」

「実力実力ぅ〜」


 海だけに、寄せては帰る波のように大当たりのグラフはジグザグに上下を続ける。持ち玉は減っては増えて、増えては減って……結局10000発近くまで伸ばしても、手元に残ったのは最初の2500発程度だった。


「おかしい…………伸びぬ。本来なら5万発は超えているはず…………遠隔か?」

「しぐれ〜魔法はダメなんだよぉ?」

「何時まで打つ気よアンタら…………⁉︎」


 気づけば午前2時。とっくに閉店業務を終えてベッドの上のはずのしぐれは、背後の席でぐったりしていた。


「無論玉がなくなるまでだが?」

「制限時間もないしねぇ」

「嘘でしょ…………」


 はよ帰れって言えばいいのに…………やっぱ変なとこで律儀だわこいつ。


 我らが雇用主もようやく観念したのか、「しょうがないわねぇ」と言いながら立ち上がった。


「もういいわ、勇者……リリカだっけ? その子がやった高回転の魔法は解いたんだから報酬渡すわ」


 観念したのか、しぐれはルナとミィに2万円ずつ渡した。


「おぉ〜、しぐれありがとぉ!」

「恵みに感謝」


 ん? ルナとミィに?


「あのー、しぐれちゃん。俺のは?」

「あんたは貯金あるでしょ」

「いやいやいやいや、特別外部顧問責任者!」

「どうせ2人がいなきゃ勇者を崩さないでしょ?」


 それはそう。要するに2人のモチベ維持か…………あぁ、必要経費。そう簡単に他人の金でパチンコは打てないか…………


「はい、もう今日はおしまい。さっさと帰って寝なさい! 明日は頼むわよ!」

「おぉ〜!」

「任せるがいい」


 誰が打つか……だったが、図らずとも3人ともトナラー打法に参加できることになった。


 …………今度もチキチキやるか。


「次やったらシバくわよ」


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