Round 21 第1回チキチキ! 金欠どもの仁義なきパチンコバトルゥッ〜!①
決戦は明日、対勇者戦……もとい、対虚無顔集団というのは決まっている。が、残念なことにまだ決まっていないことがあった。とても譲ることのできない、大切なこと。
それは、目の前で額に青筋を立てる三京しぐれがいたとしても、だ。
「えー……で? なんで閉店後のらすべがすにいるの?」
「だってこいつらバイトあったし……」
「そーゆーことじゃなくて! ぬぁんで今日終わってクタクタのところをあんたらに付き合わなきゃいけないのよ⁉︎」
「おつかれしぐれ〜」
「勤労、褒めて遣わす」
パチンコ屋店長の激務を終えてなお、ギラついた視線が俺に飛んでくる。うむ、その調子で勇者リリカを引っ叩いてくれ。
「いやな? 勇者と戦おうって話になったのは電話したろ?」
「聞いたわよ。それで明日やってくれるんでしょ?」
「続きがあんだよ」
こういう時、いい感じに回想のホワホワしたBGMが流れるもんだ。
◇ ◇ ◇
話は一旦ファミレスに戻る。
「うっし、話はまとまったしあとは明日打ちに行くだけだな」
「ちょっと待て」
「んぁ?」
食後のコーヒー(ガムシロ10個入り)を飲み干したミィから待ったが掛かったのである。
「明日、虚無顔の客達と打ち合うのは分かった…………で、誰が打つのだ?」
「誰ってそりゃ俺だろ」
「納得いかんな」
「私も打つー!」
「あのなぁ、お前ら2人とも金ないだろ」
ルナは素寒貧、ミィも今日の調査でほとんど消えた。まともに戦えるのは雀の涙の貯金を持つ俺、主義享楽のみ。つまり明日パチンコを楽しめるのは俺ってワケ。
「違うな、貴様の資金は特別外部顧問の資金…………ひいては我の金でもある」
「それなら私も打てるじゃーん!」
なんというジャイアニズム…………人が残した金すら掠め取るというのか…………⁉︎
ここはしっかり反論して、顧問責任者としての威厳を見せねば…………!
「ちょっと待て! 俺の金はお前らと知り合う前から持ってたもので────」
「我に打たせぬなら時空魔法は使わぬ」
「はぁ⁉︎」
「貴様は確かに勇者リリカ・サミーの魔法に多少の耐性があるのだろう、だから虚無顔にならなかった。だが、それなら我もならなかった。よって、享楽……貴様が顧問代表として戦う必要は────ないッ!」
「……本音は?」
「我もちゃんと当たる台を打ちたい」
「私も謎を解きたいから打ちたいぃー!」
侃々諤々……というよりは単なる井戸端会議……いや、パチカス会議は収束することもなく。結局議論は2人のバイト時間を超えても収拾がつかずに午後10時を過ぎたのであった。
◇ ◇ ◇
「要するに金欠トリオのアホってこと?」
「雑にまとめんな」
9割合ってるけども!
こういう時、ドラマだったらパトロンが出てきたりそもそも金の心配ねーんだけどなー!
実家が旅館でもボンボンじゃねーんだ俺は。
「やはり勇者と相対すなら魔王である我が適任であろう!」
「いやいや、追放された因縁の私でしょー⁉︎」
「あんな感じでバイトこなしてたの?」
「完璧にな。あいつら意外と仕事はこなすんだよ」
そして評判も良い。パチンコやらずに旅館に就職してくれ。
「ともかく! 資金に限りがあるなら剣を持つ者は力で決めるべきだ」
「そうだそうだぁ!」
「だからなんでウチなのよ」
「え、しぐれ分かんねぇの?」
「分かりたくない。あんたたち絶対めんどくさいこと考えてるから」
「言っていい?」
「ダメ」
しぐれの意見については無視! そもそも特別外部顧問を作ったのはこいつ……ならば相応の責任は取るべきである。
勇者とのパチンコバトル、金がないなら誰が打つべきか……そんなもんは簡単だ。ヒキの強い奴、そしてそれを決めるなら明日の決戦の場である『らすべがす』はうってつけなのだ!
「第1回チキチキ! 金欠どもの仁義なきパチンコバトルゥッ〜!」
「やっぱり…………」




